余、ダンジョンコアにつき侵入者には死んでもらう。 ~ゴブリン二十匹から始める最弱迷宮譚~
王都調査本隊を喰った翌日。
迷靄洞の中は、まるで別の迷宮になっていた。
入口から第二層まで、影縫い大蜘蛛の糸が張り巡らされている。
ただの巣ではない。
通路の角。
壁の影。
天井の裂け目。
足元の湿灰。
そこへ、影縫い罠師カゲヌイが細い骨針で影糸を通していた。
影縫い大蜘蛛が糸を吐く。
カゲヌイが、それを影に縫う。
糸は道を塞ぐ。
影糸は道を曲げる。
同じ通路を歩いても、右へ行った者は左へ戻り、左へ逃げた者は奥へ進む。
人間の目では、もう正しい入口すら判別できない。
「……よし」
余は白い部屋で、監視面を見ながら頷いた。
「これなら、入口を見つけたつもりで罠に入る」
《影縫い罠巣、固定化率四十二パーセント》
「まだ半分もいっておらぬのか」
《迷宮構造へ完全定着させるには、追加ソウルと実戦反応が必要です》
「つまり、もっと喰えということだな」
《はい》
「分かりやすくてよい」
余は、もう人間の死にいちいち怯えない。
最初のころなら、悲鳴が聞こえるたびに慌てていた。
ゴブリンが小便しただけでも混乱していた。
だが今は違う。
死体は素材。
侵入者はソウル。
情報を持ち帰ろうとする者は、迷宮にとって毒。
ならば、消す。
ロードとは、そういうものだ。
……いや、たまに驚く。
それは仕方ない。
余は成長中だからな。
その時だった。
白い部屋の中央に、ぽん、と音を立てて何かが落ちた。
紙だ。
黒い縁取りのある、古びた新聞。
余は身を乗り出した。
「来たか」
《ダンジョン新聞です》
ロードだけが読める新聞。
人間には読めず、触れてもただの黒い灰になる。
世界中の迷宮の噂。
危険な冒険者。
人気魔物。
罠の流行。
ロード同士の交流。
そのすべてが載る、迷宮側の情報源。
新聞の一面には、赤黒い大文字が躍っていた。
⸻
【号外】
新興Cランク迷宮、王都迷宮対策隊第三分隊を全滅させる!
確認戦術:
・帰還縄のすり替え
・地図破壊優先
・記録係狙い
・影縫い系罠巣
・逃走者追跡型個体の運用
迷宮名:迷靄洞
ロード名:未公開
注目度:急上昇
⸻
「……載った」
《載りました》
「載ってしまった」
《はい》
余は新聞を握りしめた。
嬉しい。
少し嬉しい。
いや、かなり嬉しい。
Eランクのころなど、誰にも知られず、最初の三人組に殺されかけていた。
それが今や、ダンジョン新聞の号外だ。
「ふ、ふふ」
《ロード、顔が緩んでいます》
「顔などない」
《比喩です》
「うるさい」
だが、二面を見た瞬間、その浮かれた気分は消えた。
⸻
【注意】
注目迷宮は狩られやすい。
王都系勢力、白灯教会、白磁庭園系迷宮、英雄志願者、新聞狙いの新人ロードなどが接触する可能性あり。
特に迷靄洞は、白磁庭園圏との衝突痕跡あり。
白磁庭園の監視蝶が確認された場合、速やかに対策を推奨。
⸻
「……新聞、余計なことまで書くな」
《有益情報です》
「分かっておるが、心臓に悪い」
《心臓はありません》
「そういう話ではない!」
その時、森糸通信が震えた。
⸻
接続先:フィルエ
状態:接続
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『迷靄洞』
「何だ。ちょうど嫌な記事を読んでいたところだ」
『白磁庭園が動いた』
余は黙った。
冗談を言う空気ではなかった。
「どれくらいだ」
『蝶が三。人形が二。あと、白い箱を持った庭師が一』
「ラウゼンではないな」
『人間じゃない。白磁側』
監視面を外へ向ける。
森の奥。
白い蝶が、ひらひらと飛んでいた。
羽は陶器のように硬く、光を受けて薄く輝いている。
その下を歩くのは、白い人形。
顔がない。
関節が球体で、歩くたびにかちり、かちり、と音がする。
そして最後尾。
白い箱を抱えた庭師。
鋏ではなく、小さな熊手のような道具を持っている。
「……箱は何だ」
《解析不能》
『種箱だと思う』
「種?」
『白磁庭園は、他の迷宮に白い種を植える。根づくと、その場所が庭園側に寄る』
嫌な言葉だった。
植える。
根づく。
寄る。
つまり、迷靄洞の一部を白磁庭園に変える気か。
「侵略ではないか」
『うん』
《外部迷宮による領域侵食の可能性》
余は監視面の中で、影縫い大蜘蛛を見た。
大蜘蛛は天井で静かに脚を開いている。
カゲヌイは、壁の影で骨針を構えていた。
グズは入口で棍棒を握り、マネは殺した測量士と分隊長ギルベルトの声を交互に真似して遊んでいる。
灰噛みネズミは、帰還縄の残骸をかじっていた。
追跡者は、湿灰の底で眠っている。
戦える。
だが、相手は王都本隊とは違う。
白磁庭園は、迷宮だ。
相手もロードの手札を持っている。
「フィルエ。白磁の種は、外で潰せるか」
『潰せる。でも、潰した場所に匂いが残る』
「匂い?」
『白磁庭園が、そこを覚える』
「では、中で喰う」
『危ないよ』
「外で覚えられるよりマシだ」
余は命じた。
「入口を開ける。ただし、本物の入口ではない。影縫い大蜘蛛、カゲヌイ」
大蜘蛛が、ぎち、と脚を鳴らす。
カゲヌイが骨針を上げる。
「白磁どもに、歓迎用の入口を作ってやれ」
《影縫い偽入口を構築します》
迷靄洞の入口が、少しずつ歪んだ。
本物の入口は、影に沈む。
代わりに、少し右。
岩肌に、白く湿った穴が現れる。
入れるように見える穴。
奥へ続いているように見える穴。
だがその先は、第二層ではない。
影縫い大蜘蛛の巣と、カゲヌイの影針で作った袋小路。
道ではなく、胃袋だ。
白磁の蝶が、偽入口の前で止まった。
羽を開き、光を反射する。
すると、偽入口の影が薄くなる。
白磁は幻惑に強い。
影を剥がそうとしている。
「やはり一筋縄ではいかぬか」
《影縫い偽入口、露見率上昇》
「カゲヌイ、影を縫い直せ。大蜘蛛、糸を厚くしろ」
影縫い大蜘蛛が、天井から太い糸を吐いた。
カゲヌイがそれを影へ縫い込む。
偽入口の輪郭が、再び自然な暗がりへ戻る。
白磁の蝶が一匹、羽を震わせた。
その下で、白い人形が前に出る。
人形は無言で、偽入口へ手を入れた。
その瞬間。
影縫い大蜘蛛の糸が手首に絡んだ。
カゲヌイの影糸が、人形の足元の影を縫う。
普通の人間なら、ここで倒れる。
だが、人形は倒れなかった。
関節だけを外した。
手首がぽろりと落ちる。
糸に絡んだ腕を捨てて、体だけ後退する。
「うわ、気持ち悪い!」
《白磁人形、自己分離を確認》
「先に言え!」
《初見です》
落ちた手首が、かちかちと動き出した。
虫のように床を這い、偽入口の内側を探る。
偵察用か。
「灰噛みネズミ、喰え」
灰噛みネズミが飛びかかる。
白磁の指をかじる。
硬い。
だが、蝶番部分は噛める。
ぎりぎり。
ぎりぎり。
白い指が割れた。
《白磁人形部品、破損》
その瞬間、白い箱を抱えた庭師が動いた。
箱を開ける。
中から、白い種が三粒落ちた。
小さい。
だが、落ちた瞬間、湿灰の上で根を出す。
「早い!」
《白磁種子、発芽》
「苔灰ゴブリン! 踏め!」
《ソウル15消費》
苔灰ゴブリンが湿灰から飛び出し、種を踏み潰す。
一粒は潰れた。
だが、二粒目が苔灰ゴブリンの足に根を絡めた。
白くなる。
苔灰ゴブリンの膝から下が、陶器のように固まっていく。
《苔灰ゴブリン、白磁侵食》
「まずいな」
『迷靄洞、根を切って!』
「グズ!」
入口脇からグズが飛び出す。
棍棒を振り下ろし、苔灰ゴブリンの白くなった足ごと種を砕いた。
苔灰ゴブリンが悲鳴を上げる。
だが、侵食は止まった。
《白磁種子二粒、破壊》
「残り一粒!」
最後の種は、影縫い大蜘蛛の糸に絡まっていた。
しかし、それは逆にまずかった。
白い根が糸を伝って、天井へ伸びようとしている。
影縫い大蜘蛛の巣が、白磁に染まる。
「切れ!」
カゲヌイが骨針を振る。
影糸で巣の一部を切断した。
影縫い大蜘蛛も、自分の糸を引きちぎる。
白く侵食された糸の塊が床に落ちた。
そこへ灰噛みネズミが群がる。
かじる。
砕く。
湿灰が飲む。
《白磁種子三粒、破壊》
余は息を吐いた。
危なかった。
ただの種でこれだ。
白磁庭園、やはり面倒な相手だ。
白磁庭師は、偽入口の前で止まったままだった。
こちらを見ている。
顔はない。
だが、明らかに見ている。
白磁の蝶が、三匹同時に羽ばたいた。
すると、白い粉が空中へ広がる。
《白磁花粉を確認》
「花粉か。苔灰ゴブリンが耐えたやつだな」
《ただし濃度が高いです》
花粉が偽入口へ流れ込む。
影縫い大蜘蛛の糸に付着し、白く固めようとする。
カゲヌイの影糸も、ところどころ白く乾く。
影が硬くなる。
道が固定される。
「こいつら、迷宮の可変性を殺しに来ているのか」
《推定通りです》
影縫い罠巣の弱点。
それは、影と糸を固定されること。
道が嘘をつく前に、白磁で固められれば、ただの壁になる。
ただの巣になる。
罠が死ぬ。
「させるか」
余は白い部屋で命じた。
「マネ。ギルベルトの声」
マネが、王都分隊長の声を出した。
「――白磁庭園の個体を確認! 攻撃許可!」
白磁庭師は反応しない。
だが、白い人形の一体が動いた。
人間の声に反応したのではない。
その声に混じる、王都迷宮対策隊の徽章の残響に反応した。
余は、戦利品の徽章を湿灰に埋めていた。
マネの声を、その徽章の上に響かせたのだ。
白磁側からすれば、王都の残滓が迷宮内で命令を発しているように見える。
白磁人形が、偽入口へ踏み込んだ。
「入ったな」
影縫い大蜘蛛が動いた。
天井から落ち、白磁人形の胴を糸で縛る。
カゲヌイが影を縫う。
だが、人形はまた関節を外そうとする。
「同じ手を二度食うか」
灰噛みネズミが関節へ飛びつく。
外れる前に、蝶番を噛む。
グズが棍棒で胴を叩く。
白磁の胴にひびが入った。
そこへ苔灰ゴブリンが、潰れた足を引きずりながら飛びかかる。
ひびに森灰を押し込む。
白い人形の中で、灰が膨らんだ。
ばきん。
胴が割れた。
《白磁人形一体、破壊》
《獲得ソウル:44》
「入るなと言った覚えはない。入ったら殺すだけだ」
白磁庭師が、初めて動きを止めた。
庭師の持つ熊手が、ゆっくり上がる。
白磁の蝶が、三匹とも散開した。
逃げる気ではない。
観測位置を変えている。
『迷靄洞、次が来る』
「分かっている」
余は湿灰の奥へ意識を落とした。
追跡者はまだ起こさない。
ここで使えば、白磁庭園に手の内を見せすぎる。
なら、今日の主役を使い切る。
「影縫い大蜘蛛、カゲヌイ」
二体が構える。
「白磁の蝶を落とせ。観測を殺す」
影縫い大蜘蛛が、糸を放った。
カゲヌイが、その糸の影を縫った。
普通なら空を飛ぶ蝶には届かない。
だが、影を縫われた糸は、壁の影を伝って飛んだ。
白磁の蝶の影に絡む。
羽ではない。
影だ。
影を縫われた蝶が、空中で止まった。
そこへ灰噛みネズミが壁を駆け上がり、羽の根元を噛む。
一匹目が落ちた。
《白磁蝶一体、破壊》
残り二匹が逃げる。
「逃がすな」
カゲヌイが骨針を二本投げた。
影糸が走る。
影縫い大蜘蛛の糸が、それを太く補強する。
二匹目の蝶が絡まる。
三匹目は、外へ逃げた。
「ちっ」
『私が行く』
フィルエの声。
次の瞬間、森の枝が揺れた。
フィルエが、外から白磁蝶の進路を塞ぐ。
その手には、森糸。
迷靄洞の糸ではない。
森の糸だ。
白磁蝶が旋回しようとしたところを、フィルエが森糸で叩き落とす。
蝶は地面に落ち、羽を割った。
『落とした』
「よくやった」
『でも、見られた』
「何を」
『影縫い大蜘蛛とカゲヌイの連携。白磁庭園に、少しだけ伝わったと思う』
余は舌打ちした。
完全な情報遮断はできなかったか。
だが、蝶は落とした。
種は潰した。
人形は一体破壊した。
白磁庭師は、偽入口の前で動かない。
やがて、庭師は箱を閉じた。
撤退する気だ。
「逃がすか?」
《追跡者起動で追撃可能》
余は一瞬迷った。
殺せばソウルになる。
だが、白磁庭師はまだ手札を隠している。
外へ深追いすれば、白磁庭園の領域に引っ張られる危険がある。
それに、今の目的は迎撃だ。
手柄に釣られて主力を失う方が悪い。
「追わぬ」
《了解》
「だが、ただでは帰さぬ。マネ」
「ギィ」
「白磁庭師の足音を覚えろ。蝶の羽音もだ」
「ギィ」
「次に来た時、こちらが先に聞き分ける」
白磁庭師は、割れた人形の残骸も、砕けた種も、落ちた蝶も回収せずに森へ消えていった。
静かになった偽入口に、白磁の粉だけが残る。
影縫い大蜘蛛の糸が、ところどころ白く固まっていた。
カゲヌイの影糸も、一部が乾いている。
被害は小さくない。
だが、耐えた。
白い部屋に、戦闘結果が表示された。
⸻
【白磁庭園偵察隊迎撃】
撃破:
白磁人形一体
白磁蝶三体
白磁種子三粒
獲得ソウル:
+44
+12
+12
+12
+18
損耗:
影縫い大蜘蛛の巣、一部白磁化
カゲヌイの影糸、一部硬化
苔灰ゴブリン一体、片足損傷
偽入口罠、一部露見
取得:
白磁蝶の羽片
白磁種子の殻
白磁人形の球体関節
白い花粉
庭師の熊手痕
解析候補:
白磁侵食耐性
影糸硬化対策
偽入口改良
白磁蝶対空罠
⸻
「痛み分け、か」
《敵主力は撤退。迷宮中枢への侵食は阻止しました》
「勝ちでよい」
《はい。限定勝利です》
「限定を付けるな」
《事実です》
「分かっておるわ」
余は、影縫い大蜘蛛を見た。
大蜘蛛は白く固まった糸を自分で噛み切り、新しい糸を張り直している。
カゲヌイも、硬化した影糸を一本ずつ抜いていた。
働き続けている。
文句も言わず。
こいつらがいなければ、白磁種子は入口に根づいていた。
迷靄洞の一部が白い庭に変えられていた。
「影縫い大蜘蛛。カゲヌイ」
二体が止まる。
「次は、白磁を縫う」
《新規方針を確認》
「影だけでは足りぬ。白い種も、蝶の羽も、人形の関節も、縫って止める罠を作る」
《解析には素材とソウルが必要です》
「素材は今ある。ソウルも増えた」
余は笑った。
「新聞に載った以上、これから敵は増える。なら、敵から学ぶ」
ダンジョン新聞の号外が、白い部屋の床でかさりと揺れた。
その端に、新しい小さな記事が浮かび上がる。
⸻
【追記】
迷靄洞、白磁庭園偵察隊を撃退。
注目度、さらに上昇。
接触希望ロード:三件
敵対宣言ロード:一件
取材希望:一件
⸻
「……は?」
《ロード間通信申請が届いています》
「今度は何だ!?」
白い部屋の壁に、三つの黒い封蝋が浮かんだ。
一つは、苔の紋章。
一つは、骨の紋章。
一つは、濁った水滴の紋章。
そして、最後の一つ。
赤い剣の紋章。
《三件は交流申請。一件は敵対予告です》
余は頭を抱えたくなった。
新聞に載るとは、こういうことか。
敵も来る。
味方も来る。
面倒も来る。
だが、同時に。
情報も来る。
技術も来る。
新しい魔物の可能性も来る。
「……よい」
余は顔を上げた。
「まずは交流申請を開ける。使えるものは使う」
《敵対予告は?》
「後回しだ。喧嘩を売るやつは、勝手に来る」
余は監視面の中の迷靄洞を見た。
影縫い大蜘蛛の糸。
カゲヌイの影針。
グズの棍棒。
マネの声。
灰噛みネズミの牙。
苔灰ゴブリンの森灰。
アンデッドゴブリンの死骸。
追跡者の眠る湿灰。
そして、外の森にいるフィルエ。
迷靄洞は、もう孤独な穴ではない。
ロードとして、他の迷宮と関わる段階に来た。
「開け」
余が命じると、苔の封蝋が割れた。
白い部屋に、湿った声が響く。
『迷靄洞のロードへ。白磁庭園と戦うなら、苔を侮るな』
次に、骨の封蝋が震える。
『死体を使う迷宮と聞いた。アンデッド運用に、興味はないか』
濁った水滴の封蝋が、ぽたりと床に落ちる。
『帰る道を殺す罠、見事。水路迷宮の技術と交換しない?』
そして最後。
赤い剣の封蝋が、勝手にひび割れた。
声はない。
代わりに、文字だけが浮かぶ。
⸻
近いうちに、貴様の迷宮を試す。
赤剣洞
ロード・ヴァルガ
⸻
余はしばらく黙っていた。
それから、笑った。
「いいだろう」
《どう対応しますか》
「交流は受ける。技術を得る。影縫い罠巣を完成させる。白磁対策も進める」
《敵対予告は》
余は赤い文字を睨んだ。
「来るなら来い」
影縫い大蜘蛛が、天井で脚を鳴らした。
カゲヌイが、骨針を握り直した。
迷靄洞の奥で、糸が張られる。
今度は人間でも、白磁でもない。
ロード同士の世界が、迷靄洞へ近づいていた。
「余の迷宮を試すだと?」
余は白い部屋で、ゆっくりと言った。
「なら、試したことを後悔させてやる」