異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
はあ? とセロベルさんは声を裏返らせた。
ついでなので、ダストくんにお土産の本をおしつける、「これ、ドールさん宛てね」
「え。あ、うん」
「で、お部屋は?」
セロベルさんは黙って上を指差した。どうも。
っと、その前に夕飯と夜食つくっておこう。収納空間へいれておけば腐らないものね。
でがらしのお茶でお肉をゆがく。別のお鍋でブロッコリー・人参・蓮根を炒めて火を通す。少し強めに塩こしょうしておく。
お茶でゆがいたお肉をうすく切って、ひらぺったいパンにのせ、野菜炒めをその上にのせて、もう一枚のパンではさむ。サンドウィッチ。
試しにそのまま収納空間へいれてみた。
取り出す。形が崩れていたりはしない。べんりー。
あれかな? ゲームのインベントリみたいな感じ?
なんでもいいや。サンドウィッチをつくって、どんどん収納空間へいれた。夕飯兼夜食だ。
後片付けをしたいが水を出せない。どうしようかな。
気配に振り返ると、ハーバラムさんだった。「マオ。薬材とりにいくって、大丈夫なの?」
「多分」小首を傾げる。「セロベルさん自信満々だし、なんとかなるんじゃないですか? それに、警邏隊ってことは、傭兵等級2以上の筈だし」
「ああ、そっか。一年でそこまでってのは凄腕だね。それに、ダスト坊のせんせなら、心配ないのかねえ」
ハーバラムさんは、うーん、と唸ってから、表情を明るくしてこちらを見た。
「そうだ。さっきのパンおいしかったよ。それで、ダスト坊と今相談して決めたんだけど、今夜はこっちに泊まるから」
え。まじですか。やった、云ってみるもんだな。
ハーバラムさんは表情をなくした。
「ついでに、どこで金を借りたのか、グロッシェさんに訊いてみるよ。恩師を心配してるダスト坊が可哀相だからねえ」
ハーバラムさん、清々しいまでにダストくんファーストだ。
さて。
お客さんが居るのなら、ご飯はそれなりのものを用意しなければ。
材料はさっき買った。お鍋はある。水がない。
という訳で、セロベルさんを引っ張ってきた。グロッシェさんは、ハーバラムさんとダストくんのお部屋の準備に行ったそう。
セロベルさんに、水がめにお水をいれてもらう。掃除はセロベルさんがきちんとしていて、水がめも綺麗だった。
水がめひとつをいっぱいにしたところで、セロベルさんが息を吐いた。「わりい、もう無理」
「あ、すみません、疲れてるのに。ありがとうございます」
「あー、いやさ。俺、魔力不可なんだよ」
ああ、体力と「護衛士」のおかげで入山だっけ。
?
魔力:不可なのに魔法つかえる? どういうこと?