異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
スープは出す時あっためる。ケーキは切り分ければいい。
……お肉どうしよう?
ちょっと考えて、思い付いた。収納空間だ。
オーブンを開け、バットを引き寄せる。串でつついて透明な汁が出たので出来上がりだ。
別のバットを用意する。それへせっせと、お肉と、うす切り以外の野菜類を移し替えた。
収納空間を、オーブンの口のすぐ下へ開ける。大きめに。
で、お肉と野菜のはいったバットを引きずりだした。
床には落ちず、収納空間へはいってくれた。やったね!
もの凄く疲れた。筋肉痛がすでに起こっている。
よっし、ソースつくるぞ。バットはまだまだ熱々だから、慎重に取り出す。布巾越しでもうっすらあったかい。
片手鍋へ、バットにたまった汁を移す。お酒はないからいれない。味見……ちょっと甘さ不足だな。
にまにました。収納空間をさぐる。
へへへ。プラスチック容器入りの蜂蜜を秘匿していたのだ。在庫処分でたたき売ってたやつ。これをいれちゃお。この量なら、70gくらいかな。さて、焦げないようにかきまぜつつ、とろっとするまで煮詰める。ローレルも一枚足して、……できた。
ソースはあったかくなくてもいいから、グレイビーボートにいれておこう。
さがしたけどなかった。ので、深さのある蓋付き容器(金属製)へいれておく。いい香り。
ケーキのお鍋は火から外して、火も消した。おお、焼けてる焼けてる。ぽんと外してクーラの上へおいた。みずやへいれといて……っと。よし、これで準備終了。
仮眠とって、夕飯をお客さまへ出したら、薬材採りだ。
セロベルさんは上を指差していたが、階段の場所が解らん。
うろうろしていたら、雑巾を手にしたグロッシェさんを見付けた。フードを外している。やっぱりマーモットっぽい。
「階段ならあちらです。お部屋は、好きなところをつかってください」
グロッシェさんはフードを被って、顔を背けてから教えてくれた。階段のほうを示す手が可愛い。小さくて、毛がふさふさ。
お礼を云ってそちらへ進む。戸棚のかげになっていて見えにくいところに階段が隠れていた。
きちんと掃除された階段をのぼる。グロッシェさんが今綺麗にしてくれたのかも。
階段の途中に窓があって、開け放たれていた。今まで見てきたのと同じ、木戸のついた、がらすははいっていない窓だ。ちらっと外を見ると、空がうっすら赤い。
二階の廊下に着く。扉がよっつ、向かって右の壁に並んでいる。階段に一番近いところを選んだ。