異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
「こんな簡単なことなの?」
「焦がさないようにするのってむつかしいんですよ。リエナさん、器用ですね」
リエナさんは、オムレツのつくりかたを教えると、実際やってみせてもいないのに、すぐに理解した。この辺には、たまごだけを大量につかう料理はないそうだ。
こちらは別の料理をつくっている。
まず、深鍋へ油をひと垂らし。別のお鍋へは油をたっぷりいれて、火にかけておく。
豚肉を一口大より気持ち大きめに切ってボウルへいれ、生姜のすりおろしをもみこむ。全体にいきわたったら、お水を少量と、片栗粉をいれてまぜ、油たっぷりのお鍋へばらしていれる。
手をよく洗ったら、野菜の準備。れんこん、人参は乱切り。たまねぎ、パイナップルは一口大。ピーマンは四等分で、へたも種もとらない。にんじん、れんこん、たまねぎは深鍋へいれて火にかけ、蓋をして火を通す。
豚肉がからっとしたら、一旦バットへとる。そっちのお鍋は火から外した。野菜を軽く混ぜて焦げつかないようにする。
調味料をあわせよう。
お砂糖・お醤油・お酢。単純明快だ。お醤油は濃口にした。お砂糖が溶けたら片栗粉をいれてよくまぜておく。
リエナさんが、できあがったオムレツをお皿に取り、味を見ていた。「うん、巧くいったわ。……それはなあに?」
へへへと笑う。おなかが鳴った。
ピーマンとパイナップル、生姜のすりおろしを深鍋へいれ、ざっと炒める。そこへ、合わせ調味料を注ぎ込んだ。
ふわっと酸っぱい香りがただよう。あおれるような腕力はないので、おたまでかきまぜた。かきまぜすぎると濁るが、かきまぜないとだまになる。むつかしいところ。
よし、もういいな。
深鍋を火から外す。
酢豚、完成! わーおいしそ。たべたーい!
リエナさんが生唾をのんだ、「おいしそうな匂いね」
「おいしいですよ。今何時だろ」
時計がないので判断しづらい。腹具合から……六時半ってとこかな?
一旦収納空間へいれた。お鍋ごと。ご飯を炊いて、汁物をつくろう。
文化鍋はないけど普通のお鍋でも出来るし、それに簡単なきのこのスープでもつくって、あとはサラダ。
にまにまして、お米を洗い、炊く。市場に売っていたものだ。長くないやつ。
きのこを手で割いて、お鍋へいれ、水から炊く。あじつけはお塩だけ。サラダは、アスパラガス、とうもろこし、グリーンピースをざっと炒め、お醤油少しとこしょうで味をつけた、あたたかいやつ。
「ねえ」
リエナさんが真顔で云った。「幾ら出せば食べられるの?」