異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
結局、リエナさんはそこでお醤油をひと壜買う契約をした。おいしいお醤油だから絶対お得だ。
ミスラ商会のひと=キョウさんとクヤさん。きょうだいで、クヤさんがお兄さん。シアイルのなんとかいうまち出身だそう。凄く東じゃないのとリエナさんが驚いていた。
「シアイル出身者には売れると思ったのですが、それが案外と……」
「おいしいのに、おかしいですね」
「お客さまはシアイルのご出身で?」
にこっと笑うにとどめておいた。ふたりは深く追及してはこない。
ふたりとも収納空間持ちなので、めいっぱいつめこんで運んできてくれた。ありがたい。お味噌なんて、ひとかかえもある樽ごと。ちいさいつぼだと、紅麹もあるし、甜麺醤っぽいのもある。
ただ、お豆腐は、あんまり売れないので受注生産らしい。なので、今日はもうない。予約してもらえればつくれますとのことなので、とりあえず予約した。干ししいたけや干しなまこは、べつの商会で扱っているかもしれないので、問い合わせてくれるそう。なんて親切なんだろう。
「お疲れでしょう」
食堂を示す。「ご飯、召し上がりません? おごりますよ」
ふたりは言葉に詰まった。が、どちらかのおなかが鳴る。それでふたりとも赤面し、いただきます、と肩をすくめた。
リエナさんにテーブルへの案内を頼む。グロッシェさんはいつの間にか姿を消していた。
お客さんの分をつくったので、自分が食べよう。セロベルさんとグロッシェさんの分は確保済みだ。
席に着いた。戴きますと手を合わせてから食べはじめる。
お醤油もお酢も高級品の味がする。すっごくお高いやつ。おじさんの旅館でつかってた。べらぼうに高いけどその分信じがたいくらいにうまいのだ。
しいたけもいれたかったなあ。おいしんだあれ。それに酢豚って、油揚げいれてもおいしいんだよねえ、たれが染み込んで。油揚げがないの、残念だなあ。ごま油はあんまり得意じゃないからかけてないけど、旨い。
シアイルの東のほうって、アジアっぽいのかなあ。お醤油がある異世界って助かる。お醤油もお味噌もおいしいもんな! 需要はある。
ぼーっと食べた。グロッシェさんが戻ってきていて、お皿を洗ってくれている。「グロッシェさん、ご飯どうぞ」
「これが終わってから戴きます……おいしそうですね」
グロッシェさんの分は、お肉少なめ。自分のも、いっぱい食べるともたれるから、人参とパイナップル山盛りである。おいしいよね人参!