異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
酷い目にあった。
「大丈夫かいマオ?」
「はい……」
収納空間から出したタオルで顔を拭く。バルドさんが申し訳なそうだ。ヨーくんが、俺にシロップ(仮)をかけた子の襟首をつかんで吊り下げている。「マオさんになんてことを……!」
「うるさいやい。悪党どもめ」
「なんだと!」
「ヨー、相手すんな」
「ちえっ、なんだよ、きかなかったじゃないかー、ケーネズ!」
警邏隊が集まってきていた。子どもは全部で、六人捕まえたそう。
野次馬が集まっていた。お水でだいぶ流れたとはいえ、まだまだ赤い俺を指差して、こそこそ喋っている。
ライティエさんがやってきて、タオルをくれた。ありがたくつかった。全身ずぶぬれだ。
「よかったねーマオくん。ベリャックの毒でなんともないなんて?」
べりゃっく?
バルドさんが俺の手を掴み、魔法でお水を出して洗う。「保管が悪かったんだろう。にしても、きちんと洗い流さないと、あとからなにかあるかもしてない」
「それはそうだね。マオくん、のみこんだりしてないよね?」
しましたしました。超絶甘かった。
バルドさんが笑った。
「いくら効果がうすれているからって、流石にのみこんで無事な訳はないだろう、ライティエ」
「メイラはちょっとなら大丈夫だったよー?」
「特殊能力のおかげだろう。普通なら、痛みでのたうちまわっているさ」
え、こわ。そんな毒をなぜ子どもが。
毒をかけられたり散々だが、その甲斐あった。わるがきどものリーダらしい少年がケータイを持っていたのだ。セロベルさんに捕まった子である。
懐に隠していたらしい。セロベルさんが見付けだした。「なんだこりゃ」
「あっ」
ぴょんと跳ねる。「おれの! です!」
「ん? そうか……なんだよこれ」
少年(絶賛抵抗中)を小脇に抱えたまま、セロベルさんはケータイを不思議そうに見る。でんげんはいる!
駈け寄って飛びついた。
不意を突かれたのか首尾よく取り返せる。電源ははいっていなかった、セーーーーフ!「どうもありがと」
「あ?……ああ。そんなに大事なもんなのか」
大事っていうか、怪しまれたくないし、あと、色々と見られたくないものがはいっているのだ。待ち受けとか。
むにゃむにゃと自分でもよく解らんいいわけをした。「えとお、見られたくないというか、あの。えへへ」
「……まあいいけどよ」
セロベルさんは興味を失ったか、少年を抱え直した。いとも簡単にお姫様抱っこしてる。それから、険しい表情をつくって、少年を睨みつけた。「こら、わるがき。すりなんてしてんじゃねえばかが」