異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
トングで掴んでひっくり返す。うん、おいしそう。
ソースをつくろう。アーモンドバター、あわせ味噌(本当は、甘めの塩麹がいい)、それだけ。
アーモンドバター3:あわせ味噌Ⅰくらい。米味噌でもいいが、その場合はお味噌をちょっと増やす。
それを、よく混ぜる。お仕舞い。好みでうすぎりにんにくの素揚げをまぜてもよし。今日はいれない。
焼けたとりにくは収納空間へ仕舞った。スープがぶくぶくしてきたので、大きめに切ったお豆腐をいれた。
ロール白菜は、お醤油で食べてもらおう。トマトとマッシュルームで煮込むのもいいが、メインがこってり目なのでサブはあっさりにしておく。
「……デザートもっ」
クッキー生地は沢山つくってある。
打ち粉をした調理台へ、甘さ控えめの生地をとりだして、麺棒をつかって薄くのばす。長方形に切って、オーブンで焼く。かなりうすいのですぐ焼けるから、目をはなさないようにする。
焼けたら、クーラへとって、冷ます。これにマルメラーダをつけて食べてもらうつもり。この大きさだから、六枚くらいでいいか。
……。
「おうい」
セロベルさんがワゴンを押してきた。思わず目を耀かせてそれを見る。「ど、どうした?」
「いえ。お客さんですか?」
「ああ……定食、12」
「はい。セロベルさんもたべます?」
「後でな。ああ、泊り客も三組」
「はあい」
お茶はセロベルさんに任せ、いそいそと定食を準備した。
とりにくソテーにソースはたっぷりで、クランベリーのジャムもちょこっと添える。白菜ロールは、小皿のお醤油をつける。ご飯だと間に合わないから、残念だけれどもパンで。
よし、できた。セロベルさんを呼んで、運んでもらう。「数多いぞ」
「リエナさんの分」
「ああ、なるほど」
セロベルさんはうっすら笑った。甘酸っぱいぞ。
とりソテーの香りが表まで届いているらしい。お客さんは、多くはないが途切れなかった。早速アーモンドバターがなくなりそう。
「セロベルさーん」
汚れた食器をワゴンへ積んで、セロベルさんが戻る。「どうした?」
「材料足りなそう。とりにく」
「リエナん家で買ってくる」
「ありがと」
グロッシェさんがお皿を洗ってくれている。相変わらずはやい。
「あ、グロッシェさん」
「はい?」
「ごめんなさい、お水沢山もらったのに、巾着切りにやられてしまって」
「えっ?」グロッシェさんがこちらを向いた。大きな目が心配そうだ。「大丈夫だったんですか?」