異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
じゃあ、一度近くの村に行くべきかな。バターほしいから。
が、そう簡単な話でもないみたいだ。おじいさんの売っていたチーズと干し肉を買い占めて、各種ジャムを売っているおねえさんに訊いたところ、バターはとても高いらしい。
「つくるのに手間だし。それに、材料が沢山必要だろ? お大尽の食べものだよあれは。おにいさん、そんなのよりこれ、どお? おいしいよ、いちじくのジャム」
そっかあ。でもほしい。スパイスケーキとか、パンドジェーヌとかたべたい。
いちじくのジャムは買った。おいしそうだったから。
最後に小麦粉と、生で食べられる甘いバナナを買いこんで、お買いものは終了。
ゆったりと四月の雨亭へ戻る。時間はまだ余裕があるからな。
パンもなあ。裾野では、小麦粉とお水をまぜて発酵なしで焼く! というストロングに小麦粉を味わうタイプのものが多い。おいしいのだが、冷めるとかたくなる。
ソーダブレッドも、ほんとにソーダでふくらませたブレッドと云う感じ。バターミルクはつかってないっぽい。多分、レモンか、お酢で発泡させてる。おいしいけれど、やっぱり冷めたらかたい。
時間停滞の収納空間には関係ない話ではあるのだが……発酵させた香りのするパンも食べたいのだ。あの香り。香りを食うものなの。
かといって、イーストは売られていない。なので、つくる。グロッシェさんに協力してもらえばできる筈。
四月の雨亭に戻った。まずは容器の消毒。
お鍋に陶器のボウルをふたついれ、お水を注ぐ。で、煮沸。火にかけて放置しておいて、朝食をつくろう。
昨夜種を仕込んでおいたので、パンケーキだ。
小麦粉・片栗粉・たまご・お水・油・お塩・お砂糖・重曹を滑らかになるまでよくまぜて置いておいた。鉄板に油をひいて火にかけ、あたたまったら種を仕上げる。お酢をいれて、てばやくかきまぜ、焼く。
うん、巧くいった。ぶわっとふくらんでくれる。
パンケーキを一気に焼いてしまって、収納空間へ保管。
厚めに切ったベーコンを、片面かりかりになるまで焼いたら裏返し、買ってきたばかりのたまごをみっつ割りいれる。黄身も完全に火を通さないとこわいので、よく焼く。
あと、とうもろこし、バターナッツ、豆でスープをつくった。三姉妹のシチューふう。この世界、スクワッシュが豊富である。
ちょっとこってりすぎ? くだものでバランスとるか。
洋梨をつけておいた。かりっとした歯応えの、さっぱり系のやつ。朝食完成!