異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
みつけた。
なにがなにを?
フォージくんが俺を。
さがしていたのか。どうして。
祇畏士みならいが魔王をさがす?
めめめめめめめめ滅却されるうううううううう!
ひいいいいいいいいやばいまずいやられる! 死ぬ! 逃げよう!
立ち上がろうとした。その前にフォージくんが片膝をついた。
鳥みたいな目を細める。小首を傾げて云う。「すき」
「ハア?」
抱きつかれた。
おとーさんおかーさんごほうこくです。
いせかいでとししたのおとこのこからねつれつなあぷろーちをされています。
笑えねええええ! 天敵! 天敵だよ! 俺達相いれない存在の筈だよフォージくん! だから離れてくれないか!
フォージくんは俺をお姫様抱っこしてご機嫌である。なつかれた。何故だ。俺、怪我は治してもらったけど、血塗れだからローブ汚れるよ? フォージくん冷静になろう?
セロベルさんとメイラさんは困惑顔、ライティエさんは心配げ。
「えーと……祇畏士みならいサマ? なにしてるんですか?」
「だっこ」
「見りゃ解るよ。……じゃない、見たら解ります。で、何故マオを?」
「マオ。ぼく、フォージ・ティヴァイン。結婚して」
はああああああああああああ大丈夫かこの子。
フォージくんはにっこにこだ。アホ毛がふわふわしている。あ、みみずくの角毛? が垂れたみたいだな。
はい現実逃避してる。魔王が天敵の祇畏士に求婚されとりますよ! 俺は頭がどうかしたのかな!?
「えっとね、ほーじくん、落ち着こうか?」
頭大丈夫かとか一昨日来いとか色々云いたいことはあるが強く出たら大変なことになりそうだったのでそう云った。
いや、こわいだろう。狂気を感じるもん。
フォージくんは頭を左右に揺らした。悶えている。「かわいい」
はっ? ああ、滑舌悪いから、ふぉって云いづらい。
あ! そうかあれだな!
髪だ、髪。短いから女の子だと思ってるんだ!
ほっとした。そうだよね。それだそれだ。
「あの? ほーじくん? 髪短いけど俺男だよ?」
「だから?」
ご存じでした!
なに? どういう情況?
「あ、こらフォージ!」
白に黒い刺繍のローブのひとがやってきた。いつぞやの祇畏士サマだ。「なにをしている。弟が申し訳ありません」
魔王が祇畏士に謝られてるよ! 信じられないね!
びくびくしながら、へらへら笑って穏便に済ませようとする。ていうか弟なのか。
「あのー、お、弟さん錯乱しているのでは」
全然穏便じゃない言葉が口をついて出た。しかし祇畏士サマは怒ったりせず、困り顔。
「いえ……あのう、実は弟は、ずっとあなたをさがしていまして……」