異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
サーダくんが特大の熱魔法をつかったので、錬金術士殺しは焼き払われてしまった。
錬金術士や調剤士が、魔物の襲撃で停まっていた作業をやり終え、お薬を完成させたので、揃ってレントへ戻ることになる。近場の村や、レントから別のまちへ移動する途中だったひと達は、離脱した。
俺が、降ろしてくれないかな、と云うと、フォージくんは案外素直に応じてくれた。ちょっとかわいい。鳥っぽい。俺、鳥好きだから、……。
はっ。事案!
頭を振った。フォージくんは心配そうに、身を屈める。身長高いんだよ。「マオ、眩暈がするなら、抱えていく。遠慮しないで」
「え? だいじょぶ。へーきへーき」
「……かわいいね」
なにが。
解らんなあ。腕を組まされたが、振り払うのも大人げない、というか可哀相な気がしたので、そのまま。
かたまりになって歩く。
外側は、戦士とか護衛士みたいな、体力が高い傾向にある職業。その内側は魔導士や癒し手、祇畏士など、魔力が高い傾向にある職業。中心は、戦闘に参加できないひと達(俺も含む)。
前後左右どこから敵が来るか解らないから、こういう布陣にするしかないのだそう。へー。
レントに近付くと、警邏隊が大勢で走ってくる。隊長さんが居た。用意に時間がかかっていたらしい。
戦えない、調剤系職業のひと達は、そちらに預ける。セロベルさんはじめ、戦闘した組は、草臥れている。魔力もずいぶん減ってしまっているし、バルドさんなんて、途中で歩けなくなってヨーくんに負ぶってもらっている程だ。これでは他人をまもって戦うことは出来ない。
隊長さんは用意周到で、魔力薬を持って来てくれていた。魔法を濫発したひとや、伝糸を無理につかったバルドさんは、それを服む。調剤系職業のひと達はセロベルさんやバルドさんに重ね々々お礼を云い、隊長さん達に護衛してもらってレントへ戻ってゆく。
残ったの十数人で、のんびりレントを目指した。「あー、おなかすいたあ」
「ライティエさん、クッキーありますよ。食べます?」
「ええっ、ほんとっ?」
ライティエさんがにっこりする。もう手が出てますよ。
クッキーの包みをひとつ乗せた。ライティエさんは飛び跳ねる。「ありがと! メイラー、一緒に食べよー」
「ほとんどライティエがくうくせに」
メイラさんときゃっきゃうふふしとる。かわいい。
視線を感じた。……フォージくんがめっちゃ見てくる。
?
あっ。フォージくんも甘いもの食べたいのか。
クッキーの包みをとりだした。「はい、ほーじくんのもあるよ。サーダくんもどうぞ」
兄弟はきちんとお礼を云って包みをうけとり、サーダくんは早速ぽりぽりしている。フォージくんも一枚かじったが、それを食べるとあとはポーチへ仕舞いこんだ。