異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
人参・ねぎ・セロリ・大根・きのこ類を、全部みじん切りにして、油で炒める。
人参が鮮やかなオレンジにかわったら、お塩・ローレル・こしょう・お水をいれて、ぐつぐつ煮込む。
基本はそれだけ。アーレンセさんは、俺が戸棚に隠しておいた豚ストックをつかったよう。まかない食べ放題なのでかまわない。……厨房に存在する食糧は全部まかない足りえるからだ!
俺は、みずやに仕舞っておいた、パスタをとりだした。「あ」
「そこにあったのかあ」
ふたりが夜食を食べる時に、と思って置いておいたのだが、見落としていたみたい。サッディレくんとアーレンセさんは、目をあわせてふふっと笑った。
俺はパスタの包みをひょいと掲げ、振り返る。「バルドさん、ほーじくん、食べます?」
ふたりはこっくり頷いた。
パスタを短く切って、お鍋へいれる。スープだけでは物足りないから、もう一品、簡単なものをつくろう。
深めのバットに、くだものを乱切りにしたものを詰め、お砂糖をまぶす。ほんのちょっぴりのお塩は好み。今日はいれる。で、バターを千切って、好みの量のせる。
それを、オーブンで焼くだけ。スープを食べる間にできあがる筈。
パスタに火が通った。ほーじくんとバルドさんの為に、サッディレくんが食堂から椅子を、リエナさんは、一番小さいテーブルを持ってきた。リエナさん力持ちだ。
俺は唖然としていたようで、リエナさんはくすくすっとした。「体力、優なのよ。もう少しはやけりゃ、入山できてたかも、なんてね」
体力:可の俺では、腕力で敵わないな。リエナさんが優しくてよかった。
席につく。当然のように、ほーじくんが隣に座った。サッディレくんはにやにやして、ほーじくんの為だった席へ座る。
アーレンセさんがスープをついでくれた。俺とリエナさんのお皿は大きい。解ってらっしゃる。
アーレンセさんが、自分の好みに忠実につけた味は、とてもおいしい。皆口々に誉め、アーレンセさんは含羞んで俯く。
料理って、好みによるところが大きいからな。
それに、栄養補給の面もある。ちょっと雑味が残っても、栄養すてるよりはいいじゃん、と考えてしまうのだ。でも、小豆煮る時ゆでこぼさないのは、そのほうが味がしつこくておいしいから。そこにざらめとちょっとのお塩だと最強。
……パスタくいながらあんこのこと考えてる。タルト焼く時に小豆を重しにしようと画策しているのだが、小豆を甘く煮て、裾野での需要はあるのだろうか?
オーブンからいい匂いがしてきた。いちじく・柿・アボカド・バナナ・りんごになし。絶対おいしい。発酵バターだし。
からのお皿を置いて、オーブンを開けた。甘い香りが漂う。
セロベルさんが上体を起こした。