異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
ジーナちゃんは、手を合わせ、簡単にお祈りをする。釘を握りこんだりはしなかったらしく、手には傷ひとつない。
俺はそれをほほえましく眺めてから、お客さん用のお膳を仕上げた。「ごめんください」
「ああ、ルッタさん」
トレイをワゴンへのせた。ルッタさんは会釈して、背嚢を降ろす。
「あれ、これって……」
「割高になってしまうんですけれど」ルッタさんはいくつかの包みを示す。「こちらとこちらは、いつもとは違うもので……」
マカロニ、だ。中が空洞のパスタ。乾燥させてある。どうやってつくってるんだろ?
おいしけりゃいいや。「試してみてもいいですか?」
「どうぞ」
お水のはいったお鍋を火にかけた。まかないを食べていたアーレンセさんに頼み、わかしてもらった。便利……。
マカロニは長いので、折る。ぱらぱらとお鍋にいれて、湯掻く。
その間に、平鍋でベーコンをかりかりにし、スライス玉ねぎをいれて炒め、しんなりしたらトマトソースを加え、隠し味にちょっぴりの味噌をいれる。そこへ、湯掻けたマカロニをいれたら出来上がり。
味見してみた。旨い。歯ごたえがいい。
大皿にとった。「味見したいひと?」
サッディレくん、アーレンセさん、そしてジーナちゃんも手をあげた。
トマトベーコンマカロニは好評。なので、マカロニもあるだけ買った。
ルッタさんには、焼きたてのパンをお土産に渡した。エウゼくんは井で真面目に過ごしているらしい。勉強もしているとか。
サッディレくん、アーレンセさんが席を立ち、俺とセロベルさんが席につく。ジーナちゃんはデザートをつつきつつ、お茶を飲んでいた。
リエナさんが木箱をふたつ重ねて持ってきた。いつものたまごに加え、お肉も沢山。「おはよう。これ、今日のお礼ね。昨夜の分も込みだから」
「わー、おいしそう。ありがとうございます……わ」
「マオが欲しがってた、骨。だしをとるの?」
「です。今から仕込んじゃおう」
パンを口へ詰めこみ、骨の仕込みにかかる。と云っても、綺麗にお肉を削ぎ落してあるから、バットに並べてオーブンへつっこむだけだ。
リエナさんの食事を用意した。「こちらのお嬢さんは?」
「ああ、ジーナちゃんです」
「どうも」
ジーナちゃんの素っ気ない挨拶に、リエナさんはくすくすした。
「成程、一回焼くのね」
「そうすると、なんていうのかな……香ばしさが加わって、臭みが軽減される気がするんですよね。色にはたいして影響しませんし」
リエナさんは頷いて、お鍋を用意する俺の手許を見た。「マオ、あんまり力ないのねえ。腕が震えてる」
(´;ω;`)ブワッ