異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
東門傍でふたりと合流した。
マルロさんは、なんていうのだろう。菱形?台形?の帽子を被っている。バトンはいつもより長い。鎧も、警邏隊のものではなくて、くらい色合いだった。
ヨーくんも鎧が違う。ついでに、かっこいいマントを羽織っていた。
「手続き大丈夫だったか」
「大丈夫です」
「マルロ、新しい鎧おろしちゃいましたー」
マルロさんがぴょこぴょこ飛び跳ねた。バトンがしゃんしゃんと音を立てる。
俺が目を瞠ったからか、マルロさんはバトンをくるっとまわした。「これ、ルジュアットの宝石がはいってるですよっ。マルロの本気装備ですっ」
バトンの先が太くなっているのだが、そこにルジュアットの宝石がはいっているみたいだ。あのふわふわから宝石が採れるって、本当なんだ。
ヨーくんが感心したような声をたてた。「マルロさん、ルジュアットの宝石なんて持ってるんですね。凄いなあ」
「えへへ。三年前にご褒美でもらったです」
「あん時は大変だったろ。俺らにも応援要請が来たからなあ」
なんのはなしだろう。
三人は東門へ向けて歩き出す。俺も一拍遅れてついていった。おざなりな検査の後、レントを出る。
門が遠くなるにつれて、月の存在感が増す。今夜は半月だ。北東へ延びる街道は、わずかに傾斜がついていて、俺達はそれを下っていっているようだった。「あれって結局、還元過多ってことになっちゃいましたね」
「らしいな。ヨーはもう傭兵やってたのか?」
「はい。まだ全然下っ端で、バルドさんの指揮で補給係やってました」
「マルロは前線で応急処置してたです」
足をはやめる。このひと達歩くのはやいな。「なんのはなしですか」
「ア?ああ、お前三年前はレントに居なかったんだよな。聴いたことないか?魔物が大量にやってきて、傭兵総出で退治したんだよ。にも、手が空いてたら助けてくれって、下からな」
そんなに大変なことがあったのか。
マルロさんがバトンをしゃらしゃら云わせた。「被害は少なくて済んだですよ。強いかたがいらしたのでー」
「強い?」
「今の、傭兵協会副協会長です。それに、ロアから来ていた受験生たちが参戦してくれて、随分楽だったそうです。ほら、凄い能力だったり、変わった特殊能力のひとが居ますから」
「要請に応えて降りてみたら、もう魔物は居なかったっけ」
「へー。ほかの地域の子達は?」
「シアイルは、後方支援で何人か来てくれたらしいですけど、ディファーズは廟にこもってお祈りしてたってききましたよ。あとの国は、癒しの力持ちと、修復者が、なにか手伝えないかって来るのが多かったかな」
ヨーくんが宙に目をさまよわせて云い、マルロさんが頷く。「ロアのひと達は、気性は荒いですけど、困った時には助けに来てくれるですよ」