異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
ほんとはお酒がいいんだけど、お水にお塩を溶く。よく洗った手をそれでぬらし、あったかいご飯を掌へのっける。できたら炊きたて。まんなかをくぼませて、具をいれたら、ご飯をちょっと追加。両手でくるくるまわしながら握る。火傷しても我慢。俺はかたく握ってあるのが好きだ。
ふんわりやわらかく握るのはおいしいのかもしれんが、だったら握る必要なくねと思う。100か0かの人間なのである。臭くないたくあんとか糸を引かない納豆と同じものを感じてしまってどうも苦手。人参の臭みを消すメニューとかな。そもそも臭くないしあの匂いが好きで食べているのに余計なお世話である。
とにかくぎゅうぎゅう握る。ふわっとしたもんがくいたきゃお茶碗によそっためしをくえばいいのだ。握り飯は断固としてかたく握る。
それを、のりがあれば包む。ないからできない。お握りののりはしっとり派。ぱりっとしたのりがいいならお茶碗によそったご飯にのりまいて(ry
そんな工程を経てできあがった、お握り八個を、リッターくんはまじまじ見詰める。俺は胸を張った。「こっちの中身は昆布の佃煮だよ。こっちはきのこの塩焼き」
リッターくんが一瞬俺を見て、お握りを掴んで食べた。もぐもぐしながらもう片方の手にもお握りを掴む。おいしかったみたい。
「佃煮、まだあるから、持って帰ってね。包んでおくよ」
リッターくんはふるふる頭を振った。お握りを指差しているから、これで充分、ということかな。
ジーナちゃんがナイフフォークでとり手羽元を解体している。「それはなあに?」
「お握りだよ。ご飯でぐをくるんであるんだ」
「ああ、サンドウィッチみたいなものなのね」
「おいしそうだなあ」
サキくんが云うと、リッターくんがサキくんへひとつ、お握りを差し出した。サキくんは目を白黒させてうけとる。「あ。ありがとうリッター……」
リッターくんは頭を振る。口いっぱいお握りを頬張っているのが可愛い。
かつお田麩もつくらなきゃ。といっても、ごく簡単だ。
お鍋にお砂糖と少量のお水をいれて火にかけ、とかす。そこへかつおのだしがらを加え、かきまぜながら煮含める。焦がさないよう気を付けて。
ある程度煮詰まったらお醤油を加える。焦げやすいから気を付けてかきまぜつつ煮詰め、水分がそれなりに飛んだらできあがり。お砂糖はさめるとかたくなるから、そこまで神経質に煮詰めなくていい。
もうひとつのつくりかたは、たづくりみたいなやつ。かつおのだしがらをよく炒ってバットにあけ、水分を飛ばしておく。お砂糖とお醤油でたれをつくり、かりかりになったかつおのだしがらをいれて絡めたら完成。
味に大差はない。後者のほうが焦がす心配が少ないと云うだけだ。今回は前者。