召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲の日記より抜粋
目覚めから数日後(正確な日付は不明)
目が覚めてから何とかこの国の言葉を理解して数日後、とにかく僕はまずこの国の事を知ろうと思いました。そこで、とにかく情報の収集に努めましたが、実は特に努力らしいことは必要ありませんでした。なぜかと言うと、この国には遠隔地の情報を伝えてくれる大変有り難いものがあるからです。それはテレビ。病室に何も飾られていない黒い額縁のような物がありまして、看護師の村上さんに「これ何ですか?」と尋ねたら、そのテレビを起動してくれました(ちなみに、テレビを起動することを、テレビをつけるというそうです)。テレビがついた瞬間、僕は人生でこれほど驚いた経験はないくらいに衝撃を受けました。それは、そのテレビの中に人がいたのです。しかも自由に動き回っていました。目を丸くしてテレビ画面を食い入るように見る僕を見た村上さんは、珍獣でも見るような目つきで眺めていましたが、僕が記憶喪失であることが分かっているので、そのまま何も言わず部屋を出ていきました。でも僕の方は、そんなことよりもテレビなるものに釘付け状態。ボタンを押すと画面が変わって、別の人が瞬時に出てきたりして、何かに化かされている感じでした。でも、言葉は分かるので、その中でも特にニュースと言う番組を中心に見るようにしていました。幾つか見ている中で分かったことは、まずこの世界は地球という惑星で、空には太陽が一つだけあること。僕の居たサモナルドは2つの太陽があることからして、明らかにここが別の世界であることは明白です。そして、この地球には沢山の国があり、しかも言葉も国によって異なっているとのこと。これだと、意思疎通や交渉事とか大変だろうな、などといらぬ心配をしておりました。そして、僕がいる国は日本というところで、ケンタリアと同じように、議会でルールや物事を決め、議会から選ばれた執政官みたいな人がそれを執行するようです(しかも、議会の様子もテレビで見られるんです)。
あと、今僕が入院しているところは中部地方にある市の東洛市民病院になります。そして、この東洛市には僕が肉体を借りている(かな?)最神玲と言う青年が通う東洛総合大学という学校があり、最神玲はその大学に通うためにこの町に移り住んでいました。ちなみに、最神玲の実家はこの国の首都になる東京という大都市の郊外の都市だそうです。そのため、最神玲の両親は頻繁に見舞いには来れないと言ってました(意識を回復してから数日間はこの町の宿泊施設に泊まっていたようでした)。
リハビリを開始した日(目覚めから10日位経過)
この世界では電気というものがあり、それが全ての道具とかを動かしているということを知りました。どうして知ったかと言うと、身体機能の回復のためのリハビリを始めた頃、黒田さんというお爺さんと知り合いました。黒田さんは自宅の廊下で転んで足を捻挫。骨折には至らなかったのは不幸中の幸いだった、と笑いながら話しておりました。その黒田さんは、何やら強烈な明かりを照らす装置を使って怪我をしたところにその光を当てておりました。僕は好奇心から、これは何ですか、と尋ねたところ、何やらレーザー何たらとかよく分からない装置名を言ってまして(ご本人もよくわからへん、と仰ってましたが)。で、また好奇心から、そのレーザーとかって何ですか、とまた尋ねたところ、電気を使って作るけどよく分からん、と答えてくれました。すいません、治療中にお付き合い頂きまして。そして更に電気とは何かと聞いた途端、んっ、と怪訝な顔付きに。そりゃそうか、子供でも知っている知識を何かと尋ねられたら、頭大丈夫かとか、何かの嫌がらせかと不審に思うよね。そこで、黒田さんに僕が記憶喪失にあることを伝え、とにかく元の記憶を戻す切っ掛けを得るために迷惑を承知で尋ねておりますと話したところ、そういうことか、と納得して頂きまして、それから色々と教えてくれました。
例えば、この部屋にある明かり。これも電気で照らしているとのこと。サモナルドでは発光石という鉱石があり、これに火をつけるとその石に火が移って石全体が発光するという、ちょっと変わった特性を持つ鉱石がありまして、これをガラスの容器とかに入れて使用します。意外と発光石は手のひらに乗るサイズでも連続使用でサモナルドの10日間は使えるし、外が明るくなって不要になったら水につけると消えるので、一般市民に親しまれる鉱石です。ちなみに、街の街灯でも使われてます。でも、用途は明かりだけで、それ以外には使えないので、その点電気は凄いと思います。もしこの電気がサモナルドにもあったら、人々の生活は激変するだろうな、なんて考えたりしましたが、多分そんなこと実現できないだろうとは思ってます。悲しいけど。それと、もう一つ衝撃的だったのは、この世界の食べ物の多様さと美味さです。例えば、この世界の病院では朝、昼、晩と食事が出て、それが結構おいしいんです。病院自体はケンタリアにもあり食事は一応出ますが、当然治すことが優先されるので、質的にはかなり落ちます(栄養はあるとは思いますが)。尤も、流石にサリと言ったあの店のような料理は出ませんが、町のちょっとした飲食店と比べても遜色ないかそれ以上の味付けでした。うーん、何か贅沢した感じです。
退院当日(目覚めから20日ほど経過)
さて、いよいよ退院当日を迎えました。最神玲の両親が迎えに来まして、お世話になった先生に挨拶して、いざ帰宅なんですが、今回は東洛市にある最神玲の下宿先ではなく、実家の方になりました。まだ、容態が完全ではないのと、記憶障害があることから、最神玲の両親は自分達の目の届くところで世話をしたいということで、それに従いました。病院から実家までは自動車で3~4時間と言われてましたが、時間の感じはどうやらサモナルドと同じようです。これは一つ安心かな。そうそう、移動中ですが、そこでも僕は驚きの連続。まずは、移動に使う自動車または単に車と言うもの。これは動く部屋という感じで、その中に座っていると勝手に動き出し、目的地に連れて行ってくれます。ただし、自動車が勝手に連れて行ってくれるのではなく、自分で運転するんだそうですが。この自動車は、この世界で最もメジャーな足ということでした。召喚術が使えるなら、真っ先に召喚対象にしたい一品です。それと、その車が走る道。サモナルドの道は、街中は石畳ですが、郊外とか町の外は人が踏みしめて固められた土の道。それが日本の道はアスファルトという何か黒い物で固められた石畳のような道がどこまでも続いており、しかも車に乗っていても、揺れたりすることなく静かに過ごせました。これならどんな長旅でも快適に行けそうで、ちょっとこの国の人達が羨ましい(と言っても僕自身、長旅は故郷からケンタリアに来たのが最初で最後ですが)。それと、移動の途中に立ち寄ったサービスエリアとかいう所。運転に疲れたりしたときに休むところで、沢山のしかも色々な形の車が駐車場という所に止まっており、その周りには色々なお店が立ち並んでいたりと、テンション上がりっぱなしでした(余りはしゃぐとジロジロみられるので、その辺は控えめにしてました)。特にそこで食べたラーメンというもの。僕の人生で出会ったことのない極上の一品と言っても言い過ぎではない食べ物。こんなのが、毎日食べれるなんて、何と羨ましいことか。とにかく、何から何まで初めての物ばかりのためか、途中で疲れて車内で寝てしまいました。何か勿体ない気がするけど、睡魔には勝てませんでした。
そうだ、何かカルチャーショックということで自分の頭がパニックになっておりましたが、冷静に考えると必ずしも全てにおいて地球がサモナルドよりも優れているとは言えないこともありました。特にそう感じたのが、地球の空気の汚さと森林の少なさ。サモナルドはケンタリアもそうだけど、大抵の国はその周囲に広大な森林地帯を抱えています。これは、その森林からの恵み、食べ物や燃料など、が都市の生活に欠かせないことに起因します。そして、森林が多いと供給される酸素量が増えるので、その分美味しい空気に恵まれるのではないかと考えています。一方地球では、僕が驚いた車、この車は走るときに排気ガスを発生させます。そして、この排気ガスも実は空気を汚す原因になるそうなので、地球では空気を美味しくする工夫が余り見られない感じで、この点はがっかりしました。
さてその後、無事に最神玲の実家に着きまして、彼の使っていた部屋、と言うか最神玲という青年が幼少の頃から東洛市に引っ越すまで使っていた部屋に通されました。見た感じ、僕のケンタリアの部屋とは似ても似つかないシンプルだけど機能的な部屋。ちなみに、主に使う物は彼の下宿先にあるため、ここでは昔使っていた小物などが残されているだけでしたが、それでも僕には十分過ぎるくらいに魅力的な物ばかりでした。壁際にあるタンスの中にきちんとしまわれた彼の衣服は、どれもケンタリアで見たことのないデザイン(でも、サリとの食事の時に着ていった服装の方が派手ではあったが)。そして、部屋の隅に置かれたあのテレビ。早速スイッチを押すと電源が入って何やら多く人が騒いでいる映像が流れました。暫くテレビを見ていて、そのまま付けっぱなしにした状態で、他の物を見て回ることに。先程から気になっているのが、机の上に置いてある黒い板みたいなもの。よく分からないけど、板の中ほどに隙間があるので、そこを両手で持って開けてみることにしました。するとテレビに似た画面と数字や記号が書かれたボタンが設置されていました。あっ、これって、前にテレビで見たことのある、パソコンとか言う物かな? これ、すごく興味あったんだけど、病院には看護師さん達が詰めている所にはあって、でも流石にそこは遠慮して見ているだけにしておりました。で、今僕の目の前にその実物が。ワクワクしながらスイッチらしきものに触れましたが、何の反応もなし。ん? 壊れているのかな? ちょっと分からないので、そのままにしておくことに。後で家の人に聞いてみようかと。その後、一通り見て回り、とりあえず、これまでの事をノートに書き綴っておくことにしましたが、こうして最神玲の部屋にいて、彼の残した物を見て触れて、この青年がどういう人生を送って来たのか少し興味が出てきました。彼と会うことはもう不可能だけど、出来ればこの世界に何かしら彼の足跡を残せれたらいいな、などとは大袈裟かもしれないけど、そんなことに思い耽りました。そして、この時から、僕は最神玲として生きていこうと心に誓うのでした。
さて、暫くの間、部屋のベッドに寝そべりながらテレビを見ていた時、カバンの中から聞きなれた音楽が流れてきました。早速その音の正体であるスマホを手に取り画面を確認すると、物部かすみからの電話でした(この電話と言う装置もサモナルドにはないハイテク装置)。ところで、なぜ僕がスマホを使えるのか?それは、入院中にかすみが幾つか僕の私物を下宿先から持ってきてくれていて(なぜ部屋に入れたのかは謎)、その中にスマホがありました。ただ使い方が分からないので彼女に聞いたのですが、正直何を言っているのかさっぱり分かりませんでした。僕が腕組みして眉間に皺寄せてうーん、と唸っているだけなのを見かねてか、最終的には電話の使い方だけ教えてもらいました(これもよく分からないので、とりあえず何回か画面を触ればOKにしてもらいました)。と言うことで、初めてこの世界のテクノロジーに触れたカーンさんでした。
「もしもし、玲。無事実家に着いた?」
「あー、うん、今部屋で寝転がっているところ」
「そう、長旅だったけど体の方は大丈夫?」
「うん、全然。それよりも、
何か見るもの全て新鮮なんで、
きょろきょろしていたら疲れちゃった」
「そうか、まだ記憶は戻ってないんだよね。
そういう刺激を受けると、
何かのきっかけで思い出すとか何とか、
本か動画で見た気がしたけど、
まぁ、慌てずゆっくりと思い出すことね」
「うん、そうだね。色々と心配かけてごめんね」
「はぁー、まさか玲から
ごめんの言葉をかけられるとは。
あんた、本当に記憶が無いんだね」
えっ、どういうことですか?もしかして、疑ってらっしゃったんでしょうか、かすみさん。
「まあ、とりあえず、
玲の元気そうな声を聞けて安心したわ。
じゃあ、これで切るね」
「うん、またね」
何か他愛もない会話だけど、かすみの思いやりを凄く感じました。最神玲は本当に皆から好かれる羨ましい存在なんだね。
6月5日火曜日
今回、この日記風の資料に日付を入れました。と言うのも、この世界の暦について少し触れておきたいからです。サモナルドは、720日前後でクリモアとクレアという2つの太陽の周りを周っているのは知られていますが、地球は太陽の周りを365日程で周っています。これを12等分した時の1つの期間を「月」と呼びます。これは、地球の周りを月と呼ばれる衛星が周回しており、それが同じ時間に同じ方角に現れる周期が30日程ということと関係しているとか何とか。従って、今日は6つ目の期間の5日目ということになります。それと「火曜日」とあるのは、7日間を1つの小さな期間として定義しており、その7日に対し、「日、月、火、水、木、金、土」という記号を割り当てて表すことから来てました。なぜこんな表現をするのかと言うと、僕も詳しくはないですが、地球で働く人たちは毎日連続して働けないそうで(なんか法律で決まっているとか)、7日に1回休まないとダメだとか、それを決めるのに都合がいいんだ、などと知ったかぶりのかすみが電話口で喋ってました。多分、本人も知らないな。まぁ、予定立てる時に、何曜日の何時に、とか決めれば楽だけどね。サモナルドは単純に720日20分割して、1旬、2旬とか呼びまして、1旬目の何日、とか表現するだけなので、予定を立てても忘れやすいのが難点でした(このことをサリに訴えても、「ガキかよ!」見たいにジト目で見られました)。
今日は特に何もすることはないので(いや、今日もか)、スマホの使い方を練習しております。何とか、電話以外の機能として、ブラウザという物を使って検索ということをしております。検索は、要するに何か分からない言葉や物を調べることが出来る機能であり、それを使ってスマホの使い方というページに何とか辿り着くことが出来ました。ちなみに、これだけのことをするのに、ほぼ1日かかりました。1日かかった原因というのは、とにかく検索するための文字を入力できないことが原因でした。悪戦苦闘するも埒が明かず、結局かすみにヘルプを掛けました。流石のかすみも、またか、的な感じで、一つため息をついて、音声入力ができるからそれを試したら、と教えてくれました。何だ、こんな方法があったのか!くそ、俺の一日を返せ、とは誰に向けた叫びなのか。で、やっと目的のページに着きまして、今見ているところです。実はこの音声入力、後で驚きの展開に繋がるのですが、この時の僕はそんなこと知る由もなく。
この後、チャットアプリのLINEというものが使えるようになりました。早速開いてかすみの登録ページがあったので、そこからかすみに「いろいろ有難うねようやくこれも使えるようになった」とメッセージを勿論音声入力で入れて送信しました。すると、直ぐに、[おめでとう これでやり取りできるね]と返信が。早っ。
6月7日木曜日
ここ数日、外に連れ出されて色んなところに出向いたり、母の買い物に付き合わされたりして、帰ったら疲れからか、そのままパタンとベッドに倒れる日々を送っていました。その間にも、勿論、新鮮な体験を色々したのですが、全て書き綴るのも正直しんどいので、ちょっと重要と言うか、そんなことだけを書き連ねます。
地球では、「神」という絶対的な存在があるそうです。そして、その神に対し忠誠を誓うとか、神の言う通りに生活することで、死後に安寧を得るというか、天国というところにいけると言われているそうです。そしてそのためには、この世界で「宗教」と言う者に入って、神のために身も心も捧げることが義務付けられているとか。何のこっちゃ、という感想しか僕にはありません。なぜなら、サモナルドにはそもそも神のような存在は無いからです。そのため、宗教というものも存在しません(少なくとも、ケンタリアやその周辺国に限定ですが)。でもここ地球では、神や宗教が絶対の物だと信じている人達が大勢いるそうで、時にそれらの主義や主張が異なるというだけで戦争したりするようで、こうなると僕の理解を越えてしまいました。住む世界が違うと人はこんなに違う者になるのかと思い知らされました。
6月8日金曜日
この世界に来てから1ヶ月位経つのでしょうか、実は今の今まで召喚が出来てないんです。というか、召喚そのものが出来ない、今では自分にとっては無くてはならない能力が使えないという、衝撃的な現実にぶち当たってます。入院中に一度召喚を試したことがありますが、残念ながら何も召喚できませんでした。思うに、こちらの世界に来た時に、他人の体に乗り移ったことが原因で召喚術が使えなくなったのかと愕然としたのです。でもやっぱり何かしら召喚みたいなことをしてないと落ち着かないという訳で、今日改めて召喚をしてみることにしました。ダメ元でまずは、基本の召喚の書の呼び出しを、っと
「・・・!」
えっ、召喚の書が出て来た!?嘘、何で?召喚の書を呼び出せたということは、召喚が可能ということか。もしそうなら、これはどうだ
「・・・!」
おー、出来た。ケンタリアの兵士が使う標準的な剣。これも召喚できるのか。なるほど。とりあえず、物騒なので一旦召喚解除っと。それから、そうだな、ちょっと動物でも召喚してみようか。できれば話し相手になって欲しいので、自我を持つタイプかな。でも本来なら、その動物に触れて召喚の書に記入してから召喚するんだけど、実物に触れる機会が無くって。それで、別の方法として、自分で召喚の書に書き込む方法があるので、そちらで試すことに。ただし、この方法は、自分の想像力と言うか、そういうセンスが試されたりするので、思い通りにいかなかったりするのが難点ですが、まぁ、そんなこと今は気にしない(どうせ、誰も見てないし)。そして、身近な動物と言えば地球ならこれかな。
「・・・・・・?」
「よう、わしを呼んだんはわれか?」
うーん、成功か? とりあえず、地球と言えば猫かと思って呼び出したんですが(ちなみに、サモナルドには猫そのものはおりませんで、街中で見かけるのはリスに似たケルピーやネズミに似たスモネルくらいですね)、何か猫とは微妙に違う気が。とりあえず、自我を持つのはその通りだとして、フォルムが何と言うか。確かに、猫耳、ひげ、猫目に関してはしっかりと猫の特徴を持ち、全身は白い毛で覆われている白猫、この辺は全く問題ない。大きさもちょっと小さいかな、でもこれもOK。問題は…彼の足先、所謂肉球というやつ。いやいや、「にくきゅう」ではなく、「にくたま」でしょう、これ。と言うのは、明らかに肉球が大きいというか玲の部屋に置いてある椅子の脚を支える車輪の様なというか、それくらいに立派な肉球なのです。なんでこうなるのか、僕にはさっぱり分かりませんって、僕が想像したんだから僕の責任か..。
「なんや、わしに文句でもあるんか?」
しかも、何やらガラの悪いやばそうな雰囲気を醸し出しています。これはダメ、速攻で解除。
「おいおいおい、
いきなり召喚解除は頂けねーな。
兄ちゃんよ」
ん、何か言葉遣いが微妙に変化したような。全く、何やねんなこいつ(おっと、偶に使うかすみの言葉が移ってしまった)。
「あのー、どちら様ですか?」
「はー、いやいや、こちとら兄ちゃんが
召喚したから出て来てんけどな」
「えーっ、こんなガラの悪い
猫もどきを召喚した覚えはないです。
なので解除」
「アホんだらー。待て言うとろうが。
話聞かんかボケ」
「うーん、あのね、ガラの悪さもそうだけど、
先ずそのフォルム、どう見ても猫ではないよね?
何その肉球。超変則的なんですが。
もしこれで外に出ようものなら、
UMAだったっけ、怪しい生物扱いされて
捕獲されて切り刻まれますよ」
「はぁー?そんなことわし知らんがな。
そもそもワレが召喚したんやんけ。
いい加減にさらせよ、このボケカス」
段々と柄が悪くなる一方なので、とりあえず、この状況を一旦整理するためにも強制解除。こらー、このクソボケー、と言う罵詈雑言が響いてますが、そんなのは無視。はぁー、疲れた。今日は一旦休もうっと。
6月9日土曜日
仕切り直してもう一回召喚チャレンジ。
「・・・・・・・!」
「私を召喚したのはあなたですか?」
うん、今日は昨日とは打って変わって、穏やかな感じの猫さんです。しかも肉球が正常。うん、これこれ。
「はい、召喚したのは私です。
もしかして、昨日召喚した猫ですか?」
と少し恐る恐る尋ねてみましたが、
「はい、同じです。
でも、何か変な感じですが」
えー、あのガラの悪い猫がどうしてこうなったの? これぞ、猫を被る、じゃないよね? うーん、やはり原因はあの肉球か、というか「にくたま」か。
「いやいや、あなたは正常ですよ。
そして僕の召喚も完璧です」
と自画自賛。
「あっ、そうだ。折角なんで、
名前つけておきますね。
あなたの名前は[にくたま]にします」
「はあ、にくたまですか。
分かりました、ご主人様」
ん、何か気に入らなかったのか。気に入らないと、また昨日のような柄悪猫に変身でもするのか。とりあえず、召喚は成功と言うことで、これをショートカットに登録。ちなみに、その日はにくたまとお喋りして過ごしましたが、終日召喚していても、特に召喚エネルギーの減少らしきことはなさそうですが、念のため寝る前に召喚解除。ではおやすみなさい。