召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
仕事始め
4月になって、いよいよ最神玲と物部かすみは、神社での仕事を始めた。ただし、二人共何をするのかは全く把握していないため、今まで手弁当で神社の雑務をこなしてきた佐藤栄子という田所邸の近所に住む年配のおば様に色々と指導してもらうことになった。と言っても、基本的には参道と境内の掃除、拝殿と本殿に繋がる幣殿の拭き掃除(掃除関係は数日おきでいいとのこと)とお供え物の準備、後は社務所にて賽銭の管理や参拝客の案内などである。なお、正月の初詣時は、かすみだけが巫女装束に着替えて、おやお札の販売をする仕事も入る。まあ、言われてそんなに難しいことは無いので、やること自体は特に問題ない。ちなみに、勤務時間は朝8時から夕方5時まで。土日は休みとなる。ちゃんと土日休みを貰えるのは悪くないかもしれないぞと思うかすみであるが、玲ことカーンはそもそも地球でバイトをしたことが無いので、その辺の実感はそもそもない。後は、毎月1日にが宮司によって執り行われる。これは神への感謝と氏子の健康を祈願するために行われる神社の行事であるが、この時の宮司のサポートも行う。加えて、祭りの時期になると、社務所の集会所での打ち合わせがあるため、その手筈とかが少し面倒になることがある模様。そして、作業時は作務衣に着替えて作業をすることである。
「難しい作業などはなさそうで助かるね、玲」
「うん、まあ、何となく
肉体労働が多そうだけどね、はは」
確かに筋肉ゼロを自慢する玲ことカーンであれば、肉体労働はNGだが、玲自身は実は肉体労働は特に厭わないような体つきである。しかし、中身のカーンはそれでも否定的であるのは、いかんともし難い。
さて、神社での仕事を覚えたら、次は自分たちの仕事の番となる。つまり、[M M超心理学研究所]の旗揚げである。と言っても、何をするでもなく、ただ「やります」と宣言しただけであるが。勿論、これでは誰も見向きもしないので、広告なりCMなりをする必要があろう。
「まず会社と言うか法人化するなら、
と言う会社の憲法を決めたり、
資本金を幾らにするとか、
本社をどこにするかとか、
何か細々と決める必要があるそうなんだけど。
まあ、より具体的に知りたければ、
ネット見るのが早いね」
とはかすみの意見。かすみの実家も会社経営しているので、そういう所はちゃんと理解しているのかと思う玲なのだが、実際はかすみも聞きかじりであったか。
「あるいは、個人経営というか
自営業でやるかだろうね」
とは玲の意見。実はこういう時に役に立つのが、最近話題のチャットAI。玲ことカーンが最初にこの機能を教えてもらったのは他でもないかすみである。確か卒論の仕上げで、どんな風に結論を持っていくべきか悩んでた時に、チャットAIに聞いてみたら、ということで試したのが切っ掛けであった。そこで、会社設立か自営業かどちらが有利かをチャットAIに尋ねたところ、月の収入が50万円未満なら自営業、それを越えるようなら法人化を検討したらという回答が得られた。後は、銀行から融資を受けたいとか取引先の信用を重視したい場合は最初から法人化すべきとのアドバイスもあった。そうすると、自分達はまだ収入があるのかどうか分からない状況なので、取りあえず個人経営で進めることとし、場合によっては後で法人化する方向で検討する、と言うことで纏まった。チャットAI様様である。
後はどういう感じで営業をするかであるが、実は玲は広告とかCMには消極的であった。理由は単純で、地球人の霊体や心霊に対する偏見が強いためである。サモナルド人なら、多分ほとんど例外なく心霊現象の類に偏見を持つ人はいないと言い切れるのだが、地球人はむしろ科学信奉が強すぎるのか、未知なるものに対するアレルギーが強くでてしまう。そのため、そのような人種に心霊に関する広告とかしても全く逆効果になるのは目に見えているのである。そこで、こういう場合は地道に口コミとかで広まるようにすべきではないか、と言うのが玲の意見である。これに対してかすみも、実は同じ意見を持っていた。それは自分の実体験からも明らかで、霊界に行って霊体が見える様になる前は、どこか心霊とか霊現象に懐疑的であったんだと告白し、これは自分だけでなく、世間一般の意見と同じだろうと結論付けたのである。そのため、地道に口コミで利用者を増やす戦略をとることにしたのである。ちなみに、かすみは紹介した方には次回以降に利用できる割引券を配布してもいいんじゃない、などとお道化て言うのであるが、流石に心霊現象で苦しむリピーターはどうなんだろうな、と思う玲である。
そして、口コミ戦略の第一弾として、母校の総合大学の心霊サークルの顧問に就任するのであった。一応、前部長の稲垣から、新部長の関健太郎の連絡先は聞いているので、そこに稲垣から聞いた話と、今後もし除霊などが必要となったら我々が助けに行くことを伝えて彼の了承を得た。なお、除霊等が必要になった場合は実費として学生価格で5万円を頂くことは了解を得ているが、その辺は要相談というところか。
「そうだ、玲、具体的に何をするかとか、
それに対する金額を決めないとだけど」
と言われて、確かにそれ決めないと仕事ができないなと思う玲である。そこで、こんな感じで纏めた。
降霊術のみは5万円(魂を呼び寄せて対話するだけ)
除霊する場合は10万円
・ただし、必要に応じて現地調査や
宿泊費を実費として徴収
・除霊後に支払いを拒否した場合、
契約不履行と見なす。
その場合、除霊自体をキャンセル
したこととみなすため、
除霊した霊体を再度呼び出して
除霊前の状態に戻す
それと、玲は次の項目も追加した。
蘇生をする場合は500万円
(前金で250万円、残りは無事蘇生した後の支払い)
・蘇生には、死者の蘇生と
植物状態の患者の蘇生が含まれる
・なお、蘇生を行う時点で魂が
既に転生している場合、
または魂が霊界に存在しても
霊体自身が蘇生を拒む場合は、
現地調査や宿泊費等の実費を除き
全て返金する
・蘇生後に残金の支払いを拒否した場合、
契約不履行とみなす。
その場合、前払金の返金はしない。
更に、蘇生自体をキャンセルしたことと
みなすため、蘇生手続きを元に戻す
(魂は霊界に送り届けることと
肉体が霊界にある場合は肉体も霊界に送り届ける)
現状、蘇生が出来るのは玲のみであるが、高額に設定したのはそれだけリスクがあるのと、これだけ払ってでも蘇生させたいのかどうかを決心させるためであった。
以上の点に関してかすみは何も異存はないので、M M超心理学研究所はここにオープンした。なお、神社でのお祓いを除くと、除霊の値段が10万円は実は破格の安さであり、一般というか自称霊能者は、この除霊に数百万とかの値段を吹っ掛けたりするのである。そのため、後にこのことで色々と揉め事が発生するのであるが、それはまた後程。