召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
美少女降霊術師の心霊事件簿12: 探偵業始めました (第4幕)
M Mの別荘に戻って来た物部かすみは、早速内線を使って離れにいる最神玲と神室霊華の2人を呼び出してリビングに集まってもらった。そして先程掴んだ新事実を2人に話すと、
「まさか、事故だと思われたことが
殺人事件だったとは......」
と玲は余りに衝撃的な展開から、唇が半開きのまま固まってしまいその後の言葉が続かなかった。神室霊華も殺人事件と言う言葉に対し驚きで言葉を失ってしまった。そしてこのままでは当然亡くなった女性は浮かばれないだろうから何とか解決したいというかすみの熱意に対し、2人は大きく頷いて強く同意した。だが、残念ながら当人にその人物に対する心当たりが無いようで、しかも目撃者がいないとなると、どうやって犯人を突き止めるのか、そこが最大の問題として残る。そこで3人はあれこれと話し合うのだが、そんな時に玲が
「人は無理だけど、動物達に何か話を聞くとかは
どうなんだろう......」
と呟いた。かすみは玲のその呟きを聞き逃さず、直ぐに、
「そや! それそれ!!うちらには
その方法があるやんか!!」
と興奮して騒ぎ出した。そう、彼らには神室霊華の言うところの式神を持っており、玲であれば猫のにくたま、かすみであればカラスのレイちゃんとトイプードルのレイちゃん(仮)、神室霊華もフクロウのカスミちゃん(仮)を始め、ハツカネズミと雀(それぞれ名前募集中)を持っている。しかもその式神たちは、動物たちの言葉を理解できるため、聞き込みに関してこれ程最適なのもいない。そしてそれらを駆使して聞き込みをすれば、何かしら情報が得られるのではないかと期待されたのだ。
3人は、まだ夕飯までには十分時間があることから、かすみの案内で一度現地に向かうことにした。そしてかすみがから聞き出した場所に2人を案内してやって来たのだが、
「て、堤防道路と、い、言っても、
か、幹線道路から、は、外れているのか、
そ、そんなに車は、お、多くない、か、感じだね。
うぅー、寒い!」
「た、確かに、あ、茜さんが、な、亡くなった時も、
く、車は、ほ、殆ど、と、通ってなかった、
らら、らしいねんな。うぅー、あかん、寒すぎる!」
「そ、そうなると、ド、ドライブレコーダーから
し、調べることは、でで、出来ないですね
......ハッ、ハックシュン」
と3人は寒空の下、その場の状況を確認しながらそんな会話をしていた。尤も、警察ではないため、ドラレコから何か調べることは出来ないのだが。
「ほ、ほな、や、やっぱ、ど、動物達への
き、聞き込みしか、あ、あらへんな!」
とかすみが寒さで震えながらそう言うと、直ぐにカラスのレイちゃんを数羽程呼び出して、彼らに指示を与えた。玲と神室霊華もそれぞれにくたまと雀を召喚して聞き込みにあたらせた。そしてその場で寒さに震えながら待つこと20分、まずにくたまが帰って来たのだが、どうやら猫達の間には、ここで起きた事件に関する目撃証言は無いということであった。それから直ぐに、神室霊華の雀とかすみのカラスのレイちゃん達が帰って来た。すると
「おー、な、何やら、み、見かけた、
カ、カラスが、い、いるみたいやで!」
「わわ、私の方の、すす、雀たちも
なな、何やら、みみ、見かけた、
みみ、みたいですね!」
とかすみと神室霊華はそれぞれ唇を震わせながらお互いの成果を報告し合った。一方の玲は、
「ざ、残念ながら、こ、この辺に、ねね、猫たちが
いい、いる気配が、な、な、ないみたいで、
こ、こちらは、せ、成果、なな、なしだね」
とこちらも寒さで唇を震わせながらそう報告するが、期待通りの結果とはならなかったため、肩を落として項垂れてしまった。確かに、街中であれば猫を見かけないことはないのだが、それでもカラスや雀に比べると圧倒的に少ないのが現状だ。そしてかすみと神室霊華の召喚した動物達が仕入れた情報はと言うと、
「な、何やろな、お、男が、お、女を、お、押した、
そ、そんなこと、い、言うてんねんけど、
そ、それ以上の事は、わわ、分からん見たいやな」
「でで、でも、わわ、私の方は、どど、どうも、
そそ、その男は、かか、過去に、すす、雀達を、
ここ、殺した奴だと、ささ、騒いでました」
と過去に動物を虐待したり殺したりしていたということを神室霊華の式神が突き止めたのだ。そうすると
「ほほ、ほな、なな、何かしら、
じじ、事件ちゅうか、そそ、そんな、ト、トラブルが
ああ、あったかどうか、しし、調べた方が
え、え、ええ感じやな」
とかすみが指摘するように、恐らく最初は動物を殺していたものの、それでは飽き足らず、徐々にエスカレートして遂には人を殺すに至った、という動機が考えられたりする。
そこで、神室霊華が仕入れた情報から、ある地域に絞って再び聞き込みをすることになるのだが、その前に
「ああ、あかん、もも、もう、げげ、限界や!!」
とかすみがとうとうを上げてしまったので、3人は一度別荘に戻ることにした。そして直ぐに露天風呂に直行して体を温めた。30分ほど温泉に浸かると漸く体が芯から温まる気配を感じるようで、体から湯気を立ち昇らせながら母屋に戻り、再び現地に向かう準備を始めた。その時玲が、
「みんな、これを中に着込んだら大丈夫だよ」
と言ってその場にベストを3着召喚した。ただし普通のベストではなく、バッテリー内蔵のヒーター機能がついたベストである。そして更にその上にダウンコートを羽織れば、寒さ対策は万全となる。そして準備が整ったところで、3人は再び現地に向かった。
ある地域にやって来た3人は、再び動物達を召喚して聞き込みを開始した。暫くすると
「おー、にくたまがどうやら
殺された猫に関する情報を
仕入れて来たみたいだよ!」
と玲は興奮しながらかすみと神室霊華に伝えた。どうやら数年程前にその地域内で猫が殺されることが何件かあり、猫達の間ではあそこには絶対近づくなとボス猫から忠告を受けているという。
「ほな、その地域を調べたら、
容疑者が住んでるかもしれへんてことやな!」
とかすみが指摘するように、殺人犯の住む地域を徐々に絞り込みつつあった。
その後更に、神室霊華の召喚した雀たちが戻って来て神室霊華に何やら報告をするのだが、神室霊華の顔が徐々に興奮に包まれていく様子を玲とかすみは見逃さなかった。そして
「わ、分かりました、師匠、玲さん!
あるアパートのベランダで、
雀たちが餌でき出されて、
そのまま殺されたということが
あったみたいです!」
その場所に関してはどの雀たちも知っているようで、やはり猫たち同様、絶対に近づくなと厳命されているそうだ。そこで神室霊華は、雀たちを数羽召喚してその問題の場所に向かわせた。玲は、神室霊華の雀たちを追跡するように転移門をその場に設置し、かすみと神室霊華と一緒にその様子を見守った。
暫くするとあるアパート1階のテラスに雀たちは降り立った。そこには確かに雀が好みそうな鳥の餌が蒔かれていたのだが、その中には毒餌も含まれているようだ。とりあえず神室霊華は、雀たちに餌を食べたふりをして、その場で横たわるように召喚の書を通じて指示を出した。すると、テラスに面したガラス扉が開いて中から男が姿を現した。そしてその男は、死んだふりをしている雀たちをを使ってりに入れ、そのまま部屋の中に戻って行った。
「どうやら、こいつなんかな?」
とかすみはそう呟くが、まだこの段階で男を犯人と特定することはできない。本来であれば、警察で言うところの「面通し」をする必要があるのだが、被害者は既に亡くなっているためそれは出来ない。だが召喚術師である3人は、そのような手間をかける必要性はない。と言うのも
「ほな、何時分離しよっか?」
とかすみが玲に問い掛けたが、要するにその男の魂を分離して、直接問い質すことにしていたからだ。
「やはり、夜中の方が良いのでしょうか?」
と神室霊華は玲とかすみにそう尋ねるが、玲は首を横に振り
「多分、あのアパートは壁が薄そうなんで、
夜中だと余計に音が周りに漏れやすいと思いますね」
「ほな、やるなら今やな!」
とかすみは何やら興奮しながらそう口にするが、玲は苦笑いを浮かべつつも首を横に振って、
「何時やるの、今でしょ!じゃないよ、かすみ。
やはり夜になってからだね。そうしないと、
あそこのテラスに人が現れたら、
どう見ても怪しさマックスだよ。それとね」
その時玲が先ずテラスに転移して、そこで中の様子を確認してからその場で魂を分離させる、その後2人に来てもらう、という計画を披露した。すると、かすみは
「えぇー、ほな、その役目、うちがやるわ」
「元々この仕事はうちが引き受けたからな」と主張し出した。実際、誰がやっても問題ないので、玲は仕方ないとでもいうように肩を竦めて「じゃあ、かすみに任せるよ」と言ってかすみにお願いした。そうなると、日没までは1時間近くあるため、3人は再度別荘に転移して戻った。