召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
美少女降霊術師の心霊事件簿12: 探偵業始めました (後日談)
M Mの3人がある男に怨霊を憑りつかせたあの日から半月後、その男の名前は全国ニュースのトップで報じられた。しかもテレビだけでなく、新聞や雑誌と言った従来の紙媒体を始め、更には動画配信者もこの男の犯罪を特集したりしている。彼の名前は、今や日本中を悪い意味で席巻していた。
M Mの3人がこの男に怨霊を憑りつかせた翌日、男は体のだるさを感じながら目覚めた。すると直ぐに、耳元で「なぜ私を殺したの?」とび泣く声や「お前をり殺してやる!」と物騒な言葉を耳にした。男は辺りを見渡すもそこには自分以外誰もいない、何時もの自分の部屋がそこにあるだけであった。しかもテレビは消えたままである。もしかしてスマホの動画かと思うも、スマホは消えたままである。不思議に感じた男は、それではっきりと目が覚めたようで、そのままトイレに向かった。トイレで用を済ませてから洗面所で顔を洗った時も、鏡に映る自分に何か憑いてる様子は見られない。”気のせいか、あるいは幻聴か?”と思ったようだが、直ぐに耳元で同じ言葉が繰り返された。しかも先ほどよりもまた声の主が増えた気がした。男は声のした方に振り向くも、そこには誰もいない。鏡にも自分以外に何も映っていない。男は何やら飲み過ぎて頭が変になっていると思うことにし、そのまま着替えてバイトに向かった。
バイト先でも同じような声をずっと耳にしていたため、遂に同僚にこういう事があると相談を持ち掛けた。すると、同僚はもしかして悪い霊が憑りついているのではと伝え、念のため霊能力者にでも見てもらったら、とアドバイスした。そこで男はスマホで霊能力者を調べて、早速バイト終わりに隣町に住むある霊能力者を尋ねた。ところが、その霊能力者が玄関先でその男を目にした途端、「もも、申し訳ないが、私ではあなたを除霊できない!」と怯え切った表情でそう訴えてそのまま男を追い出して扉を閉めて鍵をかけた。まさに門前払いであった。男はショックで気が動転するも、「くそ、エセ霊能力者が!」と悪態をつきながら直ぐに別の霊能力者を探して向かうことにした。だがどこも同じ扱いを受けて、全く取り合ってくれない。
”田舎の霊能力者共は皆臆病か、
それともニセ霊能力者揃いか!”
と心の中で罵りながら、だが自分に何かが憑りついているのは分かったことから、一刻も早く除霊をしてもらうために有名な霊能力者を探すことにした。そして男は、ある人物に辿り着いた。
東京都内で暮らす霊能力者、名前をと言うが、彼の元に男はやって来た。最近特に評判が良い霊能力者で、しかも料金が安いこともあり、口コミで徐々に人気が出つつあるということで、電車と新幹線を乗り継いで東京までやって来た。その間も男の耳元では「なぜ私を殺したの?」とか「お前を憑り殺してやる!」という声をずっと耳にし続けている。その声を聞き続けてきたため夜も余り眠ることが出来ず、そのため目の下に隈が出来たりしており、もう精神的にはかなり疲弊しているのだが、それも今日で終わるだろうと思うと、足取りも軽くなる。
男は評判の霊能力者である樋上堅志郎と対面したのだが、樋上堅志郎は早速そこに3体の怨霊を目にした。本来であれば、直ぐにアニュラス型の降霊召喚門を設置して、3体の怨霊をお見送りすることは出来たはずである。ただし、今回のケースは、これが召喚術による降霊であることを目にしたため、その召喚門を即解除すれば問題は簡単に解決する。だが、樋上堅志郎には、目の前の男に張られている召喚門が全く理解できない。しかもその召喚門は彼と共に移動するという、つい最近自分も苦しめられたあの召喚門が設置されている。そのためそれを解除する手立てが彼の中には存在しないのであった。そしてこれを行ったのは、紛れもなくカーンフェルトその人であることは直ぐに分かった。となると、目の前のこの男も、何かしらに傷を持つということが推測されたため、半ば興味本位で樋上堅志郎はその場で男の魂を分離した。そして事情を聞き出したのだが...
“こいつは......こんな俺が言うのも何だが
こいつに同情する気にはならんな!”
と憤慨してしまう。そして直ぐに魂を元に戻してから、男に向かって
「これは特殊な呪いがかけられておりまして、
残念ながら私の手では解除することは出来ません。
恐らく――」
男に憑りついている怨霊の無念が晴らされない限り、霊はずっと憑りついたままだろうと警告した。男は思っても見ない言葉に動揺を隠せず、つい「こんな遠くまで来て、何もできないって、どういうことだ!」と激高した。だが樋上堅志郎は男の罵声に怯むことなく、冷たい視線を向けて
「あなたに憑りついている女性達は、
あなたによって殺されたのでしょう?
となると、あなたが取るべき手は唯一つ!」
警察に全てを打ち明けることだ、と男を正面から指差してそう訴えた。そしてこれが恐らくカーンの欲する答えだろうと見ていた。男はその場でがっくり肩を落とし、何も言わずに樋上堅志郎の元から去って行った。そして重い足取りで地元に戻って来た男は、その足で地元の警察署に向かい、自分が犯した罪を全て告白したのだった。