召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
蘇生 (第1幕)
今日は週末の土曜日。先程ある国にあるアメリカ軍の駐留基地から一仕事終えて戻って来た最神玲と物部かすみ、更にかすみの一番弟子の神室霊華と三番弟子のRINAは、出発前に集まった美土路神社の神職用住宅ではなく、何時もの様に週末を過ごす別荘にやって来た。そして持ち帰った情報を早速精査すべきところ、やはりここに来たら仕事の疲れを癒すことを忘れてはならない。と言うことで
「うわー、一仕事終えた後の温泉って、
なんやろ贅沢の極みやなー」
「本当に、かすみさんの言う通り、
めっちゃ気持ちいいですね。
何だかこのまま寝ちゃいそうです」
「師匠、RINAさん、気持ち良すぎて
ここで本気で寝ないようにしてくださいね」
と神室霊華のツッコミではないが忠告がはいるも、3人は露天風呂を楽しんでいた。すると隣の湯船から「うわー、気持ちいい」との玲の声が漏れ聞こえてきたので、神室霊華は早速真ん中の仕切りを開けた。
「玲さん、ご苦労様です。
USBはどうでしたか?」
「はい、問題なく読み込めましたよ。
今、リビングに僕のノートパソコンを
置いてますので、後で見ていただけますか?」
と玲と神室霊華はそんな会話しているが、実は玲は、美土路神社の自宅にノートパソコンを取りに戻っていたため、少し遅れて露天風呂にやって来たのだった。そして暫くの間湯船で体を温めていると、RINAがふと
「またラハニさんと一緒に入りたいですね」
とポツリと呟いた。その言葉を耳にした3人はRINAの言葉に大きく頷いた。そして「早く迎えに行かなあかんなー」とかすみは空を見上げながらそう口にした。それから4人は、露天風呂で疲れを癒したところで、体から湯気を立ち昇らせたまま母屋に戻って来た。
母屋に戻ると早速それぞれが動き出して仕事をし出す。神室霊華は、リビングのテーブルの上に置かれている玲のノートパソコンを操作し始めた。そして、USBの中に収められている情報のうち、特にラハニがどこに向かったかの正確な情報が記された資料を探すことにした。
「多分全部見ていたら半日の時間は必要ですが、
とりあえずタイトルだけで判断しますね」
と神室霊華は傍にいる玲に向かってそう告げてから、早速検索を始めた。神室霊華が調べている間に、かすみはキッチンにて朝食の準備を始める。そんな時かすみはRINAに向かって、
「RINAさん、仕事はええんか?」
とRINAを心配し出す。だがRINAも午後から打ち合わせがあるだけで、何時もであれば、空いた午前中は曲作りをして過ごしている。だが今日はラハニの復活と言う大事な仕事を控えているため、曲作りどころではない。そこでRINAもかすみを手伝うためにキッチンに立つのだが、そんな時にふと
「それにしても、この間もそうですが、
皆さんこんなことを毎回しているんですか?」
とRINAは誰にともなくそう尋ねた。その言葉に対し玲が直ぐに反応し
「ん?この間と言うのは、いつのことですか?」
とダイニングテーブルにやって来てRINAに尋ねるので、RINAはかすみに誘われてアメリカのどこかの基地に向かい、そこで今回と同じような尋問をしたことを玲に説明した。すると、玲は眉間に皺を寄せて
「か、す、み、さ、ん。
何を勝手なことをしているんですかねー」
と鬼の形相ではないが、半ば呆れながらも真剣な表情でかすみに問い質した。と同時に玲の手には早速マキザッパが召喚されていた。かすみはそんな玲を見て額に汗を浮かべながら
"うわっ、RINAさん、
こんなところで喋らんでええのに!"
とRINAに少しだけ恨み節を口にしようとするも後の祭りであった。だがとりあえず、なぜそうしたのかの説明だけはすることにした。
「そんなん、RINAさんもうちらの仲間やろ。
ほな、同じ経験をさせたいっちゅう
気持ちはあっても変とはちゃうけどな」
ともっともらしいことを玲に訴えた。玲はマキザッパを手に叩き付けながら
「かすみ、かすみの言い分はわかるよ。
でもね――」
常に危険が伴う訳で、それを遊び半分に誘っただろうそのかすみの態度に問題があるというや、かすみの頭に思いっきりマキザッパを叩き付けた。これは日ごろの恨みも込められているようだが、かすみは頭を摩りながら
「もう、玲、痛いやんか!
うちそんなに強くしばいたりせんで!」
と嘯くも、そんなかすみの言動に対し神室霊華はかすみの嘘を見抜いており、思わず苦笑してしまう。そして玲は涼しい顔をして、
「かすみ、これはねかすみに対する
お仕置きじゃないんだよ。これはね――」
安易に人を危険にさらすべきではないという戒めであることを玲はかすみに対し強く訴えたのだった。
さて、何やら自分の余計な一言のせいでかすみがしばかれたのを目にしたため、かなり動揺し出すRINAであるが、玲がRINAには全く非がなく、あるとすればかすみの軽率な行動であるということを改めて伝えて安心させた。更に
「RINAさんも、まあ、慣れないことだから
大変だろうと思うけど――」
とにかく慎重な行動を常に心掛けることを玲は伝えた。加えて
「とにかく、冷静な判断が
出来るようにしておくこと、
そうすればどんなピンチでも
必ず切り抜けることが出来ますよ」
とのアドバイスも送った。そしてRINAはかすみを心配しつつ、玲には「はい、玲さん。それは肝に銘じておきます」と答えた。とその時、「玲さん、ちょっとこれ見てもらえますか?」と神室霊華がリビングから玲に声をかけたので、玲は急ぎ神室霊華の元に駆け付けた。そして何やら進展があったのではと期待したかすみとRINAも傍にやって来た。
「玲さん、恐らくこの資料に書かれている場所が
転移先の候補地で、こっちにある資料が――」
転移元の候補地ではないかと言うのだ。するとかすみが
「えっ、霊華さん。転移元っちゅうことは、
そこのどこかにラハニさんが
居てるっちゅうことになるんか?」
と神室霊華に向かってそう尋ねると、神室霊華は頷いて
「はい、玲さんの推測通りであれば
恐らくそうなりますね」
とかすみに向かってそう答えた。すると玲は、
「じゃあ、とりあえず腹ごしらえをしてから、
早速1カ所ずつ調べていくことにしようか?」
と3人に対し同意を求めた。勿論3人とも否はない。そして念のために、玲はその場で自分のスマホを取り出して、ラハニの復活を首を長くして待っているロドニーに対し、ラハニの遺体があると思われる候補地を見つけたことを伝えた。