悪役令嬢は世界のバグを修正する
魔法研究所・観測室。
古代層のロックが解除されたあとも、
観測陣は止まらなかった。
空中に浮かぶ表示が一度消え、
別の画面が展開される。
観測用ではない。
制御用の表示。
研究員の一人が操作式に触れる。
画面が切り替わる。
LINK SYSTEM
三つの紋章が並ぶ。
王家の紋章。
騎士団の紋章。
魔導院の紋章。
その下に文字が出る。
KNIGHT ORDER LINK
MAGIC INSTITUTE LINK
ROYAL CONTROL LINK
接続線が伸びる。
三つの組織と研究所が、
一本の構造で繋がる。
研究員が小さく言う。
「干渉系、接続済みです」
別の研究員が確認する。
「騎士団、即応可能」
「魔導院、式修正可能」
「王宮、強制命令可能」
画面が更新される。
INTERVENTION
AVAILABLE
赤い文字が点灯する。
観測室の空気が少しだけ緊張する。
研究員が主任を見る。
「修正可能です」
操作盤の横に選択が出る。
FLOW CORRECTION
ROUTE FIX
FORCED EVENT
STRUCTURE REWRITE
研究員が続ける。
「大会中でも介入できます」
「流れの補正」
「ルート固定」
「排除処理」
一拍置く。
「全部可能です」
主任は無言で表示を見る。
INTERVENTION
AVAILABLE
その文字を数秒見たまま、
ゆっくり言う。
「まだ使うな」
研究員が止まる。
「……使わない?」
主任は短く言う。
「観測優先だ」
操作盤に別の選択が出る。
MODE
INTERVENTION
OBSERVATION
主任が指す。
「それだ」
研究員が操作する。
OBSERVATION を選択。
表示が変わる。
OBSERVATION MODE
ACTIVE
赤い警告が消える。
INTERVENTIONは残ったまま、
薄くなる。
研究員が確認する。
「干渉待機状態です」
別の研究員。
「必要なら即時修正可能」
主任は頷く。
「それでいい」
観測盤の中央に、
現在の設定が並ぶ。
MAGIC FLOW CHECK
STRUCTURE MONITOR
SCRIPT TRACE
SCRIPT LINK
ANCIENT RESPONSE
OBSERVATION MODE
ACTIVE
その下に、
小さく残る。
INTERVENTION
STANDBY
研究員が小声で言う。
「……本当に使わないんですか」
主任は表示から目を離さない。
静かに答える。
「必要になる」
少し間。
「だが今じゃない」
観測盤の光がゆっくり回る。
TARGET
LETICIA
UNKNOWN PATH
ACTIVE
STRUCTURE
UNSTABLE
主任が最後に言う。
「崩れるところまで見ろ」
一拍。
「その後で直す」
表示が静かに点滅する。
INTERVENTION
AVAILABLE
OBSERVATION MODE
ACTIVE
まだ、
干渉は行われない。