悪役令嬢は世界のバグを修正する
闘技場。
中心。
歪みが広がる。
空気が軋む。
光が乱れる。
音が遅れる。
結界が震えた。
目に見えるほど、
空を覆う膜が歪む。
魔法陣が狂う。
線がずれる。
円が崩れる。
表示が強制的に割り込む。
STRUCTURE ERROR
FLOW BREAK
観客席。
悲鳴が上がる。
「結界が…!」
「揺れてる!?」
「壊れるのか!?」
教師たちが立ち上がる。
防御式を展開する。
だが――
追いつかない。
闘技場中央。
レティシアの魔法。
膨張ではない。
増殖。
構造そのものが増え続けている。
制御不能。
停止不可。
空間が捻じれる。
距離が歪む。
一瞬、
視界が二重になる。
――世界が揺れる。
研究所・観測室。
ログが暴走している。
警告が重なる。
STRUCTURE DAMAGE
SCRIPT BREAK
ANCIENT LINK
OVERLOAD
研究員が叫ぶ。
「限界を超えます!」
「このままでは――」
主任が即座に命じる。
「止めろ!」
その声は、
初めて明確な焦りを含んでいた。
別の研究員。
「介入権限、開放します!」
表示が切り替わる。
INTERVENTION
AVAILABLE
騎士団席。
副官が叫ぶ。
「異常拡大!」
「危険域突入!」
隊長が即断する。
「介入準備!」
表示が重なる。
INTERVENTION READY
FORCED STOP
STANDBY
騎士たちが一斉に動く。
武装を構える。
術式を展開する。
だが――
遅い。
闘技場中央。
歪みがさらに広がる。
結界の内側と外側が、
一瞬だけ“ずれる”。
観客の悲鳴。
空間の軋み。
魔力の暴走。
すべてが、
制御を離れ始めている。
研究所。
騎士団。
どちらも動いている。
だが。
間に合わない。
表示が最終警告を出す。
STRUCTURE ERROR
FLOW BREAK
CONTROL LOSS
そして――
“何か”が、
次の段階に入ろうとしていた。