この作品について
黒女の慟哭が、歌が……聞こえる。それは風に溶けて消えていく。神は救ってくれなかった。地獄に突き落とされた。少女は絶望の淵で「魔物」に変貌する。殴られ、売られ、神に見捨てられた。そう信じた少女は祝福の歌を唄うが、拒否され、口をつぐむ。やがて少女は被害者から加害者になる。祝福の旋律は呪いの歌に変貌する。昭和の「少女連続失踪事件」当事者の消えない痛みが主人公に重くのしかかる。「虐待・震災・絶望・法の限界」/「異界・妖・怪異・神話」/「希望・愛・救済」。それらが複雑に絡み、一つの物語に昇華する。社会派×ダークファンタジー。
神戸の虐待家庭から逃げ出したバイク乗りの少女・玲奈は、山中の神社で「男児から女児に変えられた戦闘巫女」剣奈と、のちの恋人「五十路の歴史学者」藤倉に出会う。救われなかった過去、両親を壊した震災と貧困、近親的虐待の地獄、救済者の皮をかぶる搾取者。剣奈の母「シングルマザー行政書士」千剣破は、家裁での養子縁組と戸籍編入という「現実の武器」で玲奈を守ろうとし、剣奈は霊刀と九尾と白蛇を従える「神に選ばれし戦闘巫女」として、藤倉とともに、玲奈の魂を奪った邪気の本体を追う。
舞台は震災の町・神戸長田から宝塚、東京・吉祥寺、淡路島、伊豆、和歌山・淡嶋神社、戸津井鍾乳洞、そして「裏高野」の闇神信仰の隠れ村へ。素戔嗚尊や少彦名命、淡嶋伝説、八百比丘尼、徐福、不老不死、龍脈・地脈など日本神話・民俗と、家庭裁判所・児童相談所・戸籍変更・住民登録・国民保険といった現実社会のリアルが、有機的に一本の線でつながる。
「救われなかった子」に救済はあるのか。殴られ、売られ、神にさえ見捨てられたと信じた少女が、「小学生の戦闘巫女」「九尾の狐」「白蛇」「意志持つ霊刀」「歴史学者」「行政書士のシングルマザー」らと共に、地獄の過去と異界の邪気に立ち向かう。鍵となるのは、剣と祈り、愛。そして、「ボクは、必ず君を救う」、とある少年(少女)の決意。
救済を綺麗ごとで終わらせない。「トラウマ」「暴力」「罪」も無かったことにはならない。地獄転落からの救いを求めて、「愛」と「家族」を取り戻すために。法と神話と家族の名のもと、「もう一度、生き直す」物語をあなたへ。
※本作はテーマの一部として虐待・性暴力・震災被害などの描写を含みますが、具体的な性行為の描写はありません。誤字チェックなどでAI補助を利用