異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
なかには、困窮して犯罪に走る子どももいる。
今度みたいに、兄貴分に命じられて逆らえない場合もある。親がすりや置き引きをさせることもあって、そういう者はその点酌量されて、罰が軽くなるのだそう。
「今回は?」
「どうだろうね」
「巾着切りの子は、もともと井に居たみたいだから、駄目なんじゃない? 解ってやってるもん。寧ろ、あの子が首謀者かも?」
その発想はなかった。でも、ありうるか。巾着切りの悪用方法を知っているのだものな。
なにはともあれ、農家さんにお金は戻りそうだし、よかった。俺のケータイも戻ってきたしな。
四月の雨亭に着く頃には、五時のお茶の時間になっていた。
「お帰りなさい……どうしたの?」
リエナさんがぽかんと口を開けた。俺はへへへと笑う。
バルドさんとライティエさんがぺこっと頭を下げた。「申し訳ない。警邏隊の作戦に巻き込んでしまいました」
「ごめんなさいー」
「あ……マオ、大丈夫なの?」
「はい」裏手を示す。「ちょっと、水浴びして、きがえてきます。バルドさん、ライティエさん、お茶のんでいきませんか」
バルドさんは断ろうとしたみたいだったが、ライティエさんが元気よく飛び跳ねた。「お茶するー!」
「ライティエ……」
「ははは。じゃあ、すぐに戻るので、待っててください」
水浴びできるくらいには、収納空間にお水が残っていた。よかった。
せっけんを泡立てて、体中よーく洗い、ついでに汚れた服やタオルも洗う。寒い。し、白いものは赤くなってしまって、二度三度と洗っても、赤が完全には落ちない。過炭酸塩欲しい。
綺麗な服を着て戻ると、ふたりが席についている。ライティエさんはクッキーをぽりぽり食べてご機嫌だ。ほかに、一組、お客さんがはいっていた。厨房へ急ぐ。
セロベルさんが居ないので、お茶もいれないといけない。やっぱり紅茶っぽいけどなんか違うなあ、このお茶っ葉。
豆乳あるし、ソイミルクマサラチャイで。
お水と茶葉をお鍋へいれる。茶葉多めが好き。それと、カルダモン、シナモンの粉末、生姜のすりおろし、ちょこっとだけナットメグとこしょうをいれて、火にかけて煮出す。
煮ている間に、お茶うけの準備だ。と云っても、つくっておいたものをお皿へ盛るだけ。
オーツ麦、ナッツ、ドライフルーツを粗く砕いてお鍋へいれて軽く炒り、お塩ひとつまみと粗糖、ちょっぴりのお水でつくった蜜、油を絡め、バットに敷き詰めて冷ます。冷めたら割るので、筋をいれておくと楽。
焼いてないけどフラップジャックスふう。どちらかと云うとおこしみたいなつくりかただな。