異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
表へ出るとき、またしてもリューがエスコートを買って出た。アランがむっつり不満げなのが流石である。だからとりあわれても嬉しくねーんだよ。
リューに促され、腕をとる。
「ウーン」俺はリューの腕にしがみついた。「のみすぎちゃったかも……」
うっそでーす。酔ったことありませーん。お酒なんて辛くて咽が痛くなるだけのジュースでーす。
リューはにまにましていた。俺達はゆっくりと、外へつながる扉へ向かう。「マオ。今日はちょっと、慎重だったね」
「……昨日はついてたから。そんなに何日も運は続かないでしょ」
「そんなことないさ」
扉を開けて、外へ出た。「君はついてる。あの部屋にも這入れたし、それに、僕と出会えた……」
そうだね、騙されてくれるひとが相手でよかったわ。
俺はリューを仰ぐ。
「自信家?」
「それなりに、ね。だって僕は幸運だもの。君と出会えたし、こうやって腕を組んで歩けるんだから」
ひとりはめて破産に追い込んだら特別ボーナスが出たりするのかなあ?めちゃくちゃやる気だもん。
「リューさん、発言には気を付けないと、勘違いされるよ」
「勘違いなんかじゃないさ」
あ、まずい。キスしなきゃならない案件?
うーいやだ。こいつとはいやだ。こいつとちゅーしても得ねーじゃん。テイズにはポーズとしてワルイところ見せなきゃだったから不可抗力だし、例の殺人鬼に関してはあっちからもの凄い勢いでがっついてきてたし、拒んだら変な場面だから仕方なかっただけで。
でもこいつといちゃいちゃしても利益が少ないんだよ。多分そんなことしなくても、あと何日もしたら負けが込みはじめて、テイズに借りながらまた数日粘って、それでも負け続けてそこへウロアが出てきて、セロベルさんをかたにすればもっと貸してやるぞってなるんでしょ?あらすじはさ。
だからこいつとそこまでする必要はない。断じてない。拒否!
俺は片手で口許を覆った。「ああ、きぶんわるうい。お酒ってどうしてこうなんだろ。おいしいけど、後がつらいんだよねえ」
「大丈夫かい?」
リューは俺のせなかをさする。そうだよな、吐くかもしれない人間とキスはできないよな。セーフ!
外に出るとリューは、送るよ、とまた云ってきた。まめな男である。台本というか、マニュアルというか、あるんだろうな。こうやったらおちるぞ!みたいなやつ。
この調子でキスを避け続けるとしたら、ウロアが出てくるまで毎晩呑み続けなきゃなのか。うえー。肝臓壊しそう。魔力切れを起こしやすくなる疑惑もあるんだし、痛飲は避けたいんだけど、今日結構呑んじゃったから、明日以降お酒少しで酔ったふりもできないよなあ。