異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
ほーじくんは無言で死骸の傍に立つ。息を整え、滅却、とやると、ぶわっと紫黒い柱が立った。
それは、すぐにきらきらになって飛び散る。滅却は終わったらしい。……俺のなかにもあれがあるのかなあ。
ほーじくんがふらついた。俺は慌てて駈け寄る。「ほーじくん」
腕をまわして支えた。ほわほわふかふかの羽毛!うにゃー。
ほーじくんは愁眉を開く。
「マオ、心配してくれて、嬉しい」
「もー、なに云ってるの。大丈夫?」
俺はちょっと動揺したがそれを隠し、ミューくんへ顔を向けた。「ミューくん」
「あ。ハイ」
ミューくんがぎくしゃくとやってくる。ジーナちゃんがほーじくんを見詰めていた。ほーじくんは、ミューくんへは無表情。
「……燕息」
ほーじくんの体を、赤い陽炎が一瞬包み込む。リッターくんの時もそうだった。恢復魔法って、見た目が綺麗だ。
「……ありがとう」
「あ、いえ、はい」
ほーじくんがお礼を云うと、ミューくんはぺこぺこしてさがっていった。俺はほーじくんの顔を両手ではさむ。ぐぐぐぐ。とりさんかわいい。最近イケメン(笑)とか、色々あって疲れていたのだが、ほーじくんの顔を見たら吹き飛んだ。ほーじくんっておうむ?ふくろう?からす?うー、なんでもいいからとりさん可愛い。飼いたい。……ほーじくんじゃなくてとりさんをね!
「ほーじくん、おなか空いてない?なにかつくろっか」
ほーじくんの好きなものってなにかなあ。とりさんだから、虫?いなごの佃煮とか、ざざむしを煮たやつとか、つくれるよ俺。
ほーじくんは微笑む。綺麗な顔してる。
「マオがつくってくれるならなんでも食べるよ」
魔が滅却されたので、見張りは終了。ラールさんは、俺が渡したお菓子の包みを手に出て行った。
ほーじくん曰く、倒された魔物のほとんどは滅却が終わり、サーダくんから許可も出たので急いで帰らなくてもいい。やった!
ああちがう、あれだから。とりさん癒されるって意味で。事案にはなりません。
ほーじくんをご飯に誘った。もうお昼が近い。ほーじくんはにこっとして、お誘いをうけてくれた。サッディレくんがめちゃくちゃ不機嫌そう。
俺はほーじくんに見蕩れていたが、はっとして受験生四人を振り返った。「みんなもどう?お菓子くらいじゃおなか落ち着かないでしょ?」
リッターくんのおなかが鳴った。ユラちゃんが大口を開ける。俺はふきだして笑ってしまった。リッターくん無表情なんだもん。
「リッターくん、また時間に間に合わなくて、朝ご飯食べられなかったんじゃない?」
「……ああ」
「もー。だめだよ、ちゃんと食べるって約束したでしょ?」
「そうだったな。すまん」
リッターくんは真顔で謝ってきた。面白い子だなあ。