異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
サキくんは各地域の法律にあかるい、とリオちゃん情報があったので、サキくんにも加わってもらった。手をつないだミューくんとジーナちゃんもやってくる。
ちなみにマイファレット卿は、茫然自失でへたりこんだまま。マイファレット家断絶ほぼ確定だからな。合掌。
「訊きたいことってなあに?」
「うん。商会の財産ってどれくらい勝手に処分できるものなのかな?手続きっている?」
「幾らでも自由にできるのじゃない」
ジーナちゃんが云った。ミューくんが財産目録をめくり、呻き声をあげる。俺はエルンへ顔を向けた。「これ片付けてってば」
「はい」
エルンは飛んできて、金のカップや水差しを回収していく。ワゴンのまわりをぐるぐるしながら羊皮紙を検分していたユラちゃんが手を叩く。「リッター、運びなさい」
「おい、ご主人さまがお呼びだぞ」
ミューくんがリッターくんを仰いでぎょっとする。リッターくんは、ミューくんにくっつきそうな位置に立っている上に、ミューくんをじっと見詰めている。
「リッター!」ユラちゃんがぴょこぴょこした。「あんた、すぐに来ないと酷いわよ!」
「おい、とっとと行けよ」
ミューくんが云うが、先程までの勢いはなく、いつものミューくんに近かった。リッターくんはミューくんにこっくり頷いてみせ、ユラちゃんのところへ行く。
ユラちゃんはぶんむくれているし、ジーナちゃんは心配そうにミューくんの腕を掴んだ。「ミュー、リッターとふたりきりにならないで」
「云われなくてもなりたくないよ」
ミューくんは怯えた目で、ジーナちゃんの手をぎゅっとする。ジーナちゃんはその反応に、なんだかほっとしたみたいにうっすらと笑みをうかべた。
リッターくんが体力にものをいわせ、羊皮紙の山を運んできた。女子三人とリッターくんで、それを調べはじめる。
ミューくんとサキくんは、揃って杖でウロアをつんつんしていた。「具合が悪いのは解るけど、このひとは治療したくないなあ」
「しなくていいんじゃない?ジーナを誘拐した男と関わりがあるのだろうし」
「う-ん、そうだな。放っておこう」
そういいながら、ふたりはつんつんをやめない。まわりのウロアのお友達は、怯えた様子で黙っている。逃げちゃえばいいのになあと思ったが、この場に私兵が大量に居る今となっては、俺が逃がすなと云えば制圧される。無駄に怪我を負いたくないのだろう。
ミューくんサキくんが戻ってきた。サキくんが云う。「どうだい、リオ?」
「凄く沢山のお金が動いてるわ!」リオちゃんはにっこにこだ。「カーバス族自治区の歳費くらいはあるのじゃないかしら」