異世界に飛ばされたら適職が「魔王」しかない
で。
かつお田麩のお握り食べたいし、かつお田麩をつくることにした。詰まり、かつおだしをとる。時間が停止しているであろう収納空間があるから、だしをいっぱいつくっておいたってばちはあたるまい。
一番だしと二番だしをとったら、だしがらを別のお鍋へいれる。その繰り返しだ。薪はたっぷりあるし、お水もサッディレくんにもらったものが沢山ある。
厨房にかつおだしの香りが漂う。セロベルさんはお客さんにからかわれながら給仕中だ。ドーナツは山程揚げてあるから、多分間に合う。かつおだし……おでんやろうか。
大根の下ゆでも開始だ。大根は皮付きでつかうのが好き。大きなお鍋に分厚い輪切りにした大根をいれ、ゆがく。すっと串が通るくらいになったらバットへとりだす。汁は、そのまま香味野菜や野菜くずをいれて煮たらストックになるから、収納空間行き予定。
後の具は……ミートボールなんてどうだろう。てんぷらできないから、代用で。
ジーナちゃんに人参を刻んでもらう。それと合い挽き肉・お塩をよくまぜて、くるくる丸め、ラードで揚げればミートボール。
あとはたまごくらいかあ。おでんのたまごはそこまで好きじゃないんだよね。ほかはなにも思い付かないな。ほんとに、てんぷらばっかりくってたから。
だしがらがたっぷりたまったので、だしをとるのをやめた。お鍋はふたつともおでん用につかうことにする。
おでん用のお鍋には、昆布だしとかつおだしを3:2の割でいれた。ちょこっとお塩をいれて味を調える。ゆがいた大根をいれて、弱火で煮含める。
隣でミートボールを揚げた。大根とミートボールは別のお鍋で煮る。そのほうがおいしい気がする。
「今夜はなあに?」
「おでん」
「おでん?」
「えーと。昆布とかつおのすとっくの、煮物かな」
ジーナちゃんはまだまだ人参を切り刻みながら、ふうん、と小首を傾げる。
サッディレくん達が食堂から戻ってきた。「お風呂わかしてきまーす」
そのままふたりとも、中庭へ出て行った。今頃チェックインするお客さんも多くて、ふたりは給仕にお風呂に忙しい。
ミートボールをバットへとって、ひとつ味見した。にんじんうまい。
デザートは、シロップ漬けのいちじくを詰めた小さなタルト。サラダは、白菜の中華ふうサラダ。それに発酵させていないパン。
大根を煮込みながら、それらの準備もした。リエナさんにオムレツ食べてもらいたかったのになあ。
お隣にさしいれって、してもいいのだろうか。こっちの世界のしきたりは解らないけど、だからって色々と訊いてしまうと、非常識すぎて目立つし。
ミートボールをすべて揚げ終えたので、大根とは別のお鍋でくつくつ煮る。結構あうかも?おでんにミートボール。