リグ・ヴェーダ 詩訳 ― 火の神が歌う世界の始まり
1
【詩人】
いかなる眩しい美をもって、
同じ年頃にして、ともに住まうマルトたちは、
共に身を包んでいるのか?
いかなる場所から彼らは来たのか?
いかなる意図をもってか?
英雄たる彼らは、財宝を愛するがゆえに、
己の力を歌うのか?
2
【詩人】
若き彼らは、誰の祈りを受け入れたのか?
誰がマルトたちを己の祭祀へと向けさせたのか?
大気を通じて鷲のごとく疾走する、
猛烈なる精神をもつ彼らを、
我らはその旅路の途上で引き留めよう。
3
【マルト群】
勇士の主たる強大なるインドラよ、
汝はどこからただ一人で来るのか?
汝の目的は何か?
輝く我らと出会う時、汝は我らを挨拶で迎える。
栗毛馬の主よ、
我らに対して何があるというのか、語り給え。
4
【インドラ】
我がものは祈りであり、讃歌である。
甘きは酌(奉納物)なり。
力が湧き立ち、我が雷電の鎚は放たれた。
人々は我を呼び求め、彼らの称賛は我を熱望する。
我が栗毛馬らは、
これら奉納物ののもとへ我を運ぶのだ。
5
【マルト群】
それゆえ強大なる仲間たちとともに、
身体を飾り立て、今や我らは、
力をもって斑点の鹿を繋ぐ。
インドラよ、汝は我らの神のごとき本性を、
知り、理解したのだから。
6
【インドラ】
マルトたちよ、その時汝らのその本性はどこにあったのか?
汝らが我ただ一人に、
魔竜(アヒ/ヴリトラ)を打ち倒すよう命じた時に。
我はまことに凄まじく、強く、強大なり。
我はあらゆる敵の武器を退けたのだ。
7
【マルト群】
英雄よ、我が身を同志として、
汝自身ののごとき男気ある勇猛さをもって、
汝は多くのことを成し遂げた。
強大なるインドラよ、我らマルートたちもまた、
望む時には大いなる力をもって、
多くを成し遂げ得るのだ。
8
【インドラ】
マルートたちよ、己の憤怒において強大となり、
我が自身の力をもって、我はヴリトラを殺した。
手に雷電を携えた我は、
人間のために、
これらの澄んだ、柔らかに流れる水らを創り出したのだ。
9
【マルト群】
マガヴァン(施与者インドラ)よ、
汝の前には何ものも確固として立ち得ない。
神々の中に、汝に等しい者は一人も見出されぬ。
生まれし者も、命に躍り出る者も、汝に近づき得ない。
至極強大なる者よ、
成すべきことを成し給え!
10
【インドラ】
我が精神において勇敢に挑む、
いかなることを成し遂げようとも、
我が超越的な力のみがあらんことを。
我は恐ろしい者として知られる。
マルトたちよ、我インドラは、
我が打ち砕いたものの主(支配者)なのだ。
11
【インドラ】
英雄たちよ、いまや汝らの称賛は我を歓ばせた。
汝らが我のために創り出しし栄光の讃歌!
戦いにおける強大なる擁護者たる我、インドラのために、
愛する者が愛する者のためにするように、
我のために、汝ら自身のために。
12
【インドラ】
まことにここに、彼らは己の輝きを我に送る、
罪なき栄光と自らの威力を纏いながら。
マルトたちよ、華やかな光輝の中に汝らを見た時、
汝らは我を歓ばせた。いまや我を歓ばせ給え。
13
【詩人】
マルトたちよ、誰がここで汝らを大きくしたのか?
愛する者たちよ、愛する者たちのもとへ疾走し給え。
光り輝く者たちよ、彼らの祈りを助け、
我がこれら聖なる儀礼に配慮し給え。
14
【詩人】
マーニャ(詩人)の智慧は、我らをここへと導いた、
詩人が祀る者を助けるように助けるために。
素早くここへもたらし給え!
賢者のもとへ進め、マルトたちよ!
歌い手は汝らのために、これらの祈りを唱えたのだ。
15
【詩人】
マルトたちよ、詩人たるマーナの息子、
マンダーリヤによって歌われた、
この汝らへの称賛が、この汝らへの歌が、
我らを養う食べ物とともに、我らに子孫をもたらさんことを。
我らが十分な豊穣の中に、活力を与える食べ物を見出さんことを!
解説
165讃歌は、武勇の神インドラと暴風の神群マルトたちの緊迫した問答が繰り広げられる、全15節の傑作対話歌です。
単独で魔竜ヴリトラを退治したと誇るインドラと、自分たちの援護があってこそだと主張するマルト神群。二つの強い意志が激しく衝突し、やがて互いの神性と功績を認め合って和解へと至る、ドラマチックな掛け合いが最高に痺れる一曲です。
全15節という重厚な構成の中に、ヴェーダ神話における二大武勇の象徴——雷神インドラと暴風神マルトたちの「プライドの衝突」と「相互承認のドラマ」が生き生きとした対話形式で描かれた傑作讃歌です。
* 1–5節:孤高の雷神と、自らを誇る暴風神たちの遭遇
1〜5節では、魔竜退治の途上(あるいは勝利後)にただ一人でやって来たインドラと、絢爛たる装束で戦車を駆るマルートたちが対峙します。奉納物のソーマ酒と詩人の祈りを独占しようとするインドラに対し、マルートたちもまた己の神聖な誇りを主張します。
* 6–10節:「我ひとりで伏した」「我らの援護があった」——激しい問答
6〜10節は本讃歌の最大のハイライトです。「ヴリトラを殺す時、お前たちはどこにいたのか!我ひとりの力で水を開放したのだ」と吠えるインドラに対し、マルートたちも「我らという同志がいたからこそだ」と譲りません。しかしインドラの絶対的な威光の前に、マルートたちはついに彼を「神々の中で並ぶ者なき唯一の存在」と称え、インドラもまた己の独尊の力を誇示します。
* 11–15節:讃歌を通じた和解と、詩人マーニャへの祝福
11〜15節では、マルートたちの捧げた讃歌によってインドラの心が解け、両者は熱い絆(友情)を取り戻します。二大神の相克を見事に昇華させた詩人マーニャ(マンダーリヤ)の知恵が称えられ、人々に豊かな子孫と糧が与えられることを祈願して締めくくられます。