召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲と物部かすみ、謎の招待を受ける (第1幕)
美土路神社に今年も春がやって来た。例年のように境内に植えられているソメイヨシノは少しずつが膨らみ始め、あと10日程すると満開になる感じだ。だが、今年は最神玲も物部かすみも、境内のソメイヨシノをのんびりと眺めている余裕はない。相変わらずこの神社は、大勢の参拝客を迎えているからである。尤も、この忙しさも2カ月近く経つので、そろそろ2人とも慣れてはいるようだが、実はかすみには少々別の問題も発生していた。
この時期、かすみは最も厄介な問題に苦しめられていた。それは納税である。とは言っても玲とかすみが設立したM Mの確定申告は無事終わったのだが、昨年の秋にでかい案件を扱ってその収入が30億円となったため、最終的に彼らは10億円を収めることになった(かすみ曰く、10億円取られただが)。勿論この規模の税金の計算はおろか、アメリカでの納税が絡んだ途端、かすみだけでは絶対不可能なため、毎年多額の税金を納めているかすみの叔父であるに相談した。そして宗座衛門も懇意にしている税理士を紹介してもらい、税理士の助けを借りて何とか期限までに納税を済ませたのだった。だが、やはり納得がいかないかすみは、終日「政治家は裏金作って、しかも脱税にならへんで、そのまんま懐やろ。なのに、何でわしら馬鹿正直に納めなあかんねんな!!」と玲に対し愚痴を零していた。まあ納得できなければ、かすみが政治家になって改革するしかないだろう。と言うことで、かすみは日頃の忙しさに加え、更に納税の問題に悩まされて今まさにパニックになる寸前であった。
さて、そんな情緒不安定になる寸前のかすみの所に何時もの郵便配達人がやって来た。そして、応対に出たかすみに対し、「書留です。ここに受け取りのサインをお願いします」と言われたので、その場で名前を書いた。そしてかすみが受け取ったのは、A4サイズの書類を三つ折りにして納めるのに使われる定形郵便用封筒である。宛名は漢字で自分と玲宛になっており、封筒の裏を見ると差出人は書かれていない。また何時ぞやの怪しい手紙か何かか?とかすみはるも、前回は宛名がローマ字で[Ray]と書かれており、綴りミスで「玲、何時から光線出すようになったん?」とツッコミを入れたことを思い出して久しぶりの笑みが零れるが、今回はちゃんと正確に名前が書かれていた。そして、中には何やら厚手の紙のような物の存在を感じるので、かすみは興味本位でその封筒を開けることにした。すると、中から更に封筒が出てきたため、かすみは思わず「封筒のマトリョーシカか!」と誰にともなくツッコミを入れて満足した。だが、中から出てきた封筒は、真黒な封筒であり、その表書きには、金文字で[最神玲様、物部かすみ様]と書かれていた。そして裏側は、ご丁寧に赤褐色の封蝋がされていた。おや?どこかの貴族からの招待状とかかな?などと妄想を膨らまし始めるかすみは、丁度手の空いた玲に対し、
「ねえ、玲、こんな封筒が入っててんけど、
どないする?」
と一応確認してみることにした。だが、心の中では、直ぐにでも開けたいのだが。そんなかすみの心のうちを見透かしたように、玲は
「ん?どうせかすみは、それを開けたいのだろう?
開けてみたら」
と言われてしまい、何か自分の心の中が読み取られているように感じて、少し腹立たしくなるが、ここは黙って封を開けることにした。でも、ドラマか映画ではこういう封蝋を開けるときはレターナイフでやってたけどな、と思い出すも手元にはそれらしい物がない。そこで最近よく使用するバレル型召喚門を使った創成召喚でレターナイフを召喚した。そして綺麗に封蝋を剥がして中を覗くと、厚手のカードとそれと同じ大きさの紙片、そしてチケットらしきものを確認した。そしてカードを封筒から取り出してその文面を確認しようとした時、社務所の受付窓口で「すいません、御朱印を頂きたいのですが」と声を掛けられたため、かすみは仕方なくカードを元の封筒に戻し自分の鞄の中に入れた。そして、御朱印帳への記帳作業に移った。
漸く午後5時になって、玲は料理当番のため少し早めに戻り、かすみは社務所の戸締りをしてから自宅に戻った。鞄を自室に置いてからリビングに向かい、1日の疲れからか、リビングのソファーでぐったりしながらテレビをボーっと見ていた。そして「おーい、かすみ、ご飯だよ」という玲の声を聞いてむくっと起き上がり、ダイニングの席に着くなり、「いただきまーす」との掛け声で勢いよく食べだした。これじゃあ、育ち盛りの子供じゃないか、と苦笑いする玲であった。そして漸くお腹が満たされたかすみは、「あっ、そや」と何やら思い出して自室に戻っていった。そして直ぐにダイニングにやって来て、
「そうそう、この変なカードなんやけど」
と言って玲とそのカードに目を通した。そこには、次のようなことが書かれていた。
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| 招待状 |
| 最神玲様、物部かすみ様 |
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| 著名な霊能力者であられるお二方を拙宅で開催します |
| 霊能力者の集い |
| にご招待します |
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| 主催: |
| 日時: ○○年4月10日(金) 18:00開催 |
| 場所: △△県島 |
| |
| ※ 島に渡る場合、別紙に記した場所にて |
| 船を手配しておりますのでそれにご乗船ください |
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一読した時、かすみはニコニコしながら「おや~、何やら面白そうな匂いがプンプンするぞ~」と言う雰囲気を湛えだした。そう、かすみは既に行く気満々である。一方の玲は、「面白そうだけど、何か胡散臭いな」と少し疑心暗鬼に陥っている。だが両者ともに「面白そう」は共通していた。丁度日程的にも週末であるので、神社の仕事に支障を来すことは無い。だが、玲は幾つか引っ掛かる点があり、それをかすみに指摘した。
「かすみ、まずね、僕らは別に霊能力者として
営業したりはしてないから。
それでどうして僕らが霊能力者と言うことを
知ったのかが一つ。そして...」
そもそも、ここの住所はどこにも公開していない、と言うことを指摘した。尤も霊能力者に関しては、実はあちらこちらで活躍している彼らは、本人達の知らない間にその名前が少しずつだが浸透しているのは確かである。そして、住所に関しては、確かにかすみか作ったM Mのホームページには、玲の携帯の電話番号は載せているが、それ以外は何も書いてない。まあ、あの国が絡んだ時は直接ここに手紙が送られてきたけど、あの国ならそれ位は調べるだろう。だが、一個人がそんなこと調べるかな、という疑問を呈した。尤もかすみは、「まあ、暇なんじゃない。それか心霊サークルがまたうちらを売ったりしてな。知らんけど」と何やら適当だった。こういった細かいことを気にしないかすみは、既にそこに何を着て行こうかを想像していた。まあ確かに、細かいことを気にし出すときりがないけど、念のため主催者情報をスマホで検索することにした。すると、
「へえ、何かオンラインゲームを作っている
会社の社長らしいぞ」
と玲は検索画面をかすみに見せながらそう呟いた。まったく、玲のやつ相変わらず細かいな、とぶつぶつ文句を言いながら、かすみもその画面を確認した。
「あー、このゲーム知ってるわ。
最近動画見てるとき
めっちゃ広告入ってきてさ、正直うざ!
って思てたんよな」
成程、IT系で成り上がった人と言うところか、と玲は値踏みした。そして開催場所だが、どうやら瀬戸内海にある島の一つのようだ。大きな島であればフェリーとかで渡れるが、小さな島とか個人所有の島には、定期便が無かったりする場合があると聞く。恐らく招待状に書かれている沙門島は、玲もかすみも当然聞いたことは無く、もしかして三鶴木琢磨個人が所有する島かな、などと想像したりした。
「なぁなぁ、もしかしてさ、
そういう個人で持ってる島に人集めてさ、
次々殺してく…みたいなんあったりしてな〜」
おいおい、何か変な本とか動画見過ぎて物騒な事を考えるなよ、とかすみには忠告したが、もはやかすみの頭の中には、何やらミステリーの世界観が出来つつあるようだ。