召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
美少女降霊術師の心霊事件簿8: 廃施設の怪異 (前編)
今年の総合大学心霊サークルの夏合宿は2部構成となっていた。前半戦は北海道での夏合宿が既に終わっており、そこで物部かすみは人類史上初となるある体験をするに至った。そして後半戦だが、今かすみは呪いの動画制作委員会のスタッフと一緒にある廃棄された施設に向かっている。今回の廃施設の調査における総責任者であるディレクターの京田美和子によると、今から向かう施設はどうやら30年以上前に建てられた養護老人ホームであるという。そしておよそ10年程前に突然閉鎖されたというのだ。突然の閉鎖に関しては、入居者への職員による虐待が日常化していて、それに対する刑事と行政の両方の処分がなされたからなどと当時様々なメディアで報道され一時期話題になったが、実はここの施設を運営していた法人が金銭トラブルを多く抱えるある宗教団体と繋がっていたことが写真週刊誌によって取り上げられ、その影響の方が大きかったようだ。何れにしても設立当初から何かしらのトラブルを抱えていた養護老人ホーム、一番の犠牲者である入居者のお年寄り達は今は別の施設に移っているが、当然ここで亡くなったお年寄りも多くいる訳で、しかも虐待などで非業の死を遂げたりした場合、その怨念がそこに残ることは十分に考えられた。実際、この施設が閉鎖されて以降、肝試しの名の下に不法侵入をする若者等が後を絶たず、しかも彼らは何かしらの怪異をこの施設で目撃したり撮影したりするので、現在のこの施設の管理者もこの問題で頭を抱えているという。出来ればそう言った怪異を無くすべく除霊なりお祓いをして欲しいというのが管理者から呪いの動画制作委員会へのお願いであり、そのための撮影許可になったという経緯であった。
以上のことを京田から聞いたかすみは、幾つかの疑問を口にした。まず、そこに現れる怪異についてである。これに関しては、幾つかの動画が呪いの動画制作委員会が手掛けている[呪いの動画コレクション]でも紹介されているようで、実は特定の場所での目撃談が多いという。例えば階段踊り場付近や入居者の個室などでは老人の霊を多く目撃するという。一方で、中には若い男性や女性の霊の目撃談もあるようで、もしかしたら自殺者か何かの霊ではないかと考えられている。ただそれだけだと普通の怪異であり、わざわざ調査隊を組んでまで取り組むことではない気がした。すると、やはりと言うか、
「ええ、物部さんの懸念されているように、
実はそれ以外に問題がありまして...」
実は肝試しにやってくる若者達が偶に行方不明になるというのだ。たまたまその場に居合わせた者の話によると、ある部屋に入ろうとすると突然目の前から消えたというのだ。えっ、まさかあれがこの中に設置されているのか?とかすみの頭にあれの姿がった。尤も、あれも心霊スポットの近くに多く設置されていることからして、その廃施設の内部に全くないとは言い切れないのだが。
それからかすみは、もう一つ尋ねた。それは、
「京田さん、その管理者と言う方達は
その施設をどのようにしたいのでしょうか?」
怪異を取り除くだけなら、今のかすみであれば敷地全体に降霊召喚門を設置してお見送りすれば、悪霊以外は除霊できる。悪霊に関しても、降霊転移門を設置して強制退場させれば問題はない。ただそれだけであれば、霊能力者だけを連れて来れば済むわけである。そうすると、またもや北海道の件ではないが、裏でビジネスが行われている可能性はありそうだ。だがその答えを京田は持ち合わせていなかった。ただ彼女達は怪異をカメラに収めるだけである。まあ、ここであれこれ考えても始まらないことは、かすみもこの仕事を長く経験しているため、よく分かっているつもりである。
そんなことを考えながら、車は目的地である廃施設に到着した。その施設、元々は養護老人ホームであったのだが、そこは山の麓の丘陵地帯に建てられている。そしてその施設が立つ場所は、比較的標高が高い所に位置するためか、夏場であるにも拘らず、空気がひんやりして心地いい。確かにこういう場所に避暑地の感覚で老人ホームが建つのは分かる気がするな、とかすみは感じた。そして、かすみ達が今いる駐車スペースから見る建物はコンクリート造りの2階建ての建物である。外壁にはかなり目立つひび割れがあったり、入り口近くの扉などには蔓草が巻き付いたりして、長年放置されて全く手入れされていない状況が見て取れる。そして正面から見ると大して大きな建物ではないように見えるのだが、実は奥の方に向かって入り組んでおり、しかも山の斜面に一部の建物が重なるため、2階を歩いているかと思ったら1階になっている、などと下手をすると迷ってしまう構造になっていた。しかも何度か増改築が施されているため、手元に見取り図が無いと確実に迷子になりかねないというのだ。そこで一行は、呪いの動画のスタッフが用意した見取り図を貰って、それを見ながらの行動になった。
ディレクターの京田が施設の鍵をウェストポーチから取り出し、玄関に施錠されている鍵を開けて中に入った。呪いの動画のスタッフは慣れたもので、直ぐに内部に入って撮影を開始するが、心霊サークルの学生はと言うと、上級生も慣れたもので、早速自分のスマホで動画撮影に入りだした。一方新入生達は、初めての本格的な廃墟探索と言うことで何やら緊張している様子である。尤も、既に幾つかの廃墟探索の経験を積んでいるようだが、今回の様に大規模な施設は余りないようで、緊張の中にもどこか興奮している様子が伺えたりした。そしてかすみだが、
「物部先輩、何か見えたりしますか?」
と早速佐伯えりがかすみに尋ねてきた。かすみは「いんや、ここには何もおらへんわ」と軽い口調で答えた。そして手元の見取り図を見て、先ずは頻繁に霊が目撃されるという娯楽室に向かうことにした。するとそんなかすみの後を心霊サークルの上級生達はついて歩くことになる。それを見ていた新入生達もかすみの後について行く。そして結局かすみ以下15人の学生たちは同じ場所に向かうことになるのだった。かすみは、
「おいおい、何やねんな、金魚の糞状態やんか」
と嘆くのであった。そこで、5名ずつのグループになって探索をし、かすみがその後でそれぞれの所に向かうということで話し合いがついた。尤も、かすみとしては、もしこの廃施設内に「あれ」が設置されている場合を考えるとこの方法が如何に危険かは分かっているものの、何となく「あれ」ではなく別の要因がありそうというかすみ独特の野生の勘も働いている。だが何れにしても、危険であることには変わらないため、かすみは各グループのリーダーを一人ずつ選び、彼らを中心に半径3m程の降霊召喚門による結界を張った。そして、
「リーダーの半径3m以内に居ること。
その範囲内であれば結界で守られるけど、
そこを越えた場合は命の保証が無くなるよ」
と注意を促して学生たちを送り出した。
その後かすみは、京田美和子に促されて、一緒に施設内の調査をすることになった。途中で何体かの浮遊霊に遭遇した時、かすみは一応そこに霊が居ることをその場にいる者には伝えたりした。尤もそれで映像が撮れているかどうかは定かではない。その後、幾つか見て周る中で、確かに怨念を残した霊体がそこに居たこと、つまりその痕跡は確認していたが、実はまだ実体を目にしていない。こういう経験は今までなかったかすみとしては、少し不安を感じたが、それよりもやはり「あれ」の存在を確認することに神経を集中していた。そのせいか、かすみは少し油断した。何の油断かと言うと、かすみは自分の周りに降霊召喚門による結界を張り忘れていたのだ。そして突然、階段の踊り場に差し掛かったとき、かすみの背後から霊体が近づいてきて彼女に憑りついた。
「うっ、し、しまったー!!」
と叫ぶも時すでに遅し。かすみはそのまま意識を失ってその場にれてしまった。そして同行していたディレクターの京田は、突然目の前でかすみが床に倒れ込んだことから、何が起きたか把握できずただ立ち尽くすだけだったが、直ぐにかすみの傍に駆け寄って、「物部さん、物部さん、大丈夫ですか?しっかりしてください」と揺すり起こすもかすみは起きない。かすみの心臓に耳を当てると、規則正しい心臓の音が耳に届いたため、死んでいる訳ではないことを確認し、少しホッとした。だが、かすみは全く目を覚まさないため、急ぎ近くにいた学生を呼んで、かすみを安全な所に運ぶことにした。
一方、その時のかすみだが、実は夢を見ている感覚に捕らわれていた。かすみは今、廃施設の中にいる。勿論先程からずっとこの場所に居るのだが、かすみが目にしている光景は、廃施設ではなく、只今営業中の施設内であった。廊下を行き交うお年寄りの姿、彼ら彼女達をサポートする職員の姿がそこに見られた。そしてかすみは自分の意思に反してそちらの方向に進んで行く。そのうち、[娯楽室]と書かれた部屋に入り、恐らく顔見知りなのだろうか、何人かのお年寄り達と挨拶を交わした。「ん?うちのこと、しげるさん、言うてないか?」とかすみは不思議に思い、娯楽室の壁に掛けられた鏡の前を通過する時にちらっとその鏡を覗き見た。すると、
「うわーー、なんなん、なんなん、
うち、爺さんになってるがなーーー!」
と叫び出した。いや、叫んだ心算だったが、その声は周りに届くことは無かった。それから、かすみが憑依した(?)しげる爺さんは、何時もの仲間と何やら会話をし出した。かすみが何か尋ねようとしたその瞬間、いきなり映像が切り替わった。そう、まさに映像を見ている感覚をかすみは味わっていた。窓の外は暗闇が訪れていたようで、しげる爺さんは1人廊下を歩いていた。ただ心なしか廊下の明かりが薄暗く感じるため、もしかしたら夜中に徘徊しているのかもしれない。かすみは何かできる訳ではなく、ただしげる爺さんについて行くしかなかった。そのうち階段にやって来て、そこから下に降りようとした時、廊下の向こうから一人の男性が近づくのが目に入った。いや、しげる爺さんは気づいておらず、かすみだけが認識したのだが。そしてその男がしげる爺さんに声を掛けた。
「安藤さん、こんな夜中にどこ行くんですか?」
しげる爺さんはそんな言葉を無視するかのようにそのまま階段を降りようとしていた。するとその男が、自分が質問しているのを無視されたことに気を悪くしたようで、更に、
「おい、爺さん!! 聞こえてんのか?」
と怒気を含んだ声で叫び出した。だが、しげる爺さんはそれも無視して階段を降り続けたため、遂にその男はしげる爺さんの背後から蹴りを入れた。するとしげる爺さんはバランスを崩してしまい、そのまま階段の踊り場の壁に激突してしまった。そして、頭を強く打って額から血を滴らせながら何とか起き上がろうとするも、力が入らないようだ。そのうち、先程の男が踊り場に降りてきて、しげる爺さんの背後から何発かの蹴りを入れてきた。そのうちの一蹴りが頭に当り、それがどうやら致命傷となってそのまま息を引き取った。ただし、かすみの目には、しげる爺さんを蹴った男の顔に満面の笑みが零れているのを見逃さなかった。「こいつ、殺しておいてあの笑みって......サイコパスか!」
しげる爺さんが息を引き取った次の瞬間、今度はかすみは調理室で食事の準備をしている光景を目にした。どうやら調理師の1人に憑依しているようだ。そしてその時かすみは気づいた。
“いや、これはうちが憑依しているんとちゃう、
彼らの記憶を見せられてるんや!”
さて、かすみが調理師の1人の記憶を見ているとき、先程のあの男がフラッと調理室に入って来た。調理師は全員、衛生管理を徹底すべく帽子とマスクを着用しているのに対し、その男は何も身に着けていない。明らかに食品衛生に反する行為なのだが、誰もその男をめたり注意することはしない。かすみはこの異常性が一体どこから来るのかに興味を持つのだが、それよりもその男はかすみが憑依している女性の後ろを通り過ぎる時、いきなり両手で女性の尻をみにした。するとその女性は「キャー」と悲鳴を上げるも、誰も彼女を助けようとせず、見て見ぬふりを決め込んでいるようだ。そして、
「し、施設長、や、止めて頂けませんか?」
とその男に懇願した。すると施設長と呼ばれた男は、た笑みを湛えて、
「どうしたのかね、山添さん。
そんなところに尻を突き出されていては、
通れないだろう」
と自分の行いを正当化し出した。そして山添と呼ばれた女性の耳元で
「最近、独り身になってから
寂しいだろうと思って、
こうして刺激を与えてあげたんだよ」
と、何やら酒臭い息を吹きかけながらそうくのだった。かすみは「何なん、このセクハラ親父は!」とくが、その声が彼らに聞こえることは無かった。
その後、急に場面が切り替わり、今は職員用の更衣室にいる。どうやら仕事が終わり、着替えて帰宅するところのようだ。調理師の女性が着替えていたまさにその時、更衣室の扉が開き、そこからあの男が入って来た。そして下着姿の調理師の女性をじっと見つめながら舌なめずりをし、しれっと
「あー、ごめんね、男性用と間違えたわ」
としらじらしい嘘を言うのだった。本来、ちゃんと扉の鍵を閉めてから着替えをすることになっており、もし他の女性職員が来た場合は、外で名前を言ってもらってから開けるようにするルールになっていた。だがその男は、役職上全ての部屋のマスターキーを保持しており、何時いかなる時でも自由に侵入することが可能であった。そして、「何なら、着替えを手伝おうか?」と言うに及び、調理師の女性は、「いいえ、結構です!」と強い口調で拒絶し、「すぐにこの部屋から出て行ってください」と命令口調で訴えた。すると、男の顔には下卑た笑みが満面に溢れ出し、そのまま調理師の女性に向かって突進して来た。女性は慌てて近くにあった丸椅子を手にし、その男の顔面に叩きつけた。そして男がよろけた隙に出口に向かって助けを呼ぼうとしたが、鍵が掛けらていたためにその開錠に手間取り、そのうち男が鬼の形相になって調理師の女性の背後から首を絞めてきた。調理師の女性は扉を叩いて外にいる人に助けを求めたが誰も現れず、そのうち苦しく悶えるうちに息を引き取った。
その後直ぐに別の場面が映し出された。そこはどうやら職員室のようである。そしてかすみだが、今度は若手の男性職員の記憶を見ているようだ。その男性は机の上のノートパソコンの画面のある人物の出退勤記録を見つめていた。そして、に立ち上がって、その画面をプリントアウトした資料を手に、少し離れた部屋に向かった。そこは[施設長室]と書かれた部屋である。そして男はノックしてから扉を開けて、中にいる人物に手元の資料を渡してこう伝えた。
「施設長、調理師の山添さんが
ここ数日無断欠勤しておりますが...」
男は山添と言う言葉に敏感に反応し、左瞼の上に張られたを手に触れながら、
「あぁ、そいつのことはもういい!
来ないのであれば、それまでだ。
無断欠勤で解雇なら退職金出さずに
済むしな!」
と何故か笑いながらそう答えた。実は施設長に報告している男性は、調理師の山添と付き合っており、仕事終わりには毎日お互いに愚痴を零し合いながら、食事を共にしていた。そんな彼女があの日以来、全く連絡がつかなくなったのだ。念のため彼女の自宅を訪れたものの、部屋の電気は消えたまま、全く人気がない状況に不安を感じていた。そして、その原因が恐らく目の前のこの男にあるのだろうとは察しが付くものの、出来るだけそのことを顔に出さずにいたのだが、流石にこの男の今の言葉にはカチンときたようで、
「お言葉を返すようですが、施設長、
もし犯罪等に巻き込まれていた場合、
取り返しのつかないことになりかねませんが」
念のため、警察に捜索願を出すように手配します。と言って部屋を後にしようとした時、施設長は急に立ち上がるや、
「新藤君、いや、悪かった。
私の軽はずみな言動で迷惑かけて済まない。
この件は、こちらで至急対応するようにしよう」
と言って、頭を下げて謝罪した。尤も、その顔には下卑た笑みが零れていたのだが。そして男性は「分かりました」と言って部屋を後にするのだった。
そして場面は急に切り替わり、その男性が宿直当番をしている様子が映し出されていた。宿直室には通常数名の担当者が夜中の巡回等を行うことになっており、今は別の担当者が広い施設を点検に向かっているところである。そんな時、施設長の男が宿直室に現れ、「差し入れ持ってきたから、これで疲れを癒して」と言って栄養ドリンクを置いて行った。当然宿直の男性はその男の素性が何となく分かっていたので、安易に手を出すことをったのだが、残念ながらその男は更に上を行くさを備えていた。そこで、
「あぁ、私を疑っているのかな?」
「じゃあ、これを飲むからそれで確認して」と言って適当に選んだ中から1本を取り出し、蓋を開けて口にした。その後、「あー、これ飲むと元気が出るんだよね」などときながら、男性に「どう、これで証明されたでしょう?」などと言って勧めてきた。流石にこれ以上強情を張って拒絶するのも変に疑われると感じた男性は、その中の1本を適当に選び、蓋を開けた。確かに蓋が既にあけられている感触は無いため、安心してそのまま一気に飲み干した。そして暫くすると、喉に焼けつくような痛みが走り、その後畳の上に嘔吐するも時すでに遅く、致死量の毒を摂取してそのまま息を引き取った。そしてかすみの目には、またもやその男の顔に下卑た笑みを見るのだった。
“こいつ、狂っとる!!”
その後もう一人の女性入居者が居室内でその男の手で殺され、そして再び画面が変わった。今度は別の男性の記憶を見ているようである。そしてかすみの目の前には、あの狂った男が鬼の形相で男を怒鳴り散らしながら睨み付けていた。
「おい、ちゃんとそっちを持てよ!!
お前、頭悪過ぎるだろ!
誰がお前の面倒を見てるんだ!」
どうやら何かを運んでいるようだが、かすみが視線を下に向けると、そこには
「あっ、しげる爺さんやんか!」
そう、最初にかすみが憑依したしげる爺さんの亡骸を施設長と一緒に運んでいるところだった。どこに運んでいるのか?その後画面が切り替わり、外の雑木林の中で男性は穴を掘っていた。その穴の傍では、施設長の男が腕組みをしながら、「もう少し深く掘れよ!」と命令していた。どうやら、運び込んだ死体をここに埋める心算のようである。その後運ばれてきたしげる爺さんは、そのまま放り込まれるように打ち捨てられ、そのまま土を被せて殺人の証拠隠滅を図った。その後同じような画面に切り替わり、結局施設長の男が殺した遺体は全て雑木林の中に穴を掘って埋められた。その後、それが結局この男性の最後の映像になるようだが、またしても穴を掘る様に施設長の男に命じられ、何も疑うことなく穴を掘った。そして、何時もの様に穴から出ようとした時、男性の頭上に人の頭ほどの大きさの石が当った。いや正確には、施設長の男が穴の中に居た男性に対し両手で石を持って打ち据えたのだった。だが流石に一撃では殺すことが出来ず、その後施設長の男は男性が穴の底に倒れた隙に二撃目、三撃目をお見舞いし、漸く息の根を止めた所で、男性が穴をほるのに使っていたシャベルを手に、男性を穴の中に埋めた。そして、
「障がい者と言うのは、
こういう時に使うもんなんだなー」
などと呑気に呟きながらその場を後にした。