召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲も拉致される? (後日談1)
米野市内の郊外で10年近く何でも屋の看板を掲げて商売をしているとは幼馴染の悪友同士である。彼らは表向きは何でも屋の看板を出しているが、裏では恐喝を始め空き巣や詐欺紛いのことまで、殺人以外であれば殆ど行っており、その筋では有名な悪徳商人ではないがそんなレッテルが張られた連中である。ただし彼らは頼まれた仕事はきちんとこなすことから、意外とその筋では信用されていたりする。そんな彼らの元に、一本の電話が入った。そして彼らの運命はこの電話の時に既に決まっていたようだ。その依頼とは、ある家に訪れる人物を眠らせて拉致することである。ただし、絶対に傷物にしてはいけないという条件が付いていた。それを守れば、1人に付き百万円をキャッシュで払うという。銀行振り込みだと変な所に目を付けられかねないが、現金払いであれば、上手く隠せれば問題ない。しかも1人百万円となるとなかなか美味しい仕事である。そこで2つ返事でその仕事を引き受けた。
最初の仕事は超ラッキーだった。何と言っても美女が2人である。これには佐田が舞い上がるのだが、阿武はそんな佐田を制した。「お前、傷物にしたら百万円失くすぞ」と。この言葉やはり彼らには効いたようで、泣く泣く我慢して言われた所に届けた。まあ、拉致して連れて行くだけで百万円とはかなり美味しい仕事だと2人はニンマリしたのだが、その後更に追加でもう一軒同じ仕事が舞い込んだ時には、「俺たち、運が向いてきたんか?」と錯覚したりした。実際は運が向くどころかどん底に向かっているとは、この時の彼らは全く予想していなかった。そして最神玲を同じように拉致して無事何時もの所に届けて百万円ずつゲットした時には、
「また同じ依頼来ないかなー」
などと呑気な事を口にしていた。そして玲を拉致した翌日、彼らは何時もの様に店に出るが、店と言っても事務机の上にノートパソコンと固定電話が1台置かれているだけである。そんな店の中で、特に依頼がなく暇なのか、スマホでゲームをしたりLINEで知り合った女性に飲みに誘ったりしている2人の所に、玲は彼らの足元に召喚門を設置してあの怨霊を呼び寄せた。しかも召喚エネルギーを少し多めにして。すると、
「あれ、何か背中に寒気を感じるんだけど」
と阿武がそう呟いた。同じように佐田も
「あっ、俺も同じ。何だろう、
首筋が少し凝ってる感じもするんだけど」
後でマッサージでも行くか?、と佐田は阿武を誘ったりした。その間お互いを目にすることなく手元のスマホを見ながらの会話である。そして「そろそろ、昼飯か。今日はどこに行こうか?」と阿武が佐田に相談するために彼に視線を向けた。すると、
「おおおお、おい、けけけけ、圭、
おおおお、お前の後ろに、
だだだだ、誰かいるぞ!!」
と阿武は佐田の後方を指差してそう叫んだ。佐田は怪訝な表情で阿武を睨み付けたが、直ぐにその顔には恐怖の表情が張り付いた。
「おおおお、お前こそ、
じゅじゅじゅじゅ、潤。
うううう、後ろを見ろよ!!」
とやはり指差してそう叫んだ。勿論お互いの後ろを確認できないので、彼らは事務所の壁に飾られている鏡や洗面所にある鏡に向かって確認した。そして「うわーーーーーー」と2人同時に叫び声を上げた。どうやら、彼らに憑りついた怨霊を目にしたようだ。これで玲の仕事は終わったので、彼はそのまま自宅に戻って行った。
さて、玲が召喚した怨霊だが、単に外見がグロテスクなだけでなく、それぞれに役割を与えておいた。一体には耳元で「助けて、助けて」と助けを求めるようにしており、もう一体には「憎い、憎い、憎い」と恨み言を言い続けるようにしていた。そのため、彼らは日夜その声に悩まされ続けることになり、結局その翌日には地元の神社や寺にお祓いに出向いたりした。だが全く効果がなく、仕方なく地元の米野市内で霊能力者を探して除霊をお願いすることにした。そして霊能力者の除霊を受けるも「自分の力ではこれらを除霊できない」と最終的にはお手上げになってしまった。勿論代金は支払い済みであり、その代金が返金されることは無い。全く金をドブに捨てるとはこのことであろう。ただ、その霊能力者が言うには、「この手の怨霊であれば、恐らく神室霊華様であれば確実に除霊できると思います」との助言を得たので、彼らは早速神室霊華の連絡先を探し出し、その日のうちにメールで連絡をした。暫くすると返信が来たのだが、[皆様方が常に目にされるという霊体は、余程強い怨念を持つ怨霊かと思われます。そうなると除霊するには怨霊の持つ怨念を解消するか、あるいは強制的に除霊するかになりますが、その場合何れも、1人五百万円の費用が掛かります]とのことであった。折角今回の件で二百万円稼いだのに、更に三百万円余分に支払うとなると、今までの裏稼業で稼いだ金全てどころかそれ以上が失われることになる。それこそまさに骨折り損の何とやらになってしまう。そこで神室霊華への依頼を諦めることになるが、そうするとどこにも当てがない。いや、あそこがあった!!
「お、おい、圭。あそこに頼むしかないぞ」
「潤、あそこって、どこだよ?」
俺たちが拉致した連中の所だよ、と阿武は答える。
「いや、待てよ潤! そいつら、戻って来てるのか?」
拉致した後にどうなったか、彼らは何も分からない。だが今はそんなことを言っていられる場合ではない。とにかく一刻も早く除霊して欲しく、にもる思いでネットで検索した結果、ようやく彼らのホームページを探し当てた。そしてその画面を見た時、除霊代金十万円とあった。「おー、すげー、お得だよここ!」と佐田は興奮し、阿武は早速彼らにメールで連絡を入れた。