召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲も拉致される? (最終幕)
さて、最神玲と物部かすみ、そしてラハニ・エランの3人は、東京都内のある国の大使館関係者が住む高級マンションの部屋に転移してやって来た。今の時刻は午前5時。3人は相談した結果、夜中ではなく早朝にしようと決めた。やはりこんな奴の為に自分達の仕事に支障を来すのは嫌だ、と言うのが一番大きな理由である。そしてこの部屋だが、実は昨日の夕方の時点で、玲はにくたま数匹を転移召喚させて問題の一等書記官を見張らせており、その結果突き止めた場所である。そして彼ら3人の目の前には、問題の一等書記官が夫婦揃って就寝中である。玲はまず両者の魂を分離することにした。そして男の方に対しラハニから尋問してもらうことにした。その結果、やはりと言うか、本国からの機密事項となっており詳細は伏せられているが、転移術なる魔術か手品みたいなものをM Mの連中が知っているようなので、どんな手段を使っても彼らから情報を聞き出せ、と言うことになっていた。それを聞いたかすみは、
「そやから、訳わからん事聞いてきたんやな!」
と何やら一人で納得し出した。召喚術が使えないのに転移術を公開しろと言うのは、確かに魔術か手品のタネを明かせ、と同じニュアンスで捉えておれば、そう言ってくるのも納得できる。さて、これ以上話を聞いても何も出てきそうにないので、早速本人だけ魂を元に戻して、お仕置きタイムとすることにした。かすみは早速マキザッパを手元に召喚して
「おい、起きんか!!」
とマキザッパを一等書記官の頭に数発お見舞いした。何やら頭に軽い痛みがあるぞ、と思い目を開けた一等書記官は、家の寝室に不審者がいることに驚き悲鳴を上げた。そして隣で寝ている妻を急いで起こそうとした。だが妻はピクリとも動かない。そしてかすみは、そんな彼の頭をまた叩きにかかった。すると、「パジャールスタ、ペリスターニ! (お願いだ、止めてくれ!)」と叫び出すが、言葉が分からないため、かすみは
「ふざけるな、ボケ!
お前の命令で拉致された恨みじゃ!」
と声を荒げて更にマキザッパでシバキ続ける。そのうち、侵入者が日本人と分かったのか、一等書記官が喚きながら日本語で話しかけてきた。
「イッ、イッタイ、ナンノマネデスカ?」
これに対しかすみが
「はぁ?お前が命令して
うちらを拉致したんやろが!」
と凄い形相で睨み付けながら啖呵を切った。それを聞いた途端、どうやら思い当たることがあったようで、ブルブル震えながら首を横に振り続けた。
「チ、チ、チガイマス。ア、ア、アレハ、
ホ、ホ、ホンゴクカラノ、
シ、シ、シレイデス!」
ウ、ウソジャナイデス、と泣きながら勘弁して欲しいと懇願して来た。かすみもどうやら気持ち的にはスッキリしたようで、「しゃあない、今回はここまでにしといたる」との捨て台詞を忘れずに伝えた。ちなみに、ラハニはと言うと、かすみの猛攻撃に目を丸くしながら、ただ黙って見ているだけであった。ただ、”カスミサン、オコラセルトコワイ”と言う認識が埋め込まれたかどうかは分からない。そして最後に玲が、
「もし今後僕らに非合法な
干渉をするようであれば、
あなたとあなたの家族、
そして本国の上司にあたる方々が
どうなっても知りませんよ」
と警告を発した。そして玲の言葉が嘘やはったりではないことは、一等書記官自身、身をもって体験したため、「ハ、ハイ、ゼッタイナニモシマセン!!」と涙声でそう宣言した。これで玲もスッキリとしたところで、彼の妻の魂を元に戻し、3人は文字通り彼の目の前から消えて行った。そしてこの光景を目にした一等書記官は、絶対彼らを敵に回すべきではない、との誓いをこの場で立てたのだった。
自宅に戻って来た3人は、そのままリビングで寛いでいた。
「まあ、うちも、これでスッキリしたんやけど、
ホンマ、あいつら何でうちらのこと
知ったんやろか?」
とかすみは疑問に思ったことを誰にともなく尋ねた。それに対し玲は、一つの仮説として
「かすみもラハニさんも知ってると思うけど、
あの時僕らが霊界からUSBを持ち帰った時、
その直後に特殊部隊の人達に襲われたじゃない」
「そやった、そやった。思い出したわ」とかすみは騒ぎ出す。そして、
「そっか、あいつらがあの国から
金貰ってたか、あるいは...」
何処かの別の国を介して金を受け取っていたかだね、と玲はその後を引き継いだ。ちなみに、ラハニにあの後彼らはどうなったのかを尋ねるも、「イイエ、ワタシノミブンデハ、ナニモワカリマセン」であった。まあ、どちらにしろ、あの国が何らかの形で関与していたことは間違いなく、その結果が今回の騒動となったのだ。
「なぁ、玲、もしかして今回も
また上の方から何か行ってくるかな?」
とかすみは心配そうにそう尋ねるが、正直、玲も分からない。だが、
「まあ、あいつらが来ても、
こちらは拒否するだけさ」
この点はアメリカ政府に対しても同じ様な対応なので、玲としては矛盾していないと確信している。後は、もう一つの問題への対応である。
「後は、あれやな。
うちらを拉致した連中への制裁やな」
とかすみが言うように、米野市内で何でも屋を営んでいる2人をどうするかである。これに関しては玲には一つのアイデアがあり、それをかすみとラハニに伝えた。すると、
「おー、おー、それメッチャええやん!
何かうち等らしい制裁やな」
「ソウデスネ、カスミサンノイウトオリ、
ココハチャントワカラセナイト、ダメデスネ」
とかすみとラハニが即同意した。玲のアイデアとは、霊体を召喚し彼らに憑りつかせるということである。ただし普通の霊体ではなく怨霊とする。そしてこの怨霊を除霊するにはある条件を設定する。それは、玲が言うように
「今までの悪事で稼いだ金を
全て差し出すというようにしようか」
である。尤も全額玲達が受け取るかどうかは、その時に判断することにした。とりあえずそうと決まったら、憑りつかせる怨霊をどうするかである。実は玲は、既にこういうことに対応した怨霊を作れるようになっていた。
「これは、ほら、ラハニさんが
練習している霊体人形があるだろ。
あれに怨霊の怨念を追加するように
したんだ」
そして怨念の項目として今のことを追加すれば、それが達成されない限り永遠に憑りついている、と言うことになる。そして、
「一応、この怨霊はラハニさんも含む
僕らであれば除霊できるけど、
予め神室さんにも伝えておいた方が
いいよね」
その場合、数百万の除霊代金を請求するようにお願いしようか、と玲は言うのだった。
「そやね、それやったら、
絶対うちらの所に来るしか無いねんな」
とかすみが言うように、最終的にはM Mに頼らざるを得ない様に持って来るのだった。後は憑りつかせる怨霊のデフォルメをどうするかであるが、これにはかすみだけでなくラハニも何やら楽しそうに「もう少し首曲げた方がええんちゃう」とか「アト、カオノハンブン、タダレテイルハドウデショウ?」などと意見を出して、最終的には恐ろしい表情の怨霊が2体出来上がったのだった。そしてこの怨霊は、翌日の昼頃に玲が店の近くに出向いて彼らの所にて無事召喚し見事に憑りつかせた。果たして彼らの運命は如何に?