召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲と物部かすみ、謎の招待を受けるパート2 (第1幕)
最神玲と物部かすみは、今日も何時もの様に美土路神社の社務所にて仕事を行っている。だが、時折かすみは、何やら玲の顔を見るたびに思い出し笑いをするようで、
「あっ、あかん!
玲の顔を見るとあれを思い出す、プスッ」
と直ぐに笑い出そうとする。その笑いの原因は、先日、神室霊華が依頼を受けたパラレルワールド事件、と言っても大雑把過ぎるが、パラレルワールドから何かの原因でこちらの世界にやって来た男を元の世界に無事送り返したという話しと言うか事件と関係していた。その過程で、玲とかすみと神室霊華は、霊界を経由してパラレルワールドを探索していたのだが、かすみはある世界で出会った玲の姿を思い出す度にどうしても笑いが込み上げきて仕方ないのだった。そんなかすみの態度を見て玲はムッとしている。だが、玲も同じように別の世界のかすみのあの姿を思い出すと同じように笑いが込み上げてくるのだから、どっちもどっちだった。
”いや~、あのかすみは、かなり斬新だったな~”
仕事中に呑気に変な事を想像している玲とかすみだが、丁度今は参拝客の対応がひと段落した所なので、彼らの間に少し余裕が生まれていた。そしてそんな彼らの元に何時もの郵便配達人が現れて、「郵便でーす」と言って社務所の窓口に郵便物を置いて行った。かすみが早速その郵便物を手に取ってめていると、
「おや~?また何やろ~。変な招待状かな~」
とかすみはそう口にした。かすみが今手にしている封筒は、真っ白なレターサイズの封筒である。そしてそこには英語でここの住所と[Rei Mokami and Kasumi Monobe]と書かれていた。そしてかすみはお約束の様に「今回も光線出す方やなくて良かったなー、玲」と茶化すことは忘れない。だが彼らの元に届く封筒で英語名で宛名が書かれている場合、大抵差出人が書かれてない。そして今回もその前例に倣っていた。となると、
「これって、あれやろな~。
またどこかの訳わからん連中からの
招待状っちゅう奴やな~」
とかすみはその封筒を手で摘まんでヒラヒラさせながら指摘するように、十中十間違いない。「何時からうち等、そんなに有名になったんやろな~」と言いながらかすみが早速封を開けて中を検めると一枚のカードが入っていた。
「やっぱ招待状やんか~。どれどれ......」
と言いながらそのカードを読みだそうとするが、丁度その時、「御朱印帳への記帳をお願いします」と参拝客からお願いされたので、仕方なくそのカードを元に戻し、かすみは仕事に戻った。
そして何事もなく定時を迎えて玲が先に夕飯の準備をするために戻り、かすみは社務所の戸締りをしてから先程の封筒を手にして自宅に戻って来た。そして早速リビングにてその封筒の中身を再度検めることにした。
「なあ、玲。やっぱ招待状やわ。
しかもなぜか日本語で書かれてるねんけど...」
それやったら宛先も日本語で書けっちゅうねん、とかすみは少しお冠だった。それよりもそのカードに記されている内容だが
[最神玲様、物部かすみ様
この度貴殿等を、ある集いに御招待致します。
場所: スイス国エルデンフリート城(Eldenfried)
日時: ...」
「スイス国って......はぁ?
あのアルプスの少女の国か?
何でそんな外国へ行かなあかんねんな?」
とかすみはぼやき出した。玲はカレーを作っている最中であるが、かすみのぼやきが気になって
「かすみ、どこに来いって書いてあるの?」
と尋ねた。すると、
「スイスやって。しかも今月下旬の
週末に来いってさ。どういう招待やねん!」
と又もやぼやき出した。丁度その時、神室霊華が「師匠、玲さん、こんばんは」と言ってやって来た。そして玲とかすみは挨拶を返すが、かすみが何やら不機嫌な状況を察した神室霊華は、「師匠、何か問題でもあったのですか?」と早速心配そうにかすみにそう尋ねた。そこで、かすみはその招待状を見せながら、
「何かな、うちらに招待状が来てんねんけどな、
スイスに来いって言うてんねんよ。
しかもな今月末の週末に来いって」
今から準備して間に合う訳ないやろー、と神室霊華相手にまたぼやき出した。その時玲がカレー皿にカレーとご飯をいながら、
「かすみ、それはね、『転移して来い』
と言っているんだよ」
とかすみにそう伝えた。するとかすみは、目を丸くして、
「えっ! 嘘やん、そんなことあるんか?」
と玲に対し疑問を呈するが、玲は既に内容から誰が差出人かの見当をつけていた。
「だって、その日まで1週間もない
このタイミングで招待状だけあって、
航空機のチケットがないんだろ?
しかも宿泊場所については
何も書かれてない訳だし...」
そう、いつのにここに来いとしか書かれていない。そして玲が指摘するように、今この時期に航空機のチケットが取れるかどうか怪しいのにそれが一緒に送られてきてない。一方で、その城に宿泊と言うことは考えられる。だが、招待者がどこの誰なのかも書かれてないのに、その招待者の指定した城に宿泊するというのは自殺行為に他ならない。そしてそのことは誰しも思う訳で、だとすると、
「宿泊せず、しかも直接来い
ということになるよ。
そうなると、答えは一つだね」
そう、転移してここに来いということなのだ。そしてこの招待状の差出人は
「まあ、かすみも知っている連中だね」
と言ってかすみに考えさせることにした。かすみは腕組みをしながら
「アメリカ軍か、それとももう一方の
あの国やろか...あっ!ちゃうわ、あっこか!」
と声を上げ、ぱん、と勢いよく手を叩いた。どうやら思い当たったようだ。そして
「そっか、あの教団やな。それやったら納得や!」
と漸く理解した。ただし神室霊華はまだ何も分かってないのでかすみが早速説明をすることにした。そして、
「えっ! 以前師匠と玲さんが
日本の組織を潰したんですよね。
そこがまた復活ですか?」
と驚きながらそう口にするが、かすみは
「いやー、ちゃうやろなー。
多分、あっこの親玉が出てくるんちゃうの。
なあ、玲?」
と玲に確認するが、こればっかりは玲も分からない。
「うーん、まあ、親玉が出てきたら
その時点で最終決戦だろうけど、
まだ組織の構成員が世界中に残っているから、
恐らく幹部クラスじゃないかな」
と今の段階での予想をそのように立てた。玲とかすみが相手にする組織、サモネル教団、その幹部からの招待状であると見たのだった。
「それで師匠、
玲さんとそこに行かれるんですか?」
と神室霊華は不安な表情でかすみにそう尋ねた。かすみは
「まあな、向こうからご指名されてるからな、
うちが行かへんかったら、
『物部かすみは逃げたぞ!』
と言われそうで、それが腹立つねんな」
と軽い調子でそう答えた。まあ、神室霊華にはそう答えたが、かすみの心の中では
”何や、めっちゃおもろそうなことが
あるんちゃう?”
と好奇心剥き出しの状態であった。尤もかすみも油断することはしない。やはり今の段階で何が起きるかは分からないからだ。もしかして休戦協定とかがあるかもしれないが、それは向こうに行ってからでないと分からない。そしてかすみは、
「そう言うことでやな、
霊華さんには留守中のこと
お願いしたいねんな」
まあ、週明けまでには帰って来るつもりやからね、とかすみは笑顔でそう伝えた。神室霊華は尚も不安な表情をするのだが、かすみがそう言うのであれば「分かりました、師匠。気を付けて行ってきてください」としか答えられない。とりあえず、お腹も空いたことで3人は玲が準備した夕飯のカレーライスを食べることにしたのだった。