召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
美少女降霊術師の心霊事件簿11: 死の宣告 (第1幕)
大型連休も残り一日となった。とは言っても3日後には再び週末が来るので、ではその間も休みにすれば良いと思われる。会社勤めであればその間も連休扱いで休みになっていたり、あるいは有給休暇を取ったりして臨機応変に対応できるのだが、残念ながら神職の手伝いをしている最神玲と物部かすみには、そもそも有給休暇は存在しないため、明日からは何時もの日常を送ることになる。そして今年の大型連休はと言うと、つい先日、日米の霊能力者対決が行われたばかりで、特にかすみの方にはまだその余韻と言うか興奮が残っている。それでも明日からは何時もの日常が待ち受けているので、玲もかすみも気持ちを切り替えないといけない。そのため、本来であれば今日一日も別荘にてのんびりと過ごすつもりだったのだが、玲はかすみと相談して、やはり気持ちを切り替えるために、この日は美土路神社の何時もの自宅に戻って来たのだった。
さて、戻ってきたと言っても特にすることはないため、玲はそのまま自室にて召喚術の研究に励んでいる。一方かすみはと言うと、自宅に置きっ放しだったノートバソコンを立ち上げていた。実は大抵のことはスマホで済ませるため、最近ではノートパソコンを使うことが余りなくなっていたのだが、 偶に立ち上げへんとグレよるからな! とかすみは謎の心配をしたりする。そして今では殆ど使わないパソコンのメールソフトを立ち上げた。すると、
「おー、何や、何や、
偉くぎょーさんのメールが来てるがな!」
とかすみは独り驚きの声を上げているが、ただし大抵はジャンクメールの類である。だが、何件か気になるメールが来ており、そのどれも差出人はとなっていた。あれ?立林ってあいつのことか?と何やら心当たりがありそうな雰囲気を出すかすみである。もし間違いでなければ、彼女は大学時代の友人であり、今は富山県に暮らすと3人でよくショッピングや食事を一緒に楽しんでいた仲のいい友達である。そう言えばあいつとはLINEはしてなかったっけ?いやいや、瑞希とLINEしててんから、あいつもLINE出来るやろ!とかすみは勝手に何やら結論付けるが、それよりもかすみのパソコン宛てにメールで連絡を入れることは、彼女の親友や知人には見当たらないのだ。そのため、最初は胡散臭い印象を持つのだが、念のために内容を見ると、何やら切羽詰まった文面で、どうやら本人っぽい感じを受けたので、かすみはそのメールに早速返信することにした。そして後にこの時のことを思い返した時、
”もしあの時パソコンを立ち上げてなかったら
一体どうなってたんやろか?”
と考えると途端にその時起きたことを思い出してしまい、恐ろしさで体が震え出したりするのだった。
さてかすみは、メールに返信した後、タチアナから貰った(惑星サモナルドの)ロムリア製の全ての映像が高精細3Dで投影される超ハイテクなデバイスを立ち上げて、次の洋服のデザイン案をロムリアのファッションを参考にしながら練る作業を行っていた。とその時、ノートパソコンに何やら動きがあったようで、メールソフトに何件かメールが入ったのを確認した。そしてその中に立林翔子からの返信を見つけたのだ。
[かすみ、久し振りだね。元気にしてた?
立林祥子です]
から始まるメールには、どうやらLINEが出来ない事情が書かれていた。そこには
[本当ならLINEすれば直ぐに繋がることは
分かっていたんだけど、
私のスマホが行方不明で]
と言うことであった。そして現在新しいスマホに買い替えるために色々と調べているところだという。それよりも、メールをしてきた理由だが、
[実は、私の彼氏のことなんだけど...]
てっきり彼氏と喧嘩したとか、浮気していたとかの愚痴を零されると覚悟したかすみだが、その後のメールの文面を見て驚愕の表情をした。そこには
[あと数日で死ぬって言われているの。
だから助けて欲しいの!]
いやいや、冗談にしてはきつ過ぎるとかすみは思うし、たとえ死ぬにしても病気とかであれば自分には何もできないのだが、メールを見る限り立林翔子からの悲痛な叫びと言うか、一刻も早く何とかして!と言う心の叫びがひしひしと伝わって来る。そこでかすみは、そのメールに書かれている電話番号に電話かけることにした。そこは携帯ではなく固定電話のようだ。暫くすると、
[もしもし、祥子か?
急にどないしたんや?]
[あっ、か、かすみなの?
有難う、電話しくれたのね]
[そりゃあーな、祥子の悲痛な叫びが
届いたからやねんけど、
しっかし、何でうちに連絡したん?]
[ゴメンねかすみ。実はね瑞希から
かすみに助けてもらった話を聞いてたの。
それでね、もし心霊的な事が
関係しているんだったら、
かすみに聞くしかないと思ったの]
と祥子から経緯を説明された。そして更に祥子とその彼氏に何が起きたのかについての詳細がかすみに語られた。
立林祥子とその彼氏、は、今は関東のある地方に住んでいる。2人は同じ職場で知り合った同期であり、入社した時から馬が合うということで、最初は良き友人であり同期の他の仲間たちとキャンプや温泉旅行を楽しんだりしていた。そんな2人が真剣に付き合うようになったのが昨年からであり、何れは結婚を考えているという。そして2人がこの大型連休を利用して東京都内を観光していた時、ある裏通りを歩いているとそこに全身黒づくめで、顔の下半分が黒のフェイスベールで覆われた年齢不詳の女性が占いの店を出していたところに出くわしたという。2人は何だか面白そうだということで、一応将来のことを占ってもらうつもりでその店に向かった。すると、占い師は彼氏の顔を見た途端、「あなた、10日後に死にます!」と突然告げてきた。更に、「これを肌身離さず持ちなさい!」と言って何やらお守りのような物を渡された。流石に怪しさ満点な状況で、相手を怯えさせてから「これを買ったら大丈夫」などと言う悪徳商法的な状況が目に浮かんだようで、最初はそのお守りらしき物を受け取らなかった。だが、その占い師は金銭的な事は何も要求せず、お守りをテーブルに置くと直ぐに道具を片付けてその場から立ち去ったという。呆気にとられた2人は茫然と佇むも、漸く正気を取り戻して「何だったんだろうね、あの人」と笑いながらその場を去った。だが祥子の手には、なぜかそのお守りが握り締められていたという。
[これだけだったら、
単なる笑い話で済むんだけど...]
と祥子が言うように、実はそれで済むことは無かった。