召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
国王の帰還 (第1幕)
最神玲と物部かすみ、そして神室霊華の何時ものM Mの3人が、サモナルドから召喚されて地球にやって来たタチアナ・エグリスコバとその師匠であるエンペラールと共に、差間見町の居酒屋の個室で楽しい夜の一時を過ごしていた時、鞄の中にしまってある玲のスマホから[♪ピローン]と言うメールの着信音が鳴った。かすみが何やら面白可笑しく話を盛り上げている最中で、皆がワイワイ騒いでいた所であるが、玲はとりあえず鞄からスマホを取り出した。そしてメールを確認すると、それはロンドンに住むチーターことロムリアの第二王女ヴェレニエラからであった。ただし文面は英語で書かれているため、玲はアプリで日本語に翻訳してから内容を確認した。そして予想通りと言うか、どうやら父親であり、現ロムリアの国王であるロメロ5世がロムリアに戻りたいということを知らせて来たのだ。玲は早速ヴェレニエラからメールが来たことをその場で伝えると、一瞬でしんと静まりかえった。そして直ぐにタチアナが内容を教えて欲しいということで、玲はその内容を伝えた。そして
「では、明日にはこちらに陛下は
お戻りになられるのですね?」
とタチアナが玲に尋ねるので、玲は
「はい、明日の夕方に陛下を迎えに行きまして、
そのままこちらに転移します。
その後直ぐに戻られるか、あるいは
少しこちらで休まれてからお戻りになるかは、
その時に陛下に決めて頂きます」
と答えた。するとエンペラールが
「ねぇねぇ、レイさん。
私達もお迎えに行けないかしら。
出来ればヴェレニエラ王女に
御挨拶したいんだけど...」
と玲に祈るような感じで訴えると、タチアナも「是非私も同行させて頂きたいです!」と、こちらも玲に真剣な眼差しを向けて訴えかけた。そうなると何やらかすみも「ほな、うちも行きたいわ」と騒ぎ出すのだが、かすみに関しては何時でも紹介できるから我慢してと伝えると、口を尖らせて文句を言いつつも止む無くそうすることにした。そこで玲は、改めてエンペラールとタチアナがヴェレニエラに挨拶をしたいが問題ないかと言うことを英語に翻訳してからメールで伝えた。暫くしてからOKの返事が届いたので、そのことを2人に伝えると、2人とも心から嬉しそうな表情を漂わせた。
そんな時、神室霊華が、先ず陛下が誰なのかが分からないため、かすみに色々と尋ねていた。だが、かすみも何やらあやふやな所があるため、玲が代わりに答えることになった。
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「では、その、ロムリアの国王陛下が
今地球に来られており、
その方を明日お迎えに行って
そのままロムリアにお戻りになる、
と言うことなんですね?」
と要領よくまとめた。かすみであれば「王さんが戻って来て、直ぐに自分の国に帰りよるわ」で済ませてしまいそうだが、流石神室霊華は名家のお嬢様である。もっとも玲もかすみの事は口にしないのだが。そして神室霊華は、そんな異世界の王様が今地球に来ているという事実をここに居る5人と、後は地球に無理やり転移させられた王女様以外にいないというのが、何やら不思議に感じたりする。そしてもしこの王様に何かあったら外交問題に発展するのか、もしかして地球が攻撃されるのかとふと不安に囚われて心配したりするのだが、一方でここには自分を除き、最高の召喚術師が揃っており、この4人であればそんな攻撃を簡単に回避できるのではと期待したりする。勿論これらは神室霊華の空想であり、実際にそうなることはないのだが。
その後は再びかすみの独演会で盛り上がった飲み会ではあるが、やはり明日の夕方にロムリアの現国王ロメロ5世を迎えるための準備をすべく、5人はほろ酔い気分で居酒屋を出て、そのまま別荘に転移して行った。
M Mの別荘ではロムリアの超VIPである国王を迎えるため、朝からその準備で大忙し...ではなく、何時ものゆっくりとした時間が過ぎている。玲とかすみは、今週一杯は待ちに待った夏休みなので、この期間中は別荘に籠りっきりである。そして昨晩は、5人で楽しい飲み会があったため、午前8時になったところで漸くかすみが起き出してきた。今週の料理番はかすみのため、これから朝食の準備を始めるのだ。やがて神室霊華が起きてきて、かすみと朝の挨拶を交わしてから早速かすみを手伝うことにした。そのうち、玲も起き出してきて、リビングのソファーでテレビを見だした。暫くすると、2階からエンペラールとタチアナが降りてきて、全員揃ったところで少し遅い朝ご飯となった。その後は玲とエンペラールは何時もの召喚術談議を、かすみはタチアナを連れてかすみの工房に向かい、そこでデザイン関係の講義やノウハウの取得を目指した。そして神室霊華は一度自宅に戻るということで、それぞれの予定でそれぞれの時間を過ごすことになった。
昼になり、今日の昼食は冷やし中華ということで、玲はかすみを手伝うことにした。そして神室霊華も戻って来たところで、3人で昼食の準備を進めることになった。エンペラールは初めて見る冷やし中華に興味津々なようで、
「これって、ラーメンとは違うのですか?」
と誰にともなくそんなことを尋ねた。すると玲が
「そうですね、麺は同じですが、
味付けとかは違いますね」
と答えた。その時神室霊華が
「ちなみに冷やしラーメンと言うのもあるんですよ」
と話題を提供すると、冷やし中華と冷やしラーメンって、どちらもラーメンではないのか、とタチアナがそこに加わって質問をし出した。そこで神室霊華が、冷やしラーメンは、普通のラーメンだけど、スープが冷たくなっていることを説明した。
「へぇー、そうすると、このラーメンと言うのって、
熱い物から冷たい物まで色々なタイプがあるのね」
とタチアナは何やら感心し出す。そして刻んだハムとキュウリとトマトと錦糸卵を載せて、その後でタレをかけて出来上がりとなったところで5人揃って食べ始めた。
「うーん、やっぱ、夏は冷やし中華やんなー!」
とかすみは大満足である。その後5人のお腹を満たしたところで、再び各自の部屋に戻ることになるのだが、そんな時神室霊華が
「今日の晩御飯ですが、どのようにしましょうか?」
と真剣な表情で全員に向かって問い掛けた。かすみは「いやいや、今食べたばかりで、もう晩御飯?」などと軽口を叩くが、神室霊華の真剣な表情を見て、
「あっ、ごめんな、霊華さん。そやった、
王さんどないすんのやっちゅうことやな?」
と神室霊華に謝罪しつつ念のために質問の意図を確認した。そこでかすみは、ホストである玲にどうするのか尋ねた。すると
「そうだね、僕としてはどこかに
食べに行こうかと考えたりしたんだけど......」
と言うのだが、それに対しかすみが
「あんな、玲。今は日本中、盆休み期間やねんで。
そうなるとな、お店も夏休み取って
休んでいる所が結構多いねん。
そこんとこ、分かってるか?」
と玲を説教し出した。確かにかすみの言うことはもっともなことで、玲もその点は抜けていたようだ。そうなると、
「じゃあここで何か準備するしかないけどなー。
うーん、何が良いかな?」
やはり和食が良いかなー、それとも洋食にすべきかな、と玲は悩みだすのだが、そんな時エンペラールと目が合ったので、早速エンペラールの意見を聞くことにした。するとエンペラールは、人差し指を顎に当てて何かを思い出しながら
「そうね~、陛下は特に好き嫌いは
無いと思いますよ~。
何と言っても王宮の料理人達は、
超一流揃いですからね~」
と言うのだが、そうなると陛下の前に出す料理に対し物凄くハードルが高くなってしまう。一層の事、会席料理みたいにするか、と考えられなくもないのだが、このメンバーで会席料理を作ったことはがあるのは、部分的には神室霊華位だろうか。そんな時にかすみが
「それやったら、極端に庶民的な方向に
持って行ったらええんちゃう?」
いつも贅沢に食べている人からすると、一般人の食べるものが新鮮に感じるのではないか、と言うのがかすみの論理である。玲も確かにそれは一理あるなと思う訳で、そうすると
「僕らが普段食べているような料理で
良いのかな?」
と思ってしまう。それに対しエンペラールが
「そうね、皆さんが作られる夕飯とかって、
ロムリアには無い味付けとか食材が多いから、
意外と興味を持たれるかもしれないわね~」
と援護射撃をしてきた。そしてタチアナも
「そうですね、先生の仰るように、
余り気を張らず、何時もの食卓で迎える方が
意外と良かったりすると思うけどね」
と言うことで、結局何時もの夕飯の献立で進めることにした。そうなるとメインはと言うと、
「ほな、うちの特製唐揚げやんな!」
と言うように、みんな大好きなかすみ特製唐揚げがメインとなる。それ以外となると、定番は寿司と刺身と天婦羅など。汁物は味噌汁かすまし汁となる。寿司であればご飯は不要となるが、それ以外だと何かしら主食が必要となる。そんなことを5人は話し合うのだが、そんな時神室霊華が一つの案を出してきた。
「肉料理は師匠の特製唐揚げがあるとして、
魚料理はお刺身にするか、
それかお寿司ですかね。ただし...」
当然ここに居るM Mの3人は寿司を握れないため、どこかに注文することになる。それに関しては、神室霊華が対応するということになった。そして寿司が加わる以上、刺身に関しては特に不要かと思われる。そして神室霊華は
「後は副菜として夏野菜サラダか、
この季節ですが敢えて
煮物にするかでしょうかね...」
と今考えている献立をそのように列挙した。すると
「あるいは夏野菜カレーっちゅう手もあるけどな」
とかすみがそんな提案をしてきた。ただし、辛い物が好きなのかどうか、その点は気になる所だ。すると今度は玲が
「僕としてはの蒲焼なんか好きだけど、
あれは好みが分かれるみたいだしね」
と自分の好みを推薦するのだが、実はエンペラールは鰻の蒲焼が余り好きではないため、そのことを踏まえて玲は指摘したのだった。