召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
神室霊華の生誕祭とRINAの歓迎会 (第3幕)
これで全員揃ったところで、早速本日のメインイベントとなる神室霊華の生誕祭とRINAの歓迎会が開催される。リビングには誕生日と歓迎を祝う豪勢な飾り付けがされ、テーブルの上にはケーキを始め、最神玲と物部かすみが腕によりをかけた料理が並んでいる。そして先ず最初にM Mの代表であるかすみが
「どうもー、かすみでーす!
今日は霊華さんの誕生日会と
RINAさんの歓迎会をやりまーす。
みんな、楽しんでってねー!!」
と凄く軽いノリの挨拶を行った。玲は思わず、「かすみ、軽すぎだろ!」とクレームを入れるが、かすみは知らんふりを決め込む。玲は何やら諦めたように首を横に振りながら、先ずは神室霊華の誕生日を祝うために、何時ものように部屋を暗くして、ケーキのロウソクに火を灯し、皆でハッピーバースデーを歌って神室霊華の誕生日を祝った。そして神室霊華がそれを吹き消したところで、テーブルの上に置かれている少しお高いシャンパンを開けて、それで皆で乾杯をした。すると直ぐにかすみによるインタビューが始まった。
「放送席、放送席、ただいまから
神室霊華氏へのインタビューを始めます。
神室霊華さん、先ずはお誕生日
おめでとうございます!」
「あ、有難うございます!」
「では早速ですが、毎年聞いておりますけど、
今年でお幾つになられたんでしょうか?」
「勿論、永遠の二十歳です!」
「そ、それは四捨五入しての二十歳でしょうか?
それとも切り捨てての二十歳でしょうか?」
「それは、ひ、み、つ、ですね!!」
かすみは思わず新喜劇の転びを披露した。そして
「放送席、今年も神室霊華氏から
年齢を聞き出すことは出来ませんでした、
無念です!」
と言うや、その場で胸を押さえながら横になって倒れてしまった。そんなかすみの寸劇を見ていたラハニは、手を叩いて大喜びしていた。RINAは初めて目にする光景にただ茫然としていたが、どうやらこれは何時もの事なのだと思い、そのうち一緒に手を叩いて笑い出した。
この後は、いよいよ神室霊華の二度目のレベルアップである。玲は用意していたエンペリアンを神室霊華の目の前のテーブルの上に置いた。そして玲は、膝立ちのままでソファに座る神室霊華の両手を握った。すると、
「おー、神室さん。去年のこの時期から
かなり召喚エネルギーが増えてますね!」
とまだエンペリアンに触れる前から、玲はそんな感想を伝えた。どうやら、毎日のように自宅と美土路神社を転移で往復していたことが大きいようだ。神室霊華は少し恥ずかしそうに俯き加減で、「そ、そうですか。有難うございます」と呟いた。だが今年のレベルアップがまだ終わってないので、玲は神室霊華に早速エンペリアンに触れるように促した。神室霊華は「は、はい!」と大きな返事をして、先ずは深呼吸を行う。そして意を決してエンペリアンに触れると、二度ほどピクン、ピクンと震えた。そして何やら落ち着いたところで、早速玲が神室霊華の両手を再び握り締めると
「ん?おー、そうなったか......」
と又もや理解に苦しむようなリアクションをする。そして何時ものようにかすみがどうなったかを尋ねると
「うん、間違いなく5割アップは問題なくて、
やはり7割かそれ以上のアップがあるみたいだね。
しかも――」
この1年間の召喚術の使用で底上げされた召喚エネルギーが更に増えたことから、
「もしかして、地球の裏側には転移出来ると思うよ。
ただ往復は少しきついかもしれないけどね」
と言うことを皆に伝えた。それを聞いたかすみは「ま、マジか!!」と絶叫し、ラハニは羨望の眼差しを神室霊華に向けていた。ラハニとすると、当面の目標は今の神室霊華のように地球の裏側に転移出来るようになることであったためだ。そしてRINAはと言うと、一体目の前で何が行われたのか理解できずにおり、その為1人茫然とした表情でその様子を眺めていた。そんなRINAを気遣ったかすみが、
「これはな、元々は召喚エネルギーの
貯金箱みたいなもんなんやて。
そやけどな――」
十分に溜まった召喚エネルギーを取り出すと、一気に自分の召喚エネルギー量を増やせることを伝えた。RINAは不思議そうな表情を漂わせながらもかすみに色々と尋ねたいのだが、まだかすみが説明を加えるようなのでそのままかすみの話を聞くことにした。
「ただな、このレベルアップは
1人3回までが限度やねんて。
しかもレベルアップが行われたら
次のレベルアップまで
1年は待たないとあかんねんて」
と言うことをRINAはかすみから教えてもらった。そしてこの時、RINAは以前美土路神社で玲が自分の誕生日を尋ねたことを思い出し、その理由がまさにこれだったのだと知ることで、来年の自分の誕生日にはもしかして自分がもっと強くなるのかと認識すると、俄然召喚術にやる気を出すのだった。
さて無事に神室霊華のレベルアップが達成された所で、実際に神室霊華が地球の裏側まで転移出来るかどうか確認すべくかすみがこんな提案を行った。
「霊華さん、どっか行きたい国とかあらへん?」
「そ、そうですね......あっ、私、
バチカンにあるシスティーナ礼拝堂に
行ってみたいんですよ!」
そこの有名なミケランジェロの最後の審判と言う天井画をこの目で見たいというのだ。日本の時間は丁度12時半であることから、イタリアは朝の5時半くらいであろうか。
「ほな、丁度人もおらへん時間やし、
直接転移して見に行かへんか?」
とのかすみの誘いで、神室霊華は人生初めてのバチカンへ転移で向かうことになった。ただし、お伴はかすみだけでなく、ラハニとRINAも一緒である。なお玲とタホマは、別荘に留守番である。玲はかすみに向かって
「神室さんを無理させないように注意してね!」
と忠告を与えるが、かすみは「そんなん、分かってるわ。当たり前やろ!」と少し切れ気味に玲に抗議する。そして4人揃ったところで、神室霊華は転移門マーカーをバチカンのシスティーナ礼拝堂にセットし、そのまま「召喚」と叫んで転移して行った。
それから10分後、4人は別荘に戻って来たが、4人の顔には驚きと興奮が入り混じっていた。どうやら誰もいない礼拝堂で最後の審判を思う存分堪能したようだ。ただし神室霊華は若干疲れ気味なようで、玲は早速神室霊華の手を握って召喚エネルギーの様子を確認することにした。
「うーん、やはり往復はまだきついね。
どうやら6割近くの召喚エネルギーを
消費している感じだね」
と言うや、早速玲は神室霊華の召喚エネルギーの補充を始めた。暫くすると神室霊華の顔色が良くなってきて、
「玲さん、有難うございます。
何だか凄く気分が良くなりました!」
と元気よく声を掛けた。この2人の様子を眺めていたRINAは一体何があったのかをかすみに尋ねた。
「あっ、あれはな、召喚エネルギーを
玲が補ってんねん。
せやなー、玲は召喚エネルギーの
ガソリンスタンドみたいなもんやな」
と答えるが、RINAは召喚エネルギーがそんな風に補充できることを初めて知ったようで、驚きで目を丸くしていた。だが、エンペリアンによるレベルアップもそうだが、召喚エネルギーは外部からの補充が可能な少し特殊なエネルギーであり、しかも霊界においては、自分の生命力の代わりを務めたりする。何とも不思議な存在であった。ただ、召喚術に詳しい玲でも、あるいは惑星サモナルドの大召喚術師のエンペラールでも、この召喚エネルギーの正体については全く何も分からない。