召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
なぜ物部かすみは拉致されたのか? (第6幕)
さて、話は再び物部かすみが拉致された時間に戻る。かすみによって魂を分離された親子、名前はというのだが、その曽根田親子はかすみのある質問に対し、こう答えた。
「・・・ミ、ナ、を、た、す、け、た、い」
どうやら、この親子の娘であり妹でもある曽根田ミナなる女性を助けたい、それが目的というか動機となっていることが分かった。だが、当然、その女性を助けることと、大勢の人達を拉致して魂を奪い取る行為との関係性が全く分からない。そこでかすみがその点を追及すると、
「そ、そ、そんなアホみたいな話って......」
と余りの荒唐無稽さから思わず絶句してしまった。親子が語った話、それは魂の交換であった。するとかすみは
「魂10個集めたら、特別な魂と交換
みたいなことなんか?」
と冗談半分でそう尋ねると、返ってきた言葉は「そうだ」であった。これにはかすみだけでなく、その場の全員、目が点になってしまった。かすみに至っては新喜劇の転びをしそうになり、更に「まんま、ゲームの世界やんか!!そんな話あるか、ボケ!!」と悪態をつきながらツッコミをするというくらいに、酷くご立腹であった。だがどうやら実際にそのようなことが可能だというのだ。かには信じられないような話だが、更にかすみが追及すると、遂には
「ままま、まさか、こいつら......
あ、あの教団の、関係者か......」
と最神玲も絶句するような驚きの事実が明らかとなった。と言うのも、曽根田アーノルドの魂が語った中に「ヴェルハム」という言葉が出てきたからだ。だが何故、ヴェルハムと今回の魂の交換が関係しているのか?玲とかすみはその点に非常に興味を抱いたため、尚もこの点を追及した。その結果明らかになったこと、それは――
実はM Mの3人の目の前で魂を分離されている曽根田親子の父親の方、曽根田アーノルドは、サモネル教団を率いる4人の大幹部の1人であった。そして曽根田アーノルドが担当していたこと、それは
「ヴェルハム復活プロジェクト?
......一体どういうことなんだ?」
と玲が狼狽えるほどの謎のプロジェクトであった。玲はてっきり、ヴェルハムが現在の地球に転生して活動しているとばかり思っていたのだが、全く予想もしない新事実が出てきたことで、いつも冷静さを保つことを心掛けている玲にしては、恐らくかすみと神室霊華も目にしたことがないくらいに、大声を出して激しく混乱していた。もしかしたら、錯乱する寸前だったかもしれない。だが、そんな玲の混乱ぶりは分からなくもない。と言うのも、玲にしろかすみにしろ、サモネル教団の信者を死に追いやっている張本人がヴェルハムだと思っていたからだ。残念ながら、なぜそのようなことを行っているのかは今まで分からなかったのだが、何れにしてもヴェルハムの指示がないと、教団はそのようなことが出来ないと信じていた。ところが、
「ヴェルハム自身がこの世にいない
ということだとすると............
じゃあなぜ人の魂を大量に必要とするのか?
あの世にあるヴェルハムの魂を
呼び出したいからなのか――」
「......それで魂を集めてヴェルハムの魂と交換ということなのか......」と玲は独り言を呟きながら、部屋の中をうろうろし出す。そしてふっと何か思いついたのか、玲はその場で立ち止まり、彼の奇態な行動を黙って見つめていたかすみに向かって
「かすみ、その親子の魂を元に戻そうか。
それからじっくり本人の口から語ってもらおう!」
と指示を出した。すると
「ん?そんなことしてもやな、
こいつら本当のこと喋るかどうかわからへんで。
それよりも、魂を分離して霊魂に語ってもらう方が
嘘つかへんとちゃうん?」
とかすみは反論するのだが、実は肉体から切り離された魂が語ること、それは質問に対する答えのみであり、質問者が知らない事実を語ることはない。勿論根気よく質問の内容を修正しながら続ければ、何れは真実にたどり着くかもしれないのだが、気の遠くなるような話ではある。
「まあ、場合によっては再度魂を分離して
真実かどうかを確認すれば済むだろうしね」
「まぁなー、確かにそう言われれば
そやねんけどなー」
とかすみは腕組みをして考え始める。と言っても何か他にいいアイディアがある訳でもなく、結局玲の案で進めることにした。ただし、どのような条件を出して真実を語ってもらうかだが
「彼らが真実を話す見返りとして、
そのミナさんの魂を降霊召喚で呼び出して
蘇生させる、と言うのはどうだろうか?」
そうすれば、彼らの目的は達成され、このまま続ける必要はない訳である。かすみは
「せやなー、それやったら、
確かに拒否する理由はあらへんな」
とかすみも同意したように、交換条件としては最適であろう。そこでかすみは、その場で分離した魂を本体に戻した。
何やら急に意識が遠のいたと思ったのも束の間、再び意識を回復した曽根田親子は、彼らの目の前に誘拐した女性がなぜが拘束を解かれて自由にしている様子を目にした。更にその女性以外にもう2人がそこに現れたことに大きな衝撃を受けていた。そして父親の曽根田アーノルドが急ぎその場から逃れようとするも、身動きが取れないことに気づく。そして曾根田アーノルドは
「きき、貴様ら、いい、一体、何者だ?」
とドラマでよく悪党が使うセリフをそのまま口にした。息子の方はただ茫然として、成り行きを見守るだけである。そのとき、玲が前に出て自己紹介を始めた。
「どうも、初めまして。僕は最神玲と言います。
もしかして僕の名前をご存じではないですか?」
と玲は努めて冷静な態度で曽根田親子にそのように伝えた。すると、父親の方が何やら思い出したのか、口と目を大きく開けて驚きの表情を示した。そして唇を震わせながら、ようやく
「レレレ、レイ・モカミ......
そそそ、それと、カカカ、カスミ・モノベ......」
とかすみが呼ばれたので、「うちやで!」とニコニコしながら手を挙げて返事をした。そしてその時彼らは悟った。相手にしてはいけない人物を知らないうちに誘拐していたことを。そんな曽根田親子を気にすることなく玲は話を続ける。
「曽根田さん、あなたがサモネル教団の
幹部であることは分かりました。
そしてあなた方が行っていたことも
分かってますよ。ここにある――」
と言って玲は傍に置かれていたガラス容器を持ち上げてみた。そして
「あなた方が誘拐した人達から奪った魂、
これを使って娘さんですか、
その方の魂と交換するという目的も
分かってますよ」
と淡々とした口調で玲は説明を続けた。まさか自分たちしか知らないことを、目の前のこいつらが全て知っているという事実に、曽根田親子は衝撃を受け、それ以上に精神的に完全に打ちのめされたようだ。そのため、父親の曽根田アーノルドは、その場でがっくりとれてしまったのだった。だが息子の方、曽根田ケントは、まだ諦めきれないのか
「最神さん、あなたがそれを持っていても
意味はないはずです。どうかそれを
返してもらえませんか?」
と懇願した。だが玲は、首を横に振り、
「死んだ人たちの魂は交換対象じゃありませんよ。
ちゃんと霊界に送り届けないといけません」
と言いながら、玲はガラス容器を壊そうと床に落とす仕草をした。それを見ていた曽根田親子は「やめろー」、「やめてくれー」と叫んでしまう。勿論玲はその場でガラス容器を壊すつもりはなく、あくまでもパフォーマンスをしただけであるが、こうすることで誰がこの場の絶対的な支配者であるかを分からせたのだった。
「まあ、これについては何時でも
破壊できますからね。それよりも、
僕と取引しませんか?」
と玲は曽根田親子に向かって取引を持ち掛けた。2人は不安気な表情をするも、玲はそんな2人を無視して話を続けた。
「僕からは、あなた方の大事な家族である
ミナさんですか、その方を蘇生してあげますよ。
その代わりに――」
ヴェルハムの復活プロジェクトの詳細を教えること、そして警察に自首をすること、この2点を取引材料として持ち掛けた。サモネル教団内でも大幹部しか知らないヴェルハム復活プロジェクトをなぜ目の前のこの男が知っているのか?曽根田アーノルドは、その時点で完全にギブアップした。
こいつらには絶対勝てない。
マスターの指示なんて糞くらえだ!!