召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
転生そして目覚め
あれ 何も見えないし 何も聞こえないけど ここはどこだろう
あっ あっちの方が少し明るくなっている とりあえず あそこに行ってみよう
うわー 眩しいな
わぁー
:
:
と大声を出したつもりで目を覚ました男。でも、その声は彼の口から発することは無かった。
えーっと、ここはどこだろう。部屋らしき所だとは思うけど、なんかすごく明るい。部屋の中でこんなに明るい所って見たことないけど、どこなんだろう。
「・・・・・・」
えっ、誰か喋ってるのかな。でも、何を話しているか分からないんだけど。
「・・・・・・・・・・・」
「あのー、すいません、ここどこですか?
僕はどうなったんでしょうか?」
「!・・・・・・・・・・?」
あれ、何か反応しているけど、でも何喋っているのか全く分からない。サモナルドならどこ行っても言葉は同じはずだから、分からないこと無いんだけどな。とりあえず、声のする方に体を向けようっ、うっ。えっ?思うように体が動かないぞ。何かに固定されているのか?
とそのとき、突然男の目の前に女性らしき人物の姿が。
「わっ、ビックリした。
えっ、見たことない顔立ちと、
見たことない服装なんだけど。
あなたは誰?」
わっ眩しい。今度は僕の目に何やら明かりをつけて調べているようで。
「・・・・・・・・・」
この女性(らしき人)が何やら喋ってますが、やはり何も理解できません。どこか外国に飛ばされたということかな。何かヒントになるものがあれば多少はましになるんだけど、とにかく体を動かさないと話にならないし。手は動くかな。試してみよう。あっ、右手は少しだけ動くぞ。
「・・・・! ・・・・・・・」
何か、右手が動いたのを見てびっくりしているっぽいんですが。そんなに珍しいのかな。あっ、何か声が遠ざかる感じがするから、みんな外に出たということかな。てことは、ここには僕一人だけ? うーん、何とか首が回せそうなんだけど、も、うーん、あっ、少し動いた! あとちょっと回ってくれれば、うーん。やった。少しだけ周りの状況を確認できそうだ。うん?何か管みたいなものが僕の腕に繋がっていて、その管から何やら液体が僕に流れ込んでいるのかな。それと、ちょっと頭の方に見え隠れしているけど、何やら装置があるな。ピーピーとか音を出しているけど、何の装置かは分からないし。これ以上は首を回せられそうにないから、取りあえず、首を元に戻しておこう。あー、疲れた。とりあえず、少し休むとしよう。うん?何だろうこの違和感というか、何というか、あれ、僕目を閉じたつもりだったけど、まだしっかり目を開けてるぞ。なんで? あれ、考えたら、瞼を閉じれないんだけど。でも手と首は少しだけなら動くけどね。まずは状況を整理しよう。僕は今どこにいるのか分からない場所で寝てまして、しかも聞いたことない理解できない言葉を話す人がいること、以上です。
何か目を瞑って寝ていたのですが、夢の中でも先程聞いた何やら訳の分からない言葉が聞こえて来たんです。ただ、喋っているのは若い男性。そして、何やら僕に向かって手招きしているようです。何か疑わしいけど、取りあえず用心しつつ彼に近づくことに。どうせ、夢なんだから気にする必要ないんですが。そして、彼に近づくと彼が僕に触れようとして来たんです。ビックリして、僕は後ずさりしたのですが、間に合わず彼に頭を掴まれました。そのとき、なぜか彼の言っていることが理解できたんです。え、何て言ってたのかって?それは、
「後のことは宜しく頼んだよ」
でした。そこで、目が覚めました。相変わらず固定されている状態で、右手と首が少し回るだけです。どれくらい寝ていたんだろうか、僕の左手側に窓らしきものがあるようですが(首がそちらに回らないので確認できないが)、そこから暖かそうな日の光がさしているようです。そのうち、また昨日の女性らしき人が入ってきまして、また僕の目を光で照らしてます。でも今回は少し驚いた様子です。そして、その時、
「先生、患者の最神さん、
瞳孔が正常に戻ってます。」
あれ、言葉が分かる。理解できる。え、何で? その時、入口からまた別の人が入ってくる気配がありました。
「うーん、体温、脈拍、
共に正常になっているね。
何とか正常に戻りつつあるな」
「あっ、あのー、ここどこですか?」
先生と呼ばれる人と女性がこちらに同時に振り向く気配を感じました(でも、僕は見えませんが)。
「えっと、あー、気が付いたのかな。
そうか。もう大丈夫かな。
あっ、ええと、ここは総合病院の病室だよ。
君は交通事故に遭って意識不明の重体に
陥っていたんだけど、
一先ず峠を越したようだね。
村上さん、後で患者さんの
ご両親に連絡しておいて」
おー、何か会話が出来たぞ。やったー、これで一歩前進か。でも、そうか、病院か。そうすると、あの時の事故が原因なんだろうな。予想はしてたけど確認が取れて、少し安心。ん、いや、東洛市民病院ってどこだ?ケンタリアにそんな名前のところなかったけど。それよりも
「すいません、ムラカミさん?ですか。
あの、僕の体はどうなってるんですか?」
「さんは、交通事故にあわれて全身打撲で
意識不明の重体だったんです。
それでこの病院に搬送されて、
救命措置を受けたのち、
こちらに移されたということです。
ゴメンね、ざっくりした答えで」
「いいえ、何となく分かりましたので、
大丈夫です」
何か答えになってないけど、それよりも、えっ、何、交通事故って?意味が分かりませんが。いやいや、それよりも、大事なことを聞き逃すところでしたが、最神さんってだれ?僕のこと?僕はカーンフェルトという名前ですが。
「あの、最神さんというのは僕のことでしょうか?」
「ええ、そうですよ。他に誰もいませんが。
うん? 最神さん、
もしかしてご自分の記憶がないとかでは
ないですよね」
いやー村上さん、そのもしかしてです。僕、最神さんの記憶はないです。これ本当です。
「あー、いやその、うーん、そうですね、
最神さんというのが僕の事なのか
正直わからなくて。はは、すいません」
「いいえ、謝ることはないですよ。
そうですか、ちょっと失礼しますね。
先生に相談してきます」
と言って、村上さんは部屋を出ていった。とりあえず、ここまでの状況を整理すると、僕はこの人たちの言葉を突然理解できるようになった、そして、僕はカーンフェルトではなく最神なる人物になっていること、以上。
村上さんが出ていって暫く後に、先程の先生という方が部屋に来られたようです(相変わらず未確認)。
「最神さん、ご自分の名前は分かりますか?」
何となく、この流れから察するに自分の本名を名乗るのはすごーく不味いことは分かったので、取りあえず無難な答えを。
「すいません、分かりません」
「そうですか。実は昨日あなたが目覚めた時に、
何か意味不明なことを仰っていたので、
意識がしているのだろうと
思ったのですが、そうですか、
記憶そのものが欠落しているのですね」
「そうなんですね。実は事故にあう以前のことは
何も覚えてないんです」
これは本当の事です。
「とりあえず、記憶に関しては
少しずつ回復するように
こちらとしてもサポートしますが、
それよりもまずは最神さんの体ですね。
もう少ししたら、こちらのリハビリの準備を
始めることにしますね」
「えっと、リハビリって何ですか?」
聞いたことないよ、そんなの。
「ああ、リハビリと言っても、
最神さんはまだ完全に
身体機能が回復していません。
でも、このままだとその身体機能が低下して、
今後の生活に支障を来すことが考えられます。
なので、多少無理をしてでも
体を動かすことになりますが、
結構辛いでしょうけど、
一緒に頑張りましょう」
と先生という方が仰いました。要するに体を鍛えろと言うことですかね。僕の一番苦手なことです。はぁー。
その後本格的にリハビリというものをしましたが、ただでさえこの体に慣れていないのに、更に過酷なトレーニングをさせるなんて、学院に通っていた頃でもなかったぞ。あっ、そんなことよりも、僕は凄く驚いたことがありました。それは、僕の顔、そして体全体が全く別人になっていたんです。しかもちょっといい方に、へへ。この顔なら、サリと一緒にいてもバランス取れそうだよな、なんて…、あー、サリ、今頃どうしているのかな。会えなくなってこんな寂しい気がするなんて。何とかサリに連絡取れないかな。結局その日は、何もする気がなく、そのまま病室のベットで一人寂しく涙を流しておりました。
夢の中で、僕はサモナルドにいました。そして、サリや研究室のスタッフ、議会や研究所のお偉いさん達の前で今まさに召喚実験を行おうとしていたところです。そう、これはあの時の再現。いや、これ夢なのか? 僕はあの時、何が起きたのか、実は瞬時に理解していた。召喚術師にとって致命的な状況である、召喚エネルギーの暴走。そして、この暴走によってエネルギーが枯渇したとき、それは召喚術師の死を意味することを。でも、まさか召喚した召喚術師の一部で暴走が起きるとは考えてもいなかった。召喚対象がエネルギー暴走になった場合、その召喚を解除すれば何も問題なかったはず。ところが、複数体を直列で召喚した場合にどう影響するかは見落としていた。この事故は自分の不注意から招いた事故だと言っても間違いではないだろう。実は僕も第一召喚体の召喚解除を即座に試みた。でも何かしらロックが掛かったようで、召喚解除は全くダメだった。恐らく召喚した順番とは逆順で解除するしかなかったのだろうけど、それも後の祭りか。しかしなぜ途中の第三召喚術師から暴走が始まったのか、それだけは謎のまま残っている。一つ関係あるとすると、兵士を召喚後に陣形移動があったけど、確か第三召喚術師の部隊は移動せずに残っていた。と言うことは、その場に残留していた何かしらの物かエネルギーが召喚兵に影響し、召喚兵に対する召喚エネルギーが急激に増えたことで第三召喚術師がエネルギー暴走に陥ったとしたら、何となく筋は通る。けど、一体何が影響したのか?残念ながら、それを確認すことは今の僕にはできない…などと悔やんでいたところで、目が覚めた。何か凄いリアルな夢だった。うわー、寝間着が汗でびっしょり。着替えは確かあったので、ちょっと着替えようっと。あっ、そう言えば、夢の続きではないけど、召喚エネルギー促進薬、あれをあの一帯に微量でも散布すれば、少しずつ召喚術師や召喚対象に取り込まれて、エネルギー暴走を引き起すことは可能だな。確か準備段階で測定器がどうのこうのとサリが言っていたけど、その影響かもしれないのか。うーん、ダメだ、悩んでも何ともならない。