悪役令嬢は世界のバグを修正する
王立アルカディア学園・中央ホール。
高い天井の石造りの空間。
大きな窓から朝の光が差し込み、床の白い石に長い影を落としていた。
その中央にあるのは――
巨大な掲示板。
学園からの公式告知が貼り出される場所だ。
普段はそこまで人が集まる場所ではない。
だが今日だけは違った。
学生たちが次々と足を止め、掲示板の前に集まっている。
「何だ?」
「新しい告知か?」
ざわめきが広がる。
掲示板の中央に、真新しい羊皮紙が貼られていた。
王国の紋章入りの正式な告知。
一人の学生が声を上げる。
「……おい」
その目が文字を追う。
そして次の瞬間。
「来た!」
周囲が一斉にざわめいた。
別の学生も読み上げる。
「王立魔法競技大会開催!」
その言葉がホールに広がる。
学生たちの表情が一気に変わった。
興奮。
緊張。
期待。
誰かが笑う。
「今年も魔法大会か!」
別の学生も頷く。
「この時期だもんな」
王立魔法競技大会。
王立アルカディア学園の年に一度の大イベント。
学生たちが魔法の実力を競う大会。
単なる学園行事ではない。
将来の進路にも関わる、重要な試験でもある。
掲示板の前にはさらに学生が集まり始めた。
「今年は誰が優勝するかな」
「上級生じゃないか?」
「いや、今年はレベル高いぞ」
噂と予想が飛び交う。
ホールの空気はすでに熱を帯びていた。
王立アルカディア学園。
その一年で最も盛り上がるイベントが――
今、始まろうとしていた。