悪役令嬢は世界のバグを修正する
机の上の空間に浮かぶルーンは、
まだ消えていなかった。
配置図。
会話の流れ。
評価の上下。
すべてがゆっくり回転している。
レティシアは動かない。
ただ見ている。
次に何を見るべきか、
もう分かっているように。
小さくつぶやく。
「……評価」
その言葉に反応するように、
ルーンの一部が開く。
円の外側に、
新しい層が現れる。
細い文字。
細い線。
数字。
今までよりはっきりした表示。
SYSTEM
EVALUATION LAYER OPEN
次の瞬間、
人の名前の横に数値が出る。
ELEANOR
SOCIAL 92
FAMILY 88
FACTION 95
MARRIAGE 90
合計値が下に表示される。
TOTAL 365
別の位置。
令嬢の名前。
SOCIAL 74
FAMILY 80
FACTION 70
MARRIAGE 76
TOTAL 300
さらに別。
LETICIA
SOCIAL 41
FAMILY 85
FACTION 0
MARRIAGE 32
TOTAL 158
レティシアの目がわずかに細くなる。
「……数値」
数字が動く。
夜会の場面が再生される。
質問。
回答。
沈黙。
そのたびに、
数字が変わる。
SOCIAL ↓
MARRIAGE ↓
FACTION 0
TOTAL ↓↓
席が端に移動する。
順位が下がる。
ルーンの外側に、
順位表のような円が現れる。
中央が上位。
外側が下位。
点が動く。
エレノアは中央へ。
レティシアは外側へ。
完全に連動している。
レティシアが小さく言う。
「……順位」
さらに表示が増える。
SYSTEM
VALUE CALCULATION
次の行。
SOCIAL VALUE
FAMILY VALUE
FACTION VALUE
MARRIAGE VALUE
四つの値が並ぶ。
その下に、
式のような表示。
TOTAL =
SOCIAL + FAMILY + FACTION + MARRIAGE
さらに別の行。
IF FACTION = NONE → −50
IF MARRIAGE LOW → −30
IF SOCIAL FAIL → −20
数値が減る。
順位が落ちる。
配置が外へ移動する。
レティシアは瞬きもしない。
ただ見る。
「……式」
線がさらに増える。
加算。
減算。
補正。
固定。
全部表示される。
イベントのたびに数値が変わる。
会話 → +2
失言 → −5
婚約候補会話 → +8
派閥未所属 → −20
全部、
計算されている。
レティシアが静かに言う。
「……点数制」
少し間。
「加算式」
さらに小さく。
「減算式」
ルーンが回る。
評価が動く。
順位が変わる。
完全に計算通り。
レティシアの瞳に数字が映る。
ゆっくり息を吐く。
「……なら」
少しだけ間。
表示が揺れる。
NEXT POSSIBILITY
CALCULATION AVAILABLE
レティシアが小さくつぶやく。
「逆算できる」
その瞬間、
ルーンの中心が強く光った。