悪役令嬢は世界のバグを修正する
質問攻めが終わったはずの空気。
だが、
まだ線が残っている。
レティシアの視界に表示。
NEXT EVENT
POLITICAL CHECK
赤い枠。
TRAP FLAG
分岐が三つ出る。
王家支持
魔導院支持
騎士団支持
どれを選んでも、
横に減点表示。
SOCIAL −5
FACTION −10
RIVAL +5
前回のログが重なる。
ここで評価を落とした。
ここで派閥を失った。
ここで孤立した。
レティシアは瞬きをしない。
ルーンを見る。
条件式が出る。
IF SUPPORT = ONE
→ OTHER FACTION −VALUE
IF NEUTRAL
→ TRUST −VALUE
IF SILENCE
→ SOCIAL −VALUE
どこにも正解がない。
完全な罠。
SYSTEM
TRAP EVENT
その時。
一人の上級令嬢が前に出る。
王家派の色。
落ち着いた笑顔。
「レティシア様」
周囲が少し静かになる。
政治質問の空気。
「王家について、どうお考えですか?」
視界に表示。
EXPECTED → FAIL
レティシアは迷わない。
ルーンを見たまま答える。
「国家の中心として必要不可欠と考えています」
一拍。
線が止まる。
まだ分岐が残っている。
次の質問が来る。
魔導院派令嬢。
「では、魔導院については?」
表示。
SECOND TRAP
レティシア。
「技術と知識を支える柱です」
さらに一拍。
「王家の統治を補佐する存在だと思います」
線が揺れる。
まだ終わらない。
騎士派。
「騎士団は?」
表示。
LAST TRAP
レティシア。
「国を守るための盾です」
少し間。
「王家・魔導院・騎士団は役割が違います」
ルーンが止まる。
彼女は続ける。
「どれが上でも下でもなく」
一拍。
「三つが揃ってこそ国家だと考えています」
完全に沈黙が落ちる。
表示が止まる。
計算が遅れる。
SYSTEM
CHECK…
CHECK…
CHECK…
条件式が揺れる。
IF SUPPORT = ONE
未判定
IF NEUTRAL
未判定
IF SILENCE
未判定
どれにも入らない。
線が分岐できない。
派閥のノードが震える。
王家派
↓
魔導院派
↓
騎士派
接続線が揺れる。
評価表示が遅れて出る。
SOCIAL +4
FACTION +2
TRUST +3
ルーンが大きく歪む。
SYSTEM
CHECK ERROR
もう一度表示。
CONDITION NOT FOUND
FLOW UNKNOWN
周囲の令嬢たちが目を見合わせる。
「……え?」
「減らない…?」
「今の質問…罠よね…?」
「なんで上がるの…?」
一人が小さく言う。
「選んでないのに…」
別の令嬢。
「でも逃げてもない…」
空気が止まる。
レティシアは視線を動かさない。
ルーンを見ている。
条件式が崩れている。
IF文が分岐できない。
評価式が計算できない。
SYSTEM表示が震える。
SCRIPT CHECK
ERROR
彼女の心の中で、
静かに言葉が落ちる。
(条件式)
少し間。
(壊れた)
さらに小さく。
(順番通りに答えた)
ルーンを見る。
(だから)
派閥線が揺れる。
接続が不安定になる。
SYSTEM
FLOW UNSTABLE
レティシアの目がわずかに細くなる。
(次も来る)
表示。
NEXT EVENT
MARRIAGE CHECK
彼女は動かない。
ただ待つ。
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