悪役令嬢は世界のバグを修正する
政治質問が終わった瞬間、
空気が少しだけ変わる。
ざわめきが収まる。
代わりに、
別の気配が近づいてくる。
レティシアの視界に表示。
NEXT EVENT
MARRIAGE CHECK
赤い円。
婚約分岐。
条件式が並ぶ。
IF SOCIAL ≥ 60
IF FAMILY ≥ B
IF FACTION ≠ NONE
IF RUMOR ≤ LIMIT
IF RIVAL YOU → FAIL
前回のログが重なる。
SOCIAL不足
↓
FACTIONなし
↓
噂あり
↓
FAIL
ELIMINATION FLOW
だが、
今回は違う。
表示が更新される。
SOCIAL 68
FAMILY B+
FACTION LINKED
CECILIA SUPPORT +
RUMOR ↓
TOTAL VALUE ↑
ルーンがわずかに揺れる。
SYSTEM
RECHECK…
その時。
入口側から人が来る。
視界に名前表示。
PRINCE CANDIDATE
↓
KNIGHT ACE
↓
MARQUIS HEIR
↓
MAGIC ACADEMY TOP
順番まで前回と同じ。
レティシアは一歩も動かない。
ただ、
ルーンを見る。
(来る)
最初に近づくのは王子候補。
周囲が静かになる。
令嬢たちが距離を取る。
婚約イベントの空気。
「レティシア嬢」
穏やかな声。
「今日の夜会はいかがですか」
表示。
EXPECTED ANSWER → SAFE
前回 → 緊張 → FAIL
今回は違う。
「とても勉強になります」
一拍。
「皆様の考えを直接聞ける機会ですので」
SOCIAL +2
MARRIAGE +3
線が光る。
次。
騎士団エース。
「夜会は慣れているか?」
前回
→ぎこちない
→FAIL
今回は。
「まだ不慣れですが」
一拍。
「騎士団の方々ほどではありません」
わずかな笑い。
SOCIAL +3
TRUST +2
次。
侯爵嫡男。
「派閥は決めているのか?」
表示。
TRAP
前回
NONE → FAIL
今回は。
レティシアは少しだけ視線を動かす。
セシリアが遠くにいる。
表示。
CECILIA VARIABLE
FACTION LINK +
彼女は答える。
「家としては独立ですが」
一拍。
「姉が広く交流しておりますので」
さらに一拍。
「どの派閥とも協力できる立場です」
線が止まる。
FACTION +5
MARRIAGE +4
TOTAL ↑
ルーンが揺れる。
最後。
魔導院首席。
「研究所との関係は?」
前回
→危険扱い
→噂増
今回は。
「研究は好きですが」
一拍。
「家としては政治とは分けて考えています」
RUMOR −
TRUST +
MARRIAGE +
表示が一気に変わる。
MARRIAGE VALUE ↑
TOTAL VALUE ↑
ELIGIBLE
ルーンの中央が震える。
その瞬間。
別の位置が光る。
ELEANOR
RIVAL ROUTE
固定されていた線が揺れる。
婚約候補の線が分岐する。
一本だったルートが、
二本になる。
SYSTEM
ROUTE CONFLICT
もう一度表示。
PRIMARY ROUTE ERROR
RIVAL PRIORITY LOST
派閥線が震える。
評価線がぶれる。
婚約ルートが重なる。
令嬢たちがざわつく。
「……え?」
「今…上がった?」
「婚約候補…見てたわよね?」
「評価…下がってない…」
さらに小声。
「エレノア様のルート…」
止まる。
誰も続けない。
レティシアは無表情のまま。
ルーンを見ている。
婚約ルートが分岐している。
前回は一本。
今回は二本。
彼女の心の中で、
静かに言葉が落ちる。
(固定じゃない)
少し間。
(変わる)
さらに小さく。
(順番を守れば)
ルーンが揺れる。
SYSTEM
ROUTE UNSTABLE
彼女の目がわずかに細くなる。
(まだ壊れる)