悪役令嬢は世界のバグを修正する
完全に接続されている。
その中心。
レティシア。
彼女だけが、
自由に立っている。
世界は動いている。
修正。
再構築。
補正。
すべてが同時に進行している。
表示が重なる。
FORCED CONTROL
WORLD SCRIPT
CORRECTION
流れは一つ。
本来なら、
すべてはそこに収束する。
だが。
その上に、
別の処理が重なる。
レティシアの中から、
立ち上がる。
もう一つの流れ。
表示が静かに重なる。
CONTROL
OVERRIDE
世界の修正。
彼女の制御。
二つが、
同時に存在する。
その瞬間。
ぶつかった。
音が消える。
光が止まる。
時間が、
わずかにズレる。
空間が歪む。
上下の構造が、
互いに押し合う。
修正しようとする力。
上書きしようとする力。
均衡しない。
どちらも、
退かない。
観客席。
動きが完全に止まる。
騎士団。
一歩踏み出したまま固まる。
魔導院。
詠唱が途中で凍る。
すべてが、
“間”に固定される。
レティシアの視界。
二つの流れが見える。
世界。
自分。
重なっている。
干渉している。
分離していない。
(……同時に動いてる)
理解する。
これは戦いではない。
排除でもない。
“競合”。
同じ領域で、
同じ処理を、
同時に実行している。
あり得ない状態。
空のルーンが軋む。
地面の魔法陣が歪む。
接続が震える。
世界そのものが、
不安定になる。
表示が重なり続ける。
FORCED CONTROL
WORLD SCRIPT
CORRECTION
CONTROL
OVERRIDE
そして。
すべての表示が、
一つに収束する。
CONTROL CONFLICT
ACTIVE
その瞬間。
世界は、
初めて――
“止まった”。