悪役令嬢は世界のバグを修正する
守護者の動きが、
繰り返される。
攻撃。
反応。
変化。
そのすべてが、
空間に刻まれていく。
レティシアの視界では、
それは“動き”ではなかった。
線。
分岐。
記録。
守護者の周囲に、
無数の流れが重なっている。
一つ一つの行動が、
痕跡として残る。
そして、
次の瞬間には、
それが参照される。
(……見える)
攻撃の軌道。
反応の順序。
選択された分岐。
すべてが、
構造として現れている。
騎士の一人が攻撃する。
その瞬間。
一つのルートが光る。
“誤り”。
次の瞬間、
守護者の反撃が強化される。
別の騎士が防御する。
別のルートが光る。
“部分一致”。
守護者の動きが、
わずかに止まる。
レティシアは、
それを見ている。
比較する必要もない。
考えるまでもない。
“どれが正しいか”が、
最初から分かっている。
(違う)
静かに、
その言葉が浮かぶ。
これは、
戦いじゃない。
敵でもない。
一拍。
(これ……戦闘じゃない)
さらに。
流れが繋がる。
すべての動きが、
一つの目的に収束していく。
(試験……?)
その瞬間。
認識が変わる。
剣も、
魔法も、
意味を失う。
ここで必要なのは、
力ではない。
正しい順序。
正しい行動。
それを、
示すこと。
守護者は、
それを見ている。
記録している。
そして、
判断している。
レティシアの視界に、
一つの流れがはっきりと浮かぶ。
他とは違う、
途切れない線。
“正解”。
それに気づいた瞬間。
この空間の意味が、
完全に変わる。
ここは戦場ではない。
“認証の場”だ。