余、ダンジョンコアにつき侵入者には死んでもらう。 ~ゴブリン二十匹から始める最弱迷宮譚~
は、宝物庫であり、罠であり、墓場だった。
白い床。
白い壁。
白い柱。
そのすべてが、かつて喰ったの名残でできている。
だが、今は清らかではない。
床には灰霧が這い、壁には戻り水の湿りが滲み、白い柱の根元には黒い魔物の血が流れている。
正式宝箱の多くは、すでに戦闘用に転用されて壊れた。
宝物室というより、白い戦場だった。
その中央に、騎士が立っている。
。
濁白騎士の残骸に、Aランク隊長セリア・リンドの双剣片を組み込んで再構成された宝物庫守護者。
片手には折れた白剣。
もう片手には短い灰剣。
兜には、折れた剣のような角。
鎧の隙間には、赤錆と白磁片が混じっている。
その騎士が、剣を鳴らした。
かん。
澄んだ音ではない。
白磁の皿が割れる寸前のような、冷たい音だった。
「折剣濁白騎士、前へ」
《折剣濁白騎士、展開済み》
「宝物庫中枢補助核と接続しろ。ガルザヴェインの動きを記録。斬撃対応、罠線防衛、宝箱爆裂の指揮を任せる」
《接続します》
白い部屋の床に、宝物庫戦闘図が浮かび上がる。
白磁偽財殿。
その奥にある宝物庫中枢補助核。
左右に並ぶ壊れかけの宝箱。
壁裏に張った影糸。
床下の戻り水。
天井に潜む白磁花粉。
そして、中央へ向かってくる黒い反応。
魔神ゴブリン・ガルザヴェイン。
その周囲に残る精鋭群。
数は、もう十万ではない。
浅層と中層で凄まじく削った。
それでも、残っている。
しかも残った者ほど濃い。
強化ゴブリン。
黒い筋を持つオーク。
金眼の狼型魔物。
大型甲虫。
飛行種の上位個体。
そして、ガルザヴェイン本人。
《残存敵軍勢、推定二万六千から三万二千》
「まだそんなにいるか」
《ただし初期低級個体は大幅に減少。残存個体の平均ソウル価値は上昇しています》
「つまり、まだ稼げる」
《はい》
が、白骨書記室から骨筆を走らせる。
⸻
残存敵群:精鋭化
低級個体:大幅減少
上位個体:増加
魔神ゴブリン周辺:高価値
推奨:
深部で削る。
一括処理より、強個体処理を優先。
⸻
「分かっている」
余は壁面を睨んだ。
ガルザヴェインは、グズとの戦いを越えて、さらに奥へ進んでいる。
グズは止めた。
削った。
だが、倒せなかった。
あれは、倒す相手ではない。
まだ。
今は、見せる。
霧灰白庭迷宮の強さを。
その腹の深さを。
そして、ここがただ力だけの場所ではないことを。
◇
白磁偽財殿へ、最初に入ってきたのは強化ゴブリンの群れだった。
金色に濁った目。
長い爪。
黒い筋の走る腕。
その動きは、浅層で死んだゴブリンどもとはまるで違う。
速い。
賢い。
互いを踏まない。
影糸を警戒し、泥を避け、白い床の反射を見ている。
ガルザヴェインの影響で、急速に引き上げられている。
それでも、迷宮の宝物庫を知らない。
白磁偽財殿の床が、かすかに光った。
そこにあるのは、ただの床ではない。
価値の罠だ。
冒険者なら宝に釣られる。
魔物なら、魔力に釣られる。
強化ゴブリンたちは、壁際に置かれた白い小片へ視線を向けた。
白銀磁片に似せた偽宝。
強い魔力反応を持つが、触れれば爆ぜる。
先頭の一体が飛びついた。
その瞬間、床下の白磁板が反転した。
偽宝が割れ、灰白の光が広がる。
宝箱爆裂ではない。
宝そのものを罠にした、偽価値爆裂。
白い破片が弾け、強化ゴブリンの顔面を裂く。
後続が止まる。
そこへ、折剣濁白騎士が踏み込んだ。
白剣が一閃。
一体の首が落ちる。
灰剣が逆手に走り、もう一体の膝を断つ。
強化ゴブリンたちは、すぐに散った。
正面から固まらない。
横へ。
壁へ。
天井へ。
さすがに学習している。
「騎士、罠線防衛」
《折剣濁白騎士、対応》
折剣濁白騎士は、追わなかった。
ただ、床を剣で叩いた。
かん。
白磁の音が、財殿に響く。
その音に合わせて、壁際の宝箱が開く。
中から出てきたのは宝ではない。
白磁根。
細い白い根が、壁を這う強化ゴブリンの足首へ絡む。
ゴブリンが爪で切ろうとする。
だが、根は硬い。
そこへ灰霧が吹き込む。
視界が消える。
折剣濁白騎士の灰剣が、霧の中を走った。
強化ゴブリンが次々と倒れる。
《白磁偽財殿、強化ゴブリン群処理》
《死亡推定:二千八百体》
《獲得ソウル:392,000》
「よし」
だが、ゴブリン群は囮だった。
その後ろから、黒いオークの集団が入ってくる。
ガルザヴェインの魔力で引き上げられた上位オーク。
ただ力が強いだけではない。
白磁床を叩いて罠を探る。
死んだゴブリンを前へ投げ、床の反応を見る。
偽宝をすぐには拾わない。
「ゴブリンの軍勢だけでなく、オークまで学んでいるな」
《ガルザヴェインの鐘による行動修正の可能性があります》
その通りだった。
遠くで銅鐘が鳴る。
ごん。
黒オークたちは、ゴブリンの死体を盾のように持ち上げて進む。
死体で罠を踏ませる。
白磁根が死体へ絡む。
その隙に、本体が進む。
「腹立たしい」
余は言った。
「死体の使い方を学んだか」
ならば、こちらも死体を使う。
「白骨書記、死体価値を偽装」
白骨書記が骨筆を走らせる。
⸻
死体価値偽装:実行
対象:強化ゴブリン死体
表示:罠踏み用の軽量死体
実態:戻り水爆裂核入り
⸻
「やれ」
床下から戻り水が死体へ染み込む。
死体を盾にした黒オークが、さらに一歩進む。
その瞬間、死体が膨れた。
中に仕込まれた戻り水が一気に弾ける。
水ではない。
白磁片と灰霧を含んだ圧縮水。
死体盾が爆ぜ、黒オークたちの顔と腕を裂いた。
折剣濁白騎士が、その隙へ入る。
白剣が腕を落とす。
灰剣が喉を裂く。
だが、黒オークも強い。
一体が騎士の白剣を棍棒で受けた。
別の一体が背後から殴る。
折剣濁白騎士の肩が砕ける。
《折剣濁白騎士、肩部損傷》
「修復」
《白磁偽財殿から修復材供給》
白い床から白磁片が浮き上がり、騎士の肩へ集まる。
傷を塞ぐ。
だが、その間に黒オークがさらに押し込む。
「宝箱、第二列を開け」
《第二列、起動》
左右の宝箱が開いた。
中から、赤錆噛みが飛び出した。
ただの赤錆噛みではない。
黒市主戦後の余剰素材と、強化魔物の歯を混ぜて育てていた戦闘用小型群。
金属だけでなく、魔力の通った骨や武器の留め具も噛む。
赤錆噛みが黒オークの棍棒の金具へ群がる。
鎧の留め具へ。
牙飾りへ。
足甲の輪へ。
黒オークたちの装備が崩れる。
折剣濁白騎士が踏み込んだ。
白剣、灰剣、白剣、灰剣。
強い。
以前よりも、剣筋が読みやすい。
いや、違う。
宝物庫中枢補助核が、敵の動きを分析し、折剣濁白騎士へ渡している。
セリアの隊長判断片。
暁秤の死地値踏みの記録。
赫槍の灯の骸門突破記録。
それらが、騎士の剣へ混ざっている。
《黒オーク群、処理》
《死亡推定:千九百体》
《獲得ソウル:475,000》
◇
それでも、ガルザヴェインはまだ来ない。
彼は財殿の入口に立っていた。
金色の目で、戦いを見ている。
銅鐘を時折鳴らし、群れの動きを変えている。
彼は配下を捨て駒にしているのではない。
いや、捨て駒でもある。
だが、それだけではない。
迷宮の罠を見ている。
折剣濁白騎士の剣を見ている。
宝箱の罠を見ている。
白磁偽財殿そのものを見ている。
「見過ぎだ」
余は低く言った。
「フィルエ」
「分かってる」
フィルエのが、財殿の床へ薄く伸びる。
ガルザヴェインの視線が、どこへ向いているのか。
どの罠を覚えようとしているのか。
どの剣筋を読んでいるのか。
それをずらす。
「森灰術・視線違え(しせんたがえ)」
白磁偽財殿の光が、ほんの少し曲がった。
ガルザヴェインの目には、折剣濁白騎士の白剣が一瞬遅れて見える。
罠線が半歩ずれて見える。
宝箱の位置が少し浅く見える。
だが、ガルザヴェインは眉を動かした。
気づいた。
完全に騙されてはいない。
「メ……ズレル」
彼は言った。
フィルエが小さく舌打ちする。
「勘がいい」
「勘ではない。成長だ」
ガルザヴェインが一歩踏み込んだ。
ついに、魔神ゴブリン本人が白磁偽財殿へ入る。
周囲の魔物が、一斉に下がった。
これまでの軍勢戦とは違う空気になった。
折剣濁白騎士が、正面で剣を構える。
ガルザヴェインは、銅鐘を鳴らさなかった。
自分で戦うつもりだ。
「ツギ」
ガルザヴェインが言う。
「ケン」
剣を持つ騎士。
魔神は、それを相手に選んだ。
折剣濁白騎士が、静かに踏み込む。
先に動いたのは騎士だった。
白剣が上から走る。
ガルザヴェインは腕で受ける。
血が飛ぶ。
だが、骨までは届かない。
灰剣が脇腹へ走る。
ガルザヴェインは半歩引いて避ける。
避けた先に、白磁床の罠線。
そこが開き、戻り水が噴く。
ガルザヴェインの足が濡れる。
次の瞬間、赤錆噛みが足甲へ群がる。
だが、ガルザヴェインは足を振っただけで、赤錆噛みを壁へ叩きつけた。
数体が潰れる。
折剣濁白騎士が再び斬る。
白剣が腕を裂く。
灰剣が胸を狙う。
ガルザヴェインの拳が、灰剣を横から叩いた。
剣が曲がる。
《折剣濁白騎士、灰剣損傷》
「修復しろ」
《修復中》
だが、ガルザヴェインは待たない。
踏み込む。
拳。
折剣濁白騎士の胸へ直撃。
白磁鎧が割れる。
騎士が後ろへ滑る。
その背後に、宝箱が三つ浮かぶ。
蓋が開く。
中から白磁根が飛び出し、ガルザヴェインの腕へ絡む。
ガルザヴェインは笑った。
「シロイ、ツタ」
彼は、白磁根を引きちぎった。
ただの力ではない。
黒い魔力で根を腐らせるように破壊する。
「宝物庫の根を腐らせるか」
《ガルザヴェインの魔神性が白磁根に干渉しています》
「なら、灰で挟め」
フィルエがすぐに動く。
森灰観測網が、白磁根の外側へ灰を巻く。
白だけでは腐らされる。
なら、灰を混ぜる。
白磁根が灰色を帯びる。
ガルザヴェインが再び引きちぎろうとする。
今度は、少しだけ遅い。
その一瞬に、折剣濁白騎士の白剣が首筋へ届いた。
深くはない。
だが、斬った。
黒い血が流れる。
ガルザヴェインの金色の目が光る。
「イイ」
彼は、笑った。
「モット」
「こいつ、本当に戦いを楽しんでいるな」
《はい》
「なら、さらに見せろ」
余は宝物庫中枢補助核へ命じる。
「白磁偽財殿、全開」
《危険です》
「やれ」
《白磁偽財殿、戦闘全開》
財殿全体が鳴った。
壁が開く。
床が反転する。
壊れた宝箱が、罠として再構成される。
白磁花が咲き、花粉を吐く。
影糸が柱から柱へ走る。
戻り水が床下を流れ、ところどころに鏡面を作る。
折剣濁白騎士が、白い戦場の中央で剣を構え直した。
ここからは、騎士だけではない。
財殿そのものが、ガルザヴェインと戦う。
白磁床が裂ける。
ガルザヴェインが飛ぶ。
飛んだ先に影糸。
腕で切る。
切った腕に白磁花粉。
目を細める。
その瞬間、折剣濁白騎士の剣が走る。
ガルザヴェインが受ける。
拳で。
爪で。
肩で。
血を流しながら、笑う。
だが、彼の周囲にいた精鋭魔物たちは笑えない。
財殿全開の罠に、次々と飲まれていく。
白磁根に吊られる。
宝箱爆裂に裂かれる。
戻り水鏡へ落ちる。
影糸で首を落とされる。
赤錆噛みに装備を崩され、湿骨軍列に刺される。
《白磁偽財殿、全開戦闘》
《精鋭魔物群、死亡多数》
《死亡推定:七千四百体》
《獲得ソウル:1,184,000》
白い部屋に、また巨大な数字が流れ込む。
現在保有ソウルが膨れ上がる。
だが、同時に損耗も激しい。
《警告》
《白磁偽財殿、損傷率62%》
《正式宝箱多数破損》
《宝物庫中枢補助核、負荷上昇》
《折剣濁白騎士、中度損傷》
「構わん。押せ」
ここは戦場だ。
宝物庫ではない。
いや、今は宝物庫そのものが武器だ。
◇
折剣濁白騎士とガルザヴェインの戦いは、さらに激しくなった。
騎士が斬る。
魔神が受ける。
白剣が砕けかける。
灰剣が欠ける。
ガルザヴェインの拳も血に濡れる。
白磁花粉で片目が白く濁る。
だが、彼は止まらない。
むしろ、剣を見ている。
学んでいる。
折剣濁白騎士の斬撃に合わせ、腕の角度を変え始める。
白剣を受ける時は骨で。
灰剣を避ける時は肩で。
罠線が来る時は、一歩ではなく半歩で。
成長している。
この短い戦いの中で。
「騎士、剣筋を変えろ」
《折剣濁白騎士、剣技変更》
折剣濁白騎士の動きが変わる。
セリアの双剣片由来の速さから、今度は宝物庫守護の重い剣へ。
白剣で止め、灰剣で裂く。
ガルザヴェインが笑う。
「カワル」
拳が来る。
折剣濁白騎士が白剣で受ける。
受けきれない。
胸がまた割れる。
だが、その割れた胸の中から、白磁根が飛び出した。
ガルザヴェインの腕へ絡む。
騎士自身を罠にした。
ガルザヴェインが目を見開く。
灰剣が走る。
今度は深く入った。
ガルザヴェインの胸を、縦に裂く。
黒い血が白い床へ落ちた。
その血が、じゅう、と音を立てる。
白磁床が黒く変色する。
《ガルザヴェイン、負傷》
《魔神血が白磁床に侵食》
「血まで厄介か」
だが、血を流した。
傷を負わせた。
ガルザヴェインの笑みが、さらに深くなる。
「ツヨイ」
彼は折剣濁白騎士を見た。
次に、白磁偽財殿全体を見た。
そして、さらに奥を見た。
「モット、オク」
余の背筋が、わずかに冷えた。
もう、財殿の強さを理解した。
そして、その奥にもっと強いものがあると分かった。
「満足したか」
余は言った。
「なら次だ」
折剣濁白騎士が再び構える。
だが、そこでガルザヴェインは銅鐘を鳴らした。
ごん。
残った精鋭魔物たちが、一斉に白磁偽財殿へ雪崩れ込む。
ガルザヴェイン本人が戦っている間に、残りを一気に押し込むつもりだ。
彼は、財殿を突破すると決めた。
「させるか」
余は白い部屋で手を広げた。
「財殿、崩落罠を起動」
《危険です。白磁偽財殿が大きく損傷します》
「構わん。ここで残りを削る」
《実行》
白磁偽財殿の天井が、鳴った。
白い柱の一部が、意図的に割れる。
天井から白磁片が降る。
ただ落ちるのではない。
刃だ。
白い刃の雨。
強化魔物たちへ降り注ぐ。
オークの肩を裂く。
黒狼の背を割る。
飛行種を串刺しにする。
大型甲虫の殻を砕く。
その下で、折剣濁白騎士が剣を振るう。
宝箱が爆ぜる。
戻り水が噴く。
影糸が走る。
財殿が、自分の天井を犠牲にして魔物を殺していく。
《白磁偽財殿崩落戦闘》
《死亡推定:五千九百体》
《獲得ソウル:1,062,000》
《白磁偽財殿、損傷率83%》
財殿は壊れかけている。
だが、敵も壊れた。
残った精鋭は、さらに少ない。
その中心で、ガルザヴェインは白磁刃の雨を浴びながら立っていた。
体に傷が増えている。
肩から血が流れ、胸の裂傷も深い。
片目は白磁花粉で濁り、腕には白磁根の跡が残っている。
それでも、立っている。
折剣濁白騎士も、かなり壊れている。
白剣は半分欠け、灰剣はひび割れ、胸の白磁鎧は砕けている。
だが、まだ立っている。
ガルザヴェインが一歩出る。
折剣濁白騎士が剣を構える。
最後の正面衝突。
その瞬間、フィルエが言った。
「ロード。もういい」
「何?」
「あれ、ここで倒す相手じゃない。もう財殿の強さは見た。これ以上やると騎士が壊れる」
余は少し黙った。
折剣濁白騎士は重要戦力だ。
ここで完全破壊されるのは惜しい。
ガルザヴェインを殺すつもりなら、まだぶつける。
だが、余の狙いは違う。
「折剣濁白騎士、下がれ」
《下げます》
折剣濁白騎士は、一瞬だけ剣を下げなかった。
まるで、まだ戦えると言うように。
「命令だ」
騎士は剣を下げた。
白磁の床が開き、折剣濁白騎士を奥へ引き込む。
ガルザヴェインは追わなかった。
ただ、騎士が消えた場所を見ていた。
「ケン……ツヨイ」
そして、奥を見た。
「ツギ」
白磁偽財殿の奥に、新しい道が開く。
骸門残響隔離層の外周へ続く道。
そこには、黒市主から奪った骸門牢獄の残響が封じられている。
危険な場所だ。
だが、ガルザヴェインをさらに試すには、避けて通れない。
「行かせるぞ」
《危険です》
「分かっている」
白骨書記が、戦争台帳へ新しい数字を書き込む。
⸻
白磁偽財殿戦戦果:
強化ゴブリン群:392,000
黒オーク群:475,000
白磁偽財殿全開戦闘:1,184,000
崩落戦闘:1,062,000
その他宝箱罠・赤錆噛み処理:286,000
追加獲得ソウル合計:3,399,000
白磁偽財殿修復見込み:高額
折剣濁白騎士:中度以上損傷
宝物庫中枢補助核:過負荷寸前
現在保有ソウル:7,523,530
⸻
7,523,530。
もう、笑うしかなかった。
だが、まだ終わっていない。
ガルザヴェインは生きている。
残った魔物も、まだいる。
そして、次は骸門の残響だ。
黒市主の死骸。
牢獄の残り香。
ガルザヴェインが、それにどう反応するか。
余は白い部屋で、静かに告げた。
「来い、魔神ゴブリン」
灰白の霧の奥で、金色の目が光った。
「次は、死んだ迷宮の檻を見せてやる」