召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
最神玲も拉致される? (第2幕)
最神玲は一度トイレに行くために自宅に戻ることにした。そしてトイレから出て自室に置いてあるスマホのチェックをしていた時、メールが数件入っているのを目にした。そこでメールをざっとチェックすると、M M宛ての1件のメールを見つけた。内容を確認すると除霊をお願いしたいということである。相手の名前は伊藤高志。
”あれ?はぁ?前回は佐藤隆で今回は伊藤高志か?
そして今回は除霊ね...”
とは玲の心の声による呟きだが、どうやらこのメールまたしても物部かすみとラハニ・エランを拉致した同じ連中からのメールと思われた。なぜそう思うのかと言うと、前にも触れたようにかすみの作ったホームページを見て依頼する人は殆ど、いや全くいないと言ってもいい。ホームページを見て連絡を入れた唯一の例外は、神室霊華である。ただし彼女の場合はメールではなく直接玲のスマホに電話を入れたのだが。そして後から神室霊華本人から聞いた話では、余りにシンプル過ぎてここで間違いないのか最初は疑ったという。例えば神室霊華の先生でもある神室英魔は、自分のホームページに写真とプロフィールを掲載している。大抵の霊能力者のホームページは、自分の能力をアピールするように色々と盛り付けたりしてプロフィールを掲載し、何とか仕事を得ようと努力する。ところが、M Mにはそのような努力の痕跡はない。文字だけの至ってシンプルなホームページのままであり、それを見て依頼するというのは、まあ値段が安いということでその可能性はあるかもしれない。確かに、M Mは安過ぎるのだ。そのため、普通はこの点も怪しいとみて警戒し、敬遠するのが普通であろう。
ところでウェブの検索サイトで「霊能力者」とか「除霊」などのキーワードで検索した時、最上位とその次には神室霊華のホームページが出てくる。ただし、最上位に表示されるホームページはブログのようなもので、仕事用はその次に表示される方である。一方、M Mのホームページはと言うと、どこにあるのか分からない。場合によっては全く検索されないことも考えられる。では、「M M」と検索すれば出てきそうに思われるが、まず検索上位は全てあの菓子メーカーの商品や会社のホームページが並んでいる。恐らく熱心に一つずつチェックすればどこかに紛れ込んでいる可能性はありそうだが、かなり根気のいる作業となる。
もし万が一「M M超心理学研究所」と検索ワードを入力すれば確実に表示されるのだが、そこまで知っている人は、大抵、玲かかすみの名刺を持っている訳で、わざわざホームページで検索することはしない。そして今回の様にそれを探し出して、かつメールで連絡を入れるということは...要するに何が言いたいかと言うと、電話ではなくメールで依頼されるケースは皆無であり、そんな状況で似たような名前の依頼が立て続けに来たとなると、十中八九ではなく、十中十謎の組織からの依頼とみて間違いないだろう。勿論、かすみとラハニを拉致した連中ではなく、本当に、真剣に霊に悩まされていて、直ぐにでも助けて欲しいと願っている人かもしれない。だから最初から疑ってかかるべきではないと玲も自覚している。でもやはりあのホームページを見て仕事を依頼するというのは、一体どんな人なのだろうか、と考えずにはいられない。
常識的に考えて、かすみとラハニの両名の拉致未遂(?)から一カ月も経ってない状況で再び同じ組織か個人が依頼することは考えられないのだが、もしかしてそろそろほとぼりが冷めた頃だと思ったのだろうか?それとも、M Mがめられているのだろうか?どちらにしても、もしこの依頼がそいつらのものであれば、そろそろ相手の正体を暴いて、場合によってはきついお灸をえる必要がある。何れにしても先ずはかすみに相談するために電話をすることにした。だがかすみは電話に出ない。”あー、そうか、まだ写真撮影に付き合っているんだな と言うことで、玲はLINEに[M Mにあの依頼がまたきました]とだけメッセージを書き込んだ。その後玲は一度外に出てかすみを探すことにした。と言っても直ぐに見つかったのだが。かすみを含む美女三人組はやはり目立つ存在のようで、人だかりのある中心には彼女達が確実にいるのであった。まぁ、邪魔すると何かしら後で言われそうなので、玲は何も言わずそのまま自宅に戻った。
そして30分程すると玄関から「玲、いてる?」とのかすみの声が届いた。玲は自室から顔を出して、「かすみ、お帰り」と告げるが、そこには神室霊華とラハニも一緒だった。そこで4人はリビングに落ち着いて、玲からの報告を受けた。
「はぁ?あいつら、メッチャ早ない?
どういう考えしてんねんな!」
とかすみのボヤキが入るが、を入れずに依頼とはまさにこのことだろう、とかすみの顔がそう訴えてもいた。まだ自分とラハニの拉致事件から日も浅いというのに、一体どういう了見で行っているのだろうか、とかすみは疑問を持つ。まさかとは思うが
「もしかして、M Mへの依頼が多いとみて、
そこにしれーっと紛れ込ませたと
思ってるのかもね」
とは玲の感想だが、もしそうであれば残念ながら彼らの思惑は大きく外れていた。
ところで、神室霊華はかすみとラハニの事件については全く知らされていない。そのため、玲とかすみの会話が一体何を意味しているのかが分からなかった。そこで、話しの腰を折ることに対し、申し訳なさそうに神室霊華はかすみに何があったのかを尋ねた。
「あっちゃー。霊華さんに
話してなかったんやね?」
「はい、何も聞いてません」と神室霊華は首を横に振って答えた。そこでかすみが、降霊術の依頼を受けたこと、そしてラハニの実践を兼ねて2人でそこに向かったのだが途中で眠らされて意識を失ったこと、その後どこかに連れて行かれて監禁され、更に首に電流が流れる首輪をつけられたことを話した。神室霊華は余りに凄い展開に目を丸くしながらかすみの話を聞いていたのだが、隣のラハニに念のため尋ねると
「ハイ、レイカサン、
カスミサンノイウトオリデス」
マサニキキイッパツデシタ、となぜか笑顔でそう答えた。ラハニはアメリカの陸軍所属で、更にアメリカと言う土地柄、治安が良いとは言えないため、ある程度の危機管理能力は備わっている。だがそんなラハニでも、今回の拉致とその後の脱出劇は自分の想像を遥かに越えた体験であり、まさにスリル満点のアトラクションを体験したような印象に変わっており、その体験が興奮を呼んでラハニの笑顔となっていた。そして更にかすみが、どのように脱出したのかに話が及ぶと、
「し、師匠! 何時からそんな凄い術が
使えるようになったのですか?」
と興奮してかすみに問いかけた。かすみは玲に教えてもらった目くらましの術について、概要を伝えるだけに留めた。やはりまだ神室霊華にしろ、ラハニにしろ、あの術を使いこなすのは難しいと判断したのだ。そしてやはり最後は霊界でジ・エンドとなったことから、神室霊華は霊界と言う異世界を恐ろしく感じつつ、同時に不思議な魅力に捕らわれてしまった。
「ところで、かすみ、今回はちょっと
僕が行ってみるけど、かすみどうする?」
と玲はかすみに尋ねた。かすみとしては本当は一緒に行きたいのだが、平日の午後と言うことと、今はラハニの修行の手伝いもあるため、止む無く
「一緒に行って、あいつら何者か
突き止めたいねんけど、
今回は止めとくわ」
と言うことで玲だけで行くことにした。
「分かった。じゃあ僕が行くけど、しかしなー」
こうも立て続けに来るとなると相当焦っているのかな、と何やら勘繰ってしまいたくなる。まあ、とりあえず明後日の午後3時に米野市を挟んだ反対側の富岡町に行くということで、先方にはその旨了解して返信した。