召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
M Mの年末年始と新年会 (前編)
今年も残すところあと1日となった年末大晦日のこの日、美土路神社は相変わらずの人出で賑わっている。昨年の同じ時期の人出を1としたら、今のこの時点では30か40くらいだろうか。もしかして年をぐ午前0時を迎える頃には境内は参拝客で溢れかえるのではと予想される。場合によっては入場制限などが起きるかもしれない。そのため、事前の措置として雑踏警備のために警備員の増員がなされている。
そして、神社の社務所では、最神玲と物部かすみと助っ人の神室霊華だけでなく、新たに増員された巫女手伝いの神薙華蓮と彼女の後輩のがお札や御神籤や破魔矢の販売を行っている。ちなみに、昨年まで手伝いに来ていた華蓮の親友のは、大学受験が控えているため、今年は巫女の手伝いを行えない。そして、今年はかすみの暴走行為で一時玲とかすみが冷戦状態に陥ったが、神室霊華の見事な仲裁により事なきを得ることが出来、今では玲も寒さに震えながら外のテントで御神籤や絵馬の販売を行っている。なお大晦日は華蓮と早苗の未成年コンビは午後10時まで、玲とかすみと神室霊華も翌日の午前1時まで仕事をするため、今日の夕飯は社務所の集会室で年越し蕎麦とお握りが用意されている。何れも氏子衆が用意した物だ。そしてそれらを食して何とか彼らは踏ん張っている。
午後11時半を過ぎた頃になると、美土家の菩提寺である寺の除夜の鐘が夜の差間見町に鳴り響く。すると、その鐘の音を聞きつけたわけではないだろうが、増々参拝者の数が増えてくる。そして午前0時を迎える頃には、いよいよ入場制限をかけるに至った。そのため神社に通じる参道は人、人、人で溢れて行く。そして今この時間の社務所は、華蓮と早苗の未成年コンビは既に家路に就いているため、かすみと神室霊華と手伝いの氏子衆で何とか回している。だが流石にこの忙しさは結構体に堪えるようで、朝からの忙しさも加わったのか、かすみも神室霊華も疲労が濃くなってきた。玲に至っては、油断するとどこかにトリップしそうな感じで目がとろ~んとしている。そして午前1時を迎えて、玲とかすみと神室霊華は、漸く激務から解放されて自宅に向かった。
「はぁー、もー、まじ疲れたーー!」
とかすみはソファーで横になって叫んだ。神室霊華もソファーに腰を落ち着けて
「流石に、今年はかなりきつかったですね」
と疲労を濃くした表情でそう吐露した。玲は、
「ぼ、ぼ、僕なんか、
か、か、顔が、つ、つ、冷たくなって、
う、う、うまく、しゃ、しゃ、喋れない!」
と何とかそう口にするのが精一杯のようだ。ちなみに、明日は朝9時からの業務となるため、早く寝たいところである。だが玲は体が冷えて固まっているようで、
「ぼ、僕、こ、これから、べ、別荘の、
お、温泉に、は、入りに、い、行くけど、
き、君ら、と、どうする?」
と温泉の露天風呂で体を温めようと考えおり、念のためかすみと神室霊華も誘ってみた。すると、「うちも当然行く!」、「はい、私も行きます!」と言うことで、各自着替えを持って玲の転移で別荘に向かった。
「うわ~、何だろう、指先や足先が
ジンジンするんだけど」
と玲は頭と体を洗い場で洗ったとは言え、まだ指先や足先は冷え切ったままのため、それをいきなり露天風呂の湯船に入れたことで、冷えて収縮していた血管が急激に拡張したことによる一種の痺れを感じたようだ。そして
「うちはそんな痺れはないけど、
ただ同じ格好ばかりしてたから、
体中コリコリやわ」
「でもやはり良いですね、温泉って。
疲れが一気に取れます」
と女性陣も、かすみは頭に手拭を載せて、神室霊華は頭をバスタオルで巻いて、それぞれ露天風呂に浸かって満足な様子である。暫くすると
「このまま、ここで寝てまいそうやねんけどな~」
とかすみが呟くと、神室霊華は欠伸をしながら
「師匠~、こんな所で寝たら~、
溺れ死にますよ~、ふぁ~」
と一応警告はする。だが、当の神室霊華も、実はこの気持ち良さにうとうとしそうになっており、危うく寝落ちするところであったりした。
「あかん! うちらマジで寝ちゃいそやねんから、
先出るわな!」
と玲に伝えて彼女達は出て行った。玲もかすみではないが、やはり寝落ちしそうなので、ここらで一度出ることにした。でもこういう時に温泉に浸かれるというのは、本当に何て贅沢であろうかとしみじみと実感するのだった。
さて、年明けも何時もの業務を続けた玲とかすみと神室霊華の3人は、正月三が日は午後7時に社務所を閉めるため、遅い夕食を摂ってから毎晩のように別荘の温泉に入りに行った。そして正月三が日の後に訪れる最初の週末がやって来た。この日はM Mのメンバーが待ちに待った新年会を新しく出来た別荘で行うことになっていた。ただし、新年会は新メンバーのラハニ・エランの予定に合わせて日曜日に開催することにしており、土曜日の今日は、3人でおせち料理の準備を進めていた。と言っても本格的なおせち料理ではなく、まあ和を感じる程度にではあるが、それでも神室霊華は何やら高級食材を持ってきており、や伊勢海老、そしてエゾバフンウニと北海道産のイクラと数の子、更になぜかキャビアまで持参していた。
「すいません、実家の調理場から
少し拝借しました」
と言うように、紀家の本宅にある調理場から持ってきたらしい。流石は資産家の紀家である。ただし、どれも冷凍されているので、早速解凍作業を始めることになったが、かすみは
「玲、鮑とか食べたことあるか?」
と何やら玲を挑発するような言葉を発した。それに対し玲は
「ふん、それ位は食べたことあるよ。
かすみの方はどうなんだい?」
と逆にかすみに挑戦状を叩きつけた。売られた喧嘩は値切らず言い値で即買い取るをモットーにしているかすみは、すかさず
「はぁ?玲さん誰に物言っているんでしょうかね~?
そんなん毎日のように食べてたわ、ははは」
とあくまでも玲よりも凄いというマウントを取りたいようだ。そんな玲とかすみのやり取りを聞いていた神室霊華は、苦笑しながら
「ほらほら、2人とも。
そんな意地の張り合いしないで下さいね」
とほぼ彼らの心のうちを見透かしたように2人をめた。直ぐにかすみは「ちっ、玲、覚えておけよ!」と何故か捨て台詞は忘れない。
さてそんな賑やかなおせち料理の準備と並行して、後はお雑煮を用意すれば準備完了である。餅に関しては、明日4人で餅つきを行ってそれを使う予定にしているが、問題はお雑煮の味付けをどうするかであり、実はこれは結構悩みどころである。かすみの地元の大阪は、白味噌ベースの少し甘めの雑煮が主流であるのに対し、神室霊華の地元の東京は、鰹と昆布の出汁を効かせたすまし汁タイプとなる。ちなみに玲の地元も関東なので神室霊華の味に近いが、残念ながら玲の中身のカーンフェルトはそのような記憶を保持していないため、この場合正直どちらでも良い、と言う感じである。結局どちらにするかと言うのが決められず、結局両方作ろうということで落ち着いた。これでラハニに少しでも日本の正月を楽しんでもらえれば御の字であるが、勿論玲もかすみも、そして神室霊華も楽しむ気満々である。やはり純粋な日本の正月を最近体験していないために、ここまで気合を入れて準備をしているのであった。