召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
M M vs. 霊能力者 Part2 (第3幕)
さて、最初の対決である除霊数競争はM Mの不戦敗となってしまったが、次の対決は1体の霊体を除霊する時間を競うものである。そして対決の場所だが、この廃村からほど近い所に廃校があるようで、そこには少ないながらも数体の霊体が確認されている。そこで次の対戦はその廃校で行うことになった。
次の除霊時間を競う対決だが、こちらは同時進行でも交互に行っても問題はない。M Mは別にどちらでも良いと伝えた所、ビショップ・モルヴェインからは交互に行いましょうと提案して来たので、そのようにすることにした。恐らく、自分達の術の優越性をM Mにアピールしようという魂胆がありそうだとかすみは睨んでいたが、その読みは間違いではないだろう。そしてどちらが先にするかとなったが、かすみは玲と神室霊華と相談することにした。
「うち等の術やったら一瞬で終わるし、
先にやってもうたら、
恐らく戦意喪失しかねんからな、
向こうに先にやってもらうでどや?」
とのかすみの提案に対し、玲と神室霊華は頷いて答えた。そこで神室霊華からビショップ・モルヴェイン側に自分達は後でやるということを伝え、先ずはビショップ・モルヴェイン側から除霊が行われることになった。そして今回の対決では、ビショップ・モルヴェイン自らが行うという。そして霊体が居る教室に移動した一行の前で、早速ビショップ・モルヴェインによる除霊が始まった。審判を行うカトリック教の司祭は手にストップウォッチを持ちながら霊体が除霊されるまでの時間を計測していた。ビショップ・モルヴェインの除霊は先程彼らが行っていた除霊と大きく変わらないが、やはり手際の良さが際立っており、1体除霊するのに数分程で終えたのだ。一般の霊能力者だとこの時間で終えることは多分不可能であろうし、以前の神室霊華でもこの短時間での除霊は無理です、と即答していただろう。だがM Mからすると別に短いとは思わない訳で、ビショップ・モルヴェインの一行が「モルヴェイン様、除霊記録を更新しました!」と何やら内輪で喜び合っていたのに対し、M Mは誰一人顔色を変えずにその様子を見ていただけである。見方によっては相手の術に圧倒されて茫然自失していたかと思われそうだが、勿論M Mに関してはそれはない。
そして次にM Mが行うのだが、ここはやはり神室霊華が行うことになった。早速別の教室に移動した一行は、そこで目にした光景に唖然とした。何に唖然としたかと言うと、1体だと思われていた霊体が、実は2体いたのだ。と言うか、そこには親子と思われる霊体が居るのだが、廃校の裏山に墓地があり、どうやらそこから迷い込んだのではないかと思われた。尤も、M Mからすると1体だろうが10体だろうが関係はない。早速神室霊華が「では、始めますね」と英語で伝え、何時もの様に降霊召喚門を霊体の周りに設置した。そしてお見送りの設定をして「召喚」と叫んだ。すると一瞬でその場に居た親子の霊体は消えて無くなった。神室霊華が「終わりました」と宣言するが、審判をしていた司祭達は一体何が起きたのか理解できず、ただ茫然と立ち尽くしていた。一方で手元のストップウォッチは動き続けているので、早速かすみが
「こらー! 審判! さっさと時計を止めんか!」
とクレームを入れた。本来ならここで何時ものマキザッパを召喚してシバクところだが、流石に召喚術を披露する訳にもいかず、後々問題が起きても困るので大声で怒鳴るだけに留めた。それで漸く我に返ったのか、手元のストップウォッチを止めたのだが、計測するまでもなく、M Mの圧勝であることは一目瞭然である。だが、何やらビショップ・モルヴェインの一行からクレームがあるようで、翻訳イヤホンを通じてかすみが聞いたところでは、何やら不正があったのではないかと言う言い掛かりをつけているようだ。そしていつもであれば、かすみは怒りの表情になってその更に上を行くように怒涛の反論を展開するのだが、今日のかすみは何時もとは様子が違っており、涼しい表情でニヤニヤしていた。勿論、日本語が分からない相手に対し反論しても無駄だと諦めている時の苦笑いに近い表情ではなく、「ほな、もう1戦しよか?」と相手を挑発するくらいに余裕を持った表情であった。そして
「でもなー、お前らのボス、
モルヴェインやったっけ、
何やヘロヘロやないか!
ちゃんと除霊出来るんか?」
と挑発することは忘れない。ビショップ・モルヴェイン側でも何人かは同時通訳できるイヤホンを装着しており、彼らの耳にはかすみの翻訳された挑発が届いているのだが、自分達のボスをされて黙っている訳にはいかず、早速かすみに対し反論をしてくるのだが、売られた喧嘩は値切らず即言い値で買い取るをモットーにしているかすみからすると、水を得た魚の如く意気軒高となってしまった。
「なぁなぁ、モルヴェインさんよー、
もう一戦やろーな?
えっ、もう無理なんか?
そんな柔な霊能力者やったんか、自分?」
かすみは手を合わせてお願いするフリをしたり、耳に手を当てて話を聞くフリをしたり、大袈裟に両手を広げて驚いたフリをしたりなど、もはや彼女の挑発は止まらない。こうなると手を付けられなくなるため、玲と神室霊華はただ黙ってかすみを見守るしかなかった。そして漸く元気を取り戻したビショップ・モルヴェインが、
「いいえ、物部さん、この勝負は私の負けです」
と負けを宣言したことで、この対決は終了となった。自分の霊能力に自信をもって臨んだ今回の対決だが、まさかこの勝負で自分が負けるとは思ってもいなかったであろうビショップ・モルヴェインは、唇をぎゅっと噛んだその表情に悔しさが滲み出ていた。まさに拭い去ることのできない屈辱を味わったのだった。だが、個人としては負けたが、まだ最後の対決が残っている。そこで完膚なきまでに相手を叩き潰せれば、今回のこの敗戦はちょっとした苦い思い出くらいになるだろう。そう思うと少しだが心に余裕が出てきたようで、神室霊華に向かって、
「最後の対決は明後日の午後8時に行います。
では現地で会いましょう!」
と言って、弟子たちを引き連れて部屋から去って行った。さて後に残されたM Mの3人だが、勿論このままここに居る理由はないため、校庭に停めた車に向かい、途中から転移でM Mの別荘に戻って行った。