召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
M Mの慰安旅行: 霧島編 (最終幕)
色々とあった今回のM Mの慰安旅行だが、毎年のように忙しく帰り支度をする必要はなく、ゆったりとした時間を旅館の離れで過ごすことが出来る。特に朝から霧が晴れたお陰で、山々の青さが眩しく感じられる。そのため、折角なので4人で近場を散策することにした。
「しっかし、あれやなー、
昨日までの霧が嘘みたいに晴れたなー」
「そうですね。こうして霧が晴れると、
全く別世界に来た印象を受けますね」
「カラ、にキタミタイネ!」
「いやー、ラハニさん、
僕ら死んでませんけどね、ははは」
と4人は思い思いの感想を口にした。そう思うくらいに心が弾むような陽気であった。
「結局、夜中にやって来たんは、
ここの神さん何かな~?」
「まず幽霊の類でないのだけは確かだね。
後は、以前かすみが出会った
妖怪関係なのかなー」
と物部かすみと最神玲は昨晩起きたことを話し合っていた。その時神室霊華がスマホで霧島地方の妖怪伝説を検索した所、幾つか面白い伝説を見つけたので、早速披露した。
「この地方では、狐や狸が人を騙す話とか、
という疫病をす祟り神の話とか、
後はダイダラボッチの伝説があったりしますね。
それ以外に七不思議もあったりと、
何やら謎の多い土地と言う感じですね」
と霧島に伝わる怪異や伝承を伝えた。その時かすみが
「その祟り神はちょっと雰囲気が合わへんけどやな、
ダイダラボッチやったら何となくイメージ
出来そうな気ぃすんねんけど......」
「確かに師匠の仰る通り
大きさがどれ位か分かりませんが、
昨晩も屋根辺りから音がしたりしまたよね」
と神室霊華もかすみの意見に同意した。ところで、玲とラハニ・カヤンは、ダイダラボッチが何なのか全く分かってないため、2人でキョトンした表情を漂わせていた。そんな2人を見ていたかすみは、溜息をつきながら、
「あんな、玲。ラハニさんやったら
馴染みないのは分かんねんけど、
自分、少しはこういう事勉強した方がええで!!」
と玲に説教をした。そしてかすみは、
「ダイダラボッチ言うのは巨人で、
しかも国造りの神様みたいに思われてるねんて。
例えば富士山作るのに土を掘って
琵琶湖が出来たとかな、
そんな伝承が日本中にゴロゴロしてんねん」
と簡単にだがダイダラボッチに関する説明を2人に行った。ちなみに、かすみは大学の民間伝承の授業でも取り上げられたことを覚えており、そのためスラスラと言葉が出て来たのだった。ただ残念ながら、この授業はカーンが居座る以前のオリジナルの玲が受けており、今の玲は全く与り知らない。
「ほいでな、もしダイダラボッチが
昨晩やって来たんやったら、
うちらどう頑張っても
太刀打ちでけへんとちゃうかな~」
山の神様が如何なる者なのかが分からないが、少なくとも幽霊の類ではないことだけは確かである。それは玲が設置した降霊召喚門の結界が効かなかったためだが、ではそうなるとかすみが以前遭遇した座敷童子みたいな妖怪なのか、と言うことになる。何れにしても、自分達の持つ召喚術は恐らく何も役に立たない訳で、そのため果たして今回の怪異が何なのか、実は見極めるのは難しいと見ていた。
「でも師匠、何れにしても、
私たちは受け入れられたようなので、
心配する必要はない気もしますが...」
と神室霊華はかすみの方に振り向いてそのような感想を述べた。ただし受け入れられたと言っても、そこには相手に対する敬いの心は必要である。尤も玲は論外として、かすみも神室霊華も、そしてラハニも、超自然的な何かに対する敬いの心は持ち合わせている。そのため、かすみは神室霊華の指摘も尤もだと感じたのだ。そしてこういう超自然的な事はラハニが何やら感じているので、かすみはラハニの意見を聞くことにした。すると
「ハイ、レイカサンノイウトオリ、オモイマス」
と言うことだったので、かすみも心なしか安心した。
結局4人は1時間程散策を楽しみ、午前10時前に離れに戻って来てそのまま帰り支度をすることにした。そして各自荷物を持って母屋に向かい玲がチェックアウトの手続きを済ませた。その時、かすみがフロントのスタッフに向かって
「すいません、うちらの離れを
案内してもらった仲居さんって、
どうされてますか?」
お世話になったので挨拶したいと伝えたのだが、思っても見ない答えが返って来た。
「申し訳ありません、
本日は体調を崩してしまい
休んでおります」
と言うことであった。そこでかすみが、昨晩の事をそのスタッフに伝えると、
「そうでしたか......
実は彼女は結構霊感が強いと言いますか......」
何か感じると居ても立ってもいられず、その時感じたことを宿泊客に伝えたりするのだという。
「それでもしお客様方が
不愉快な思いをされたのでしたら、
彼女に代わってお詫びいたします」
とその場で頭を下げた。流石にそこまで要求する心算が無いM Mの4人は、直ぐに頭を上げてもらうように伝え、更にその仲居さんに宜しく伝えて欲しいと伝言を残した。その後宿の車で待ち合わせ場所まで送ってもらい、4人は神室霊華の運転する車で帰路についた。そして車中では
「しっかし、今回の慰安旅行は、
記憶に残る不思議な旅行やったなー」
「そうですね、未知との遭遇と言った
感じでしょうかねー」
「デモ、ワタシハ、スゴイワクワクシタネ」
「まあ皆無事にこうして帰宅できるから、
良かったんじゃないの」
4人それぞれが今回の慰安旅行についての感想を語っていた。まあ、謎は残るものの、全員無事に帰れることを良しとすべきであろう。