召喚術師を召喚したいのですが、どうすれば良いですか?
久し振りの召喚術談議 (番外編)
最神玲による何時も以上に衝撃を与えられた召喚術談議を終えた所で、物部かすみが
「ほな、ぼちぼち露天風呂に入らへん?」
と皆に尋ねた。確かに夜も遅くなったので、このまま露天風呂に入ってから自宅で就寝かなと玲は思い、かすみの意見に賛成した。そして早速5人揃って露天風呂に向かうことにした。向かっている途中でかすみが隣に並んだ神室霊華に
「霊華さん、ごめんな、
こんな夜遅くまで付き合わせて」
と謝罪の言葉を口にするも、神室霊華は
「そんな、師匠、全然気にしてませんよ。
それよりも、このまま寝れるかどうかが心配です」
と伝えた。どうやら余りに凄いことが立て続けに起きたため、興奮して寝られないのではないかと懸念を示したのだ。そして、
「師匠は何時も玲さんとこのような話を
されていたんですか?」
とかすみに尋ねると、かすみは
「そやね。タチアナさんが来た時は、
大抵こんな感じで驚きの連発やったわ!」
「流石に今日のは久しぶりにビビったけどな、ははは」と笑いながらそう答えた。玲から心臓に毛が生えていると言われているかすみでさえビビってしまうのであれば、自分が寝られない懸念も仕方ないなと諦めたようだ。
さて露天風呂初挑戦となるエンペラールは、かすみに色々と教えてもらいながら湯衣に着替え、そのまま露天風呂に向かった。タチアナはと言うと、過去に数回程日本の旅館で露天風呂に入ったことがあるそうだが、大抵は着ている物を全て脱いで裸で入っていた。ところが湯衣を着るというのは体験したことが無く、早速傍に居た神室霊華にその理由を尋ねた。すると、
「ここの露天風呂は一応真ん中で
男女別に仕切られているのですが...」
その間仕切りを外して偶に玲を交えて混浴にすることがあり、そう言う場合にお互いに着用するということを説明した。するとタチアナは、
「あら、私は全く気にしないから、
このままでも良いかしら?」
と神室霊華に伝えるが、神室霊華は
「えー、どうでしょうか。
恐らくかすみさんが物凄く
怒り出すかもしれませんが」
と一番こういう事に神経を尖らせているかすみが不機嫌になるかも、と言うことを伝えた。タチアナも、
「仕方ないわね、カスミさんは
大事な親友ですからね」
と言うことで湯衣を着て入浴となった。そして全員が湯船に体を沈めた所で、神室霊華が間仕切りを開けた。すると隣の湯船では既に玲が入っており、のんびり寛ぐ様子を目にしたかすみが、早速
「何や、玲。自分も入ってたんか!」
と何時もの因縁をつけだした。玲も「別に入っても問題ないだろ」と言い返すが、ここで何時ものかすみなら一暴れするところ、今日は大人しく「ちっ」と舌打ちしただけでそのまま引き下がった。そしてそんな2人のやり取りを気にするどころではない方が1人いたようで、エンペラールは初めての入浴体験でかなり緊張していた。と言うのは、ロムリアでは湯船に浸かるという習慣はエンペラールだけでなく全国民共通して全くないからである。精々シャワーを数日おきに浴びる程度なのだが、それも恐らく贅沢な行為ととられかねない。なぜならロムリアは慢性的に水不足に陥りやすい都市構造のためなのだが、エンペラールが真っ先に海水を真水に変えるプラントを視察した様に、如何にして水を確保するかが重要となっている。だが数日おきのシャワーだと不衛生極まりないように思われるが、ロムリア人の場合、ほぼ全ての住宅に常備されている医療カプセルが、その代用になったりするため、決して不潔とか不衛生と言うことにはならない。医療カプセルであれば、最もグレードの低いタイプでも、体から出る老廃物を除去する機能はあるためだ。そしてそんな背景があるロムリア人のエンペラールからすると、お湯に浸かる行為は全く未知の体験そのものであったのだが、タチアナが
「先生、そんなに固くならなくて、
リラックスされると良いですよ」
特に温泉は体を癒す成分が多く含まれたりして、身も心もリフレッシュされます、と言うことを説明した。タチアナの言葉を聞いたエンペラールは、徐々に慣れて力を抜いてきた。そのうち彼女の顔には笑顔が戻ったようで、直ぐにタチアナに向かって
「慣れないことだからかなり力んじゃったけど、
ほんと、セラちゃんの言う通りね~」
体の芯まで温まって気持ちが良いと皆に感想を伝えた。
「ただですね、あまり長く入っていると
のぼせちゃうんで気ぃつけなあかんですよ」
とかすみはエンペラールとタチアナにそう忠告した。ただし、エンペラールもタチアナも、のぼせるという意味が分からないためかすみにそのことを尋ねた。すると
「お湯から出た時に立ちみしたり、
あるいはがしたりと言う症状ですね。
あと酷い時は、吐き気がする場合も
あるみたいやねんて。なぁ、霊華さん?」
と一応念のために神室霊華にも聞いてみた。神室霊華は
「はい、かすみさんの言う通りですね。
もし長く浸かりたい場合は、こうして...」
と言いながら神室霊華は湯船の縁に腰を落ち着けた。そして
「こうやって、適宜体を温めたり冷ましたりすると
良いみたいですよ」
丁度サウナのような入り方になることを提案した。そこでエンペラールとタチアナも、湯船の縁に腰を下ろして暫し涼んだりした。そして体温が下がったところで再び湯船に沈んだ。そうやって露天風呂に慣れてくると、先程の緊張が嘘のように無くなり、エンペラールも入浴することが楽しくなったようだ。そのうち玲が、「僕はもう出るね」と言って先に出て行った。かすみは「流石やなー、カラスの行水のレイちゃんは」と玲を弄るのは忘れない。そうなるともう片方の湯船が空いたので、女性4人は好きな所に移ってその後も露天風呂を楽しんだ。
それから1時間程して女性陣が母屋に戻って来たが、エンペラールもタチアナも満面の笑みが零れるくらいに明るい表情で和んでいた。そしてタチアナが、「先生、そろそろ向こうに戻りませんか?」と尋ねると、エンペラールは首を横に振り
「セラちゃん、私、今日からここで
泊めてもらおうと思うんだけどね~」
とタチアナにそう伝えつつ、リビングで寛ぐ玲に向かって「レイさん、ここに泊ってもいい?」と尋ねた。2階のゲストルームは何時でも誰かが泊まれるようになっているため、ここに泊まることは何も問題ない。一応かすみと神室霊華にも聞いてみるが、彼女達も問題ないということで、そのように答えた。すると早速エンペラールはどこかに転移したかと思ったら、暫くしてから両手に荷物を持って戻って来た。そこで玲が早速エンペラールをゲストルームに案内することにし、タチアナと共に2階に向かった。そして玲が再びリビングに戻って来た時、かすみが不安げな表情で玲に向かって、「食事とかどうしたらええんや?」と尋ねて来た。それに関しては
「僕らも朝と夜はこっちで一緒に食べても
良いけどね。ただ昼はどうするかだねー
...いやそれよりも......」
日中誰か相手しないといけないのではないかと懸念した。するとかすみが
「ほな、うちと玲で毎日交代で
どこかに案内するとかはどや?」
と提案して来た。それであれば、どちらかが常に神社にいる訳なので、
「そうだね、そうしようか」
と言うことが決まった。そこで丁度2階から降りて来たエンペラールとタチアナにそのように伝えると、タチアナが申し訳なさそうに
「ゴメンね、レイ君、カスミさん。
お仕事の邪魔になるようなら私が手伝うからね」
と2人にそう伝えた。尤も玲とかすみからすると、折角なので日本をとことんまで知ってもらおうと考えているようで、早速明日のスケジュールをどうするか、玲とかすみは相談することにした。その時神室霊華が少し寂しそうな表情で「し、師匠、私も何かお手伝いしますけど...」と遠慮がちにかすみにそう伝えた。かすみは
「あっ、ゴメンな、霊華さん。
何か霊華さんを置いて
色々決めてしもうたけど...」
と神室霊華に頭を下げて謝罪しつつ、
「でもそやね、霊華さんにも手伝ってもらえたら、
うち等もめっちゃ楽やねんな」
と伝えると神室霊華は「そう言って頂けると有難いです」とにこやかな表情をして、早速明日以降のスケジュールを3人で決めることにした。そしてある程度決まったところで、もう既に夜中に近づいているため、タチアナは一度フランスに戻ることにし、神室霊華もそのまま自宅に戻って行った。そして玲とかすみだが、
「僕はここの離れに泊まることにするけど、
かすみはどうする?」
と玲はかすみに尋ねた。かすみも「うちも、こっちに泊まることにするわ」と言うことで、別荘には3人が残ることになった。こうして濃厚な体験をした3人の1日が幕を閉じたのだった。